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印象派から気づいた3つのこと

 2024年1月27日から4月7日まで東京都美術館(上野)で開かれている『印象派-モネからアメリカへ-(ウスター美術館所蔵)』を訪れた。私は学生なので約1400円(コンビニ受け取りのシステム利用料込み)で入館することができた。

はじめに 印象派とは


 知識が少しでもあると関連づけることができ、これが美術の一つの楽しみ方でもあると思うためにまずは印象派とはについて軽く説明させていただく。
シンプルにいうと”印象派”とは”目に見えたものをそのまま””色彩豊かに”描く手法であり19世紀後半からフランスで起こった芸術活動のことである。この”印象派”という言葉は1874年春にモネ、ピサロ、シスレー、ドガ、ルノワール、セザンヌといった名だたる画家たちが宮展のサロンに抵抗して団体展を開いた際に新聞記者ルロワがモネの作品である「印象-日の出」をもじって彼らのことを印象派と呼んだことが始まりである。
 なぜこの頃に”印象派”の活動が活発になったのかといえば、19世紀後半、産業革命の時代であることに強い影響を感じられる。さらにそこから派生した原因として推察できるのは、列車の開発・工場の開発が進む中で田園都市に行くことが容易になったこと、自然が失われることへの悲しみ、技術革新によった宗教に対する不信感、写真という技術が高まることで写実的な中にもより個性の現れる世界の捉え方が求められたことなどが挙げられるだろう。
 ではこの印象派展を訪れて私が思ったことを三つ紹介しようと思う。


1 印象派は世界の”光”を捉える力の高い人たちの作品集

 今回印象派の作品を眺めていて思ったことはもちろん色鮮やかであることだがこれは捉え方を変えれば、光の当たり方によって変わるわずかな色彩の変化を繊細に描いていることだと感じた。彼らの絵に感動させられるのは我々が普段生活する上で気にすることのない微細な色の変化も忠実に再現しており世界をに向ける新しい目を与えてくれているからだと解釈した。また、絵を描くうえで難しいことの一つは色の作成だと認識している。目で見えていても同じ色を作り出せなければ自分の捉えた世界をキャンバスの上にそのまま表現することはできない。そういう意味では”印象派”と呼ばれる彼らは色を作成することに秀でている人たちとも捉えらえるかもしれない。

2 印象派は世界を線で見ていない

 印象派の絵というのは写実的ではあるものの絵の中にクッキリとした境界のあるものは少なく、世界を線で区切るのではなく色と光という明確な境目のわかりづらいもので捉えている。これは実際我々が世の中を捉えているときにもよく考えてみるとこうであると気づくことができる。ものを線の境界で区別しているのではなく、ものが存在することによる光と影、色のグラデーションを知覚することで世界を認識している。”印象派は線で区切られた絵よりも人間の知覚に寄り添った写実性を持っている”と言えるのかもしれない。

3 水・空は光を表してくれる

 印象派の絵を見ていると水・空が出てくることが多い。これはなぜかと考察を一つ。水・空は光の反射を如実に表す。よって光の差し込む角度で人が認識できる色が全く変わってくる。これが印象派の感性を刺激したのだろう。これは実際植物などにも言えることであるが水と空がうまく光を表してくれるものだと無意識のうちに悟ったのかもしれない。氷なども出てくることがあった。青の深さによって影を表現しその温度感などがある意味最も写実的に表されていた。また、雲なども空の深さと光の調節役としてとても多くの場面で見てとることができた。


 以上が簡潔にまとめた印象派展を通じた私の非常に個人的な感想である。他にも考えたことはいろいろあり、好きな作品なども見つけたがこれはまたの機会に紹介するなどとしようと思う。


読んでいただきありがとうございました。

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