また菊の話ー冬至芽と根分け
寒さにあたって赤紫になっていた白い小菊も、茶色ばかりが目立つようになってきました。
まだ咲いているのもあるし、種もできるかもしれないし‥
とぐずぐずしていたら、母から花がらを摘むように言われてしまいました。
菊の剪定について調べてみたところ、花が終わったら株元近くまで切り戻すと、冬至芽が出やすくなるとありました。
冬至芽?
花の終わった株の地下茎から出てくる新芽のことをさすそうです。
確かに菊の根元に、新芽が育っているのをよく見かけます。
菊を増やすには、この冬至芽を使うことが多く、冬至芽を使った株分けを根分(ねわけ)と呼ぶのだそうです。
ところでこの根分という作業、菊根分、菊分つ(きくわかつ)という季語にもなっていました。
調べてみたところ、こんな句を見つけました。
根分けして菊に拙き木札かな
小林一茶が旅の途中で読んだ句です。
昔も今も、花を育てる人の行動は一緒なんですね。
菊根分働くに似て遊ぶなり
俳人、石塚 友二の作。
石塚は若い頃、農業に従事していたそうですが、植物好きにとっては、とても共感できる句です。
さらにもうひとつ、すてきな句をみつけました。
菊根分け、あとは自分の土で咲け
作家の吉川英治が、友人のお嬢さんの結婚の花向けに贈った言葉だそうです。
親許から離れたら、自分が生きる場所をみつけて花を咲かせなさいー
子株の未来を祝福する何ともさわやかなメッセージですね。
根分をすることで、勢いの衰えた親株から世代交代をはかるのが、菊の栽培方法だそうですが、残された親株にもエールを送りたくなります。
もう12月も中旬。
思いきって菊の剪定をしましょうか。