渦がほどけていくように(オオツルボ)
最近近所で目立ってきた花。
最初はアガパンサスかと勘違いしていましたが、それにしては紫が濃い。
調べてみたら、どうやらオオツルボ(大蔓穂)という花らしいです。
英語では、Cuban lily、Peruvian Squill、Hyacinth of Peruと、様々な呼称があり、南欧の湿った草地に自生します。
キューバだのペルーだの、名前に中南米の地名が含まれるのは、どうやら誤解に基づくもののようです。17世紀初頭、スペインからの船"The Peru"に乗ってイングランドに球根が上陸、これを16世紀の有名な植物学者カロルス・クルシウスが著書で「ペルー原産」と誤って記載したとか。
クルシウスはオランダ最古の植物園、ライデン大学植物園でチューリップを試験栽培し、花を咲かせたことで知られます。オランダの冬の寒さに耐えて美しい色の花を咲かせたチューリップは、またたくまに人気が高まり、17世紀のチューリップ狂時代(チューリップ・バブル)へとつながります。
オオツルボが、ヨーロッパでその観賞価値を認められた最初の記録は16世紀末。チューリップをはじめ、クロッカス、水仙、アイリスなど様々な球根が人気を呼び、おしゃれな紳士たちの貴重なコレクションとして花壇を彩った時代と重なります。
日本にオオツルボが渡来したのは明治時代。同じキジカクシ科ツルボ属にツルボという植物があり、オオツルボの名前の由来になっているのではないかと思いますが、オオツルボとあまり似ていないような気がします。
「オオ」を外して「ツルボ」の名前の由来を調べてみました。
諸説あるようで、定説はないようです。
花が咲いている様子が連なって見える、あるいは群生して穂が連なるから、という連穂説。
球根の皮を剥ぐとツルっとした坊主頭のように見えるからツルボ(そんな…)。
実がなる時期に花茎が蔓のように伸びるから蔓穂。
渦がだんだんほどけていって、紫の星のような花が1つずつ開いていく様子に目が離せずに、つい毎朝、通勤途中にしゃがみこんで見ているうちに、電車に乗り遅れそうになり、猛ダッシュするはめになります。
運動不足解消にもってこいの花です。
花言葉は「寂しさ」「哀れ」「多感な心」「変わらない愛」。
寂しさも哀れも感じないのが、かえって印象に残ります(天邪鬼)。
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