【映画の感想#13】AI崩壊
予告を見て、期待を感じつつも正直なところ地雷感を感じていた。役者陣は大沢たかお、三浦友和、高嶋政伸といったベテランから、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典といった若手売れっ子俳優まで勢揃いで、日テレの力の入り具合が逆に大丈夫かなと思ったし、何よりAIが反乱を起こすという内容が新しいようで使い古されたテーマじゃないかなと感じていた。有名どころでは「ターミネーター」「攻殻機動隊」あたりかな。もうAIもだいぶ実用化されているし、斬新な話を作るのも難しいだろうなと考えていた。監督は入江悠。結局見るきっかけになったのが監督で、「22年目の告白-私が犯人です-」がなかなか面白かったので見る事にした。
サスペンスのハラハラ感もあり、謎解き的な面白さもあり、最後まで楽しめた。演技もみんな持ち味を出していて良かった。特に三浦友和の昭和感溢れる役柄と、広瀬アリスとの掛け合いがお気に入り。賀来賢人は真面目な役も悪くないけど、やっぱりコメディーの方がいいな。
映画としては楽しめたけど、個人的にストーリーが微妙だった。30年前の作品だったらSFものとして成立したかもしれないけど、今の時代にこれは無いだろと思えるものがたくさんあったのが残念だった。あまりネタバレはしたくないので簡単に言うと、AIに世の中を崩壊させるほどの権限を与えるなんて有り得ないし、警察の逮捕能力も有り得ないレベルで低すぎる。ちなみにAIの技術レベルとしては、今の時代のものとそれほど違わない。AIが悪いんじゃなくて、人間がダメダメ過ぎるだけの内容で失笑の連続だった。
映画の設定に文句を言うのもルール違反なような気もするけど、システムにトラブルはつきもので、万が一、AIが自我を持って人間を殺戮しようとしても、そうならないように設計されている。開発者だけじゃなく、社会インフラには厳しい基準がいくつもある。もしもを想定して対策することに多くの人間と時間が費やされている。
ここまで書いたのは、ネットの感想を見ていると想像以上の人達がこの設定を信用しているようで不安に思ったからだ。AIなんて信用したらダメだなんて思ったり、AI開発に取り組んでいる人や警察がバカにしだす人までいる。これにはちょっとびっくりした。普段、スマホやポイントカードを使って個人情報を公開しているのに。
まあ映画のお話だと思って見て頂ければ、大抵の人は面白い映画だと思う。ただしこんな事になることは無いので、どうしても怖いと思うなら、スマホとポイントカードを諦めるところから始めるのをオススメする。
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