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旅、58日目 むべ
通院帰りに八百屋を物色していて、珍しい果物を見つけました。
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「鹿児島の昔なつかしいむべ」と書かれていました。
気になったので、買って帰ってきました。
ムベは、アケビ科の一種で、別名「トキワアケビ」という。アケビが落葉樹なのに対し、ムベは常緑樹で、春になると白い花をつけ、秋には赤紫の実がなる。関東から西の地域に自生しているが、ムベという名の由来は近江八幡にある。
言い伝えによると、天智天皇(626~671年)が琵琶湖南部の蒲生野(かもうの)(現滋賀県東近江市一帯)へ狩りに出かけた際、奥島山(現近江八幡市北津田町)に立ち寄った。
そこで8人の息子をもつ元気な老夫婦に出会い、「お前たちはなぜ、このように元気なのか」と尋ねたところ、老夫婦は「この地で採れる無病長寿の果物を、毎年秋に食べているからです」と答え、果物を献上した。それを賞味した天皇が「むべなるかな(もっともだな)」と言ったことから、この果物が「ムベ」と呼ばれるようになったという。
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アケビの実に似ていますが、熟しても実が割れないそうです。
実を割ると、ゼリー状の果肉と種が詰まっていました。
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食べられる部分がとても少なく、種ごと果肉を口に入れ、口の中で種を避ける、という食べ方になりました。
味は癖も酸味もなく、薄い砂糖水のよう。
もう一度、店で遭遇したら買うかといえば、もう買わないけれど、無病長寿の果物。少しは寿命が延びたでしょうか。
大量に残った種を眺めながら、少し持ち帰って育ててみようかしら、とも考えましたが…これは誰も食べないだろうな。