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花喰鳥と、謎の木のその後

先日の記事で、朽木形という文様について話しました。

このネタ帳となったのがこちら。『有職文様図鑑』です。

朽木形の他に、この本の中でもう一つ気になった文様が「花喰鳥(はなくいどり)」。
古代オリエント世界で生命復活のシンボルとされた、鳥がリボンや宝飾品を加える文様が「含綬鳥(がんじゅどり)」。これが中国や日本に伝わり、モノを加えた鳥の文様は「咋鳥文(さくちょうもん)」と呼ばれました。こうしたデザインを写していくうちに「花喰鳥」はポピュラーな文様になったそうです。

そうしたデザインを写していくうちに、「花喰鳥」はポピュラーな文様となった。
 実際、鳥は花を食いちぎり蜜を吸うものも多く、現在東京西郊で繁殖しつつあるワカケホンセイインコが、器用に花をちぎって蜜をなめている光景をみかけることもある。

八條忠基『有職文様図鑑』平凡社

近所の幼稚園の近くに、見事な八重桜が数本植わっています。
仕事からの帰り道、桜を見ようと、その道を通ったことがあるのですが、1本の木の下から盛大に花が落ちてきます。
なぜ?と思ってみたら、鮮やかな緑の鳥が2羽、枝から枝へと飛び回っては、花をついばんでいました。
おそらくワカケホンセイインコだったと思います。
街灯に照らされて、濃いピンクの八重桜が、緑色の鳥に食い散らかされて落ちていく様子は、結構衝撃的でした。

『有職文様図鑑』の花喰鳥のページにも、まさに桜をついばむ緑の鳥の写真が掲載されており、あれか…と、その時の風景を思い出した次第です。

旧約聖書に出てくる、箱舟から飛び立ち、オリーブをくわえて戻ってきた鳩はいいけれど、あのインコはちょっとなあ…。あれが花喰鳥のモデル、というわけでもないのでしょうが、花喰鳥の名称にはちょっと複雑な心境です。


話は変わりますが、我が家の庭に生えてきた正体不明の謎の木に、今年初めて花が咲きました。

noteの皆さんに教えていただいて、どうやら花桃の品種の1つ、照手白らしいということになりました。照手白なら、食べられない小さな実がなるはずです。
花が終った謎の木は、どんどん葉が生い茂り、日々濃さを増していきます。そんな葉に隠れて、小さな実がなっているのをみつけました。

あんなにたくさん花が咲いたのだから、もっとなっているに違いないと思い、首が痛くなるほど長い間木を見上げて探しましたが、探し出せたのは3つだけ。なぜ?受粉しなかった?近所に花桃はたくさんあるし、虫も来ていたのに…。
と思ったところで思いだしました。
花盛りの頃、ヒヨドリか何かの鳥がきて、盛大に白い花を食べ散らかしていたのでした。
実の数がこんなに少ないのはそのせいか。

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