春眠暁を覚えず
桜の木はまだ雪の下で眠っていた寒い寒い冬の日、麗らかな未来を願い眠りにつきました。
夢でまた会えますように、そう願って目を閉じました。
蕾が綻んだ麗らかな夢の中の景色は、まるで色を塗り損ねた塗り絵のように寂しげでした。
そんな春を超えて、風は熱を帯び涼し気な紫陽花が足元に咲き誇る季節。
また麗らかな春が咲き誇り、懐かしい匂いに包まれるとは、眠りにつく前は思ってもいませんでした。
もう二度と、聞くことは見ることは出来ないと思っていた。不完全なれど、確かにそこにありました。
その事実が眠りから覚めたのにまだ夢の中のようで、微睡みのせいで欠伸が止まらなかったせいか涙が止まらなくなりました。
春眠暁を覚えず
うっかり寝過ごしてしまったのかもしれません。