秘密基地

これもまた小さい頃の話。

小学校の裏山に隠れて作ったちょっとした秘密基地。

あれが始まりだったように思う。

“ 秘密”ってのがどうにもたまらなくって、

大人から隠れて自分たちだけの空間で過ごす時間がたまらなくて。

「どこにいたの?」って聞かれても、

ニヤけながら「秘密〜」ってはしゃいだあの日の記憶。

幼少期に味をしめたあの快感を、未だに忘れられない。

だからこの都会の喧騒の中で、社会の荒波の中で、

何処かで常に秘密基地を求めてる。

いつでも探している。

それは勿論、裏山の窪みや人が入れそうな用水路みたいなものじゃなくて、

秘密や時間をそこでだけ共有できる空間。

もしくはそれらを独り占めできる空間。

そんな空間を、いつでも探している。

大きくなってからのあれやこれやだって、

きっと秘密基地だったんだなあって気がつく。

雨風に晒され時間は流れて基地なんてどんどん廃れていくわけで、失ってしまうのが哀しくて。

あの時間を、いつでも探している。

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