見出し画像

身の程知らずに頑張ること

『うちは医者家系じゃなくて...医療ドラマとか漫画とかってかっこいいじゃないですか!医学部入って夢見心地だったんですけど働いてみて現実を知ったというか...自分の実力が見えてきても名医を目指すことが正義って思っちゃうんです。』

『チャレンジせずに楽な方に進む事は逃げではないでしょうか?』


この間、後輩の進路相談に乗った時の話。


数年前から専門医過程の医者の雇用は、各都道府県ごとに人数が定められ、各病院に実際の雇用できる人数として割り振られるようになった。今までだったら、一次募集で人気病院の就職に失敗したら二次募集で同じ地域の病院に務めるということができた。しかし各都道府県の専門医の定員が決まってしまった今、一次試験に落ちると二次募集は人気のない地方しか空いていないという事態が発生するようになった。

後輩は終始、就職が確定的な病院と不確定な人気病院のどちらに一次募集の申し込みを出すか迷っていた。ただ彼女の言葉の端端からは、内心は人気病院の就活にチャレンジしたいと思っているのは明らかだった。

これだけ悩んでいるのだから、後輩はどちらの選択をしても将来的に後悔するのだろう。あの時ああだったら...って。

就職先で病むほど悩んだ先輩からできるアドバイスは1つ!

『自分は逃げた』って思う選択をすると結果が良くても変に引きずることになるぞ!

私は今でも海外で就職しなかったことを後悔している。以前、M先生にどちらを選んでも後悔すると言われて、それからは選んだ選択肢をベストチョイスだと思えるように生きてきたけれど、海外に残らなくてよかったんだとは今でも思えないでいる。


私があのタイミングで日本に戻ってきたからこそ、自分の人生を変える出会いがいくつもあったし、かけがえのない素晴らしい経験をすることもできた。それでもだ。なんでこんなに後悔しているのかずっと考えていたけれど、後輩の話を聞いていてやっと答えがわかった。

答えは明確。

私自身が自分が逃げたと思っているからだ!

海外に残らなかったそれらしい御託を並べているけれど、それまでの留学生活の事実から自分の可能性を推し量って、海外に残るには自分は実力不足、無理だと諦めてしまったんだ。本当は海外生活が楽しかったのに。

選択をすること1つでも、選ぶまでの過程でこんなに結果に付随するものが変わってくるのかと、後輩との会話内で思わず見つけた新しい発見につい感動してしまった。それと同時にやっと海外生活への心残りを供養できるような気がした。だって、日本に帰って来てから逃げてばかりじゃなかったもの。


私はね、身の程知らずに頑張ったっていいと思うよ。だって、私が医師として働いていることが身の程知らずに海外医学部留学に挑戦した結果だから。競争になった時、人は常に自分より上の人間がいるのではないかと想像するだろう。それで落ち込んでしまうのもある意味仕方のないことだと思うし、自分の実力を客観的に測るために必要な時間だと思う。

スタートラインに並ぶには競争相手への恐怖心を克服する勇気を持つこと!

自分より上がいる、けど挑戦してみたい。

それでいいんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?