放浪ゾンビ

彷徨い歩く、

かつて歩んだ道のりを、とぼとぼと

ふらつき捜し回る、

かつて歩んだ道のりを

何処へ行くでもなく、探している

何だかわからないまま、探している

ゾンビはただ探している。

かつて歩んだ道のりを辿る。

死者か生者か分からず狼狽える

自分が何者か分からない亡者

泥濘んだ地面を踏みしめる

傷跡から膿が項垂れる

腐った血が流れ、指が腐り落ちた

どうしていいか分からず、思わず立ち尽くす。

ゾンビは眺める。

自分の手を、足跡を、街を。

雨の重さに耐えきれず枝垂れるような雲が、息苦しい。

騒々しい雨音に、全てを委ねる。

腐った世界、腐った体。

視界だけがどうしてか、残っている。

いいなと思ったら応援しよう!