「ユートピア」と「ディストピア」の違いって知ってる?
「ユートピア」は思想家のトマス・モアがラテン語で出版した著書の名前で、和訳すれば「理想郷」と呼ばれ
現実には存在しない理想的な社会という意味らしい。
じゃあ中国の「桃源郷」みたいなのと一緒なのかしら?とも思ったのだが、「理想郷=桃源郷」とはならないらしい。
ユートピアは「夢想郷ではなく、普通の人々が努力して築き上げた社会主義国家」とされており、地理や社会制度で十分に到達可能であるモノとして描かれている。
桃源郷は「理想社会の実現を諦める」という理念で、完全にファンタジーというか、神話の世界の話とされている。
何だか、似て非なるものという感じがする。
そして、その末路も積極的なユートピアは「目標とは違う災禍を生じ」、消極的な桃源郷は「現実に何の力を持ちえず、人間の精神に大きな慰めを与え得る」となっている。
何だか調べていると、何処にも完全なる社会など存在し得ないのだな、という気持ちになってくる。
そして、ユートピアの対局には「ディストピア」が存在している。
ディストピはには「徹底的な管理・統制」が根源にはあって、人間としての自由・尊厳・個別性が制限されているという特徴がある。
とまぁ、突然、何でこんな事を書きだしたのかというと、
オルダス・ハクスルリー著「すばらしい新世界」という小説を読み始めたからです。
本当に最初の最初まで読んだのですが……数ページでもう既に気持ちが悪い!
私は今まで「ディストピア=終末もの」という、所謂「世界滅亡系」の事だと勘違いしていたみたい。
本物のディストピア系はそんなに甘くなかった。
もう、冒頭数ページから不穏な空気がビンビンで、凄くワクワクするのですが……描写が妙に細かいからか容易に想像ができてゲンナリとする。
2014年に岡山ルネスホールで観劇したおぼんろの「パダラマ・ジュグラマ」を彷彿とさせる。
あの時、うすぼんやりとしか理解できなかった部分が、数年経って、色を取り戻している感覚に陥る。
不思議な繋がり方をしているので、何だか面白いと感じる。
ユートピア系はあまり読んだ記憶がない。
というか、何がユートピア系なのか自分の定義がはっきりしていなかった。
調べている内に「これはユートピア系だったのかな?」と思ったのが
百田尚樹著「カエルの楽園」だ。
こいつもこいつで、なかなかに私の精神を傷つけた小説だった。
ラストシーンとか、今でも書きながら思い出して気持ち悪くなる。
まぁ、題材があからさまな感じがして、そこはあまり好きではないポイントでもあるんだけれど、それでも目が離せずに一気見してしまった。
文章も易しくて読みやすくってするする読めてしまう。
それ故に絶大なダメージを与えてくる。
このように考えていくと、私は「ディストピア系」よりも「ユートピア系」が好きなのかもしれない。
カブフェスで作った「Cross Gear」とか、個人的には「終末系=ディストピア系」という認識だったけれど、いや、これ完全にユートピア系だ。
いや、調べる事って大切だわ。
滅茶苦茶に勘違いしていた。
というわけで、皆様も使い分けにはくれぐれもお気を付けください。
……どのタイミングで使うかはわかりませんが。