
【映画の感想#37】突入せよ!あさま山荘事件
実際に1972年に長野県軽井沢町で起こった事件を元にした映画。連合赤軍という組織が人質を連れて浅間山荘に立てこもった事件で、犯人側の描写は今でもテレビで特集される事もあるけど、この映画では警察サイドで作られている。そのせいかあまり事件について触れられていないので、もし「あさま山荘事件って何それ美味しいの?」なんて人は事件について調べてから見た方がいい。映画の作りとしてどうかと思うところもあるけど、それだけ有名な事件だししょうがないかな。
この映画の主人公であり原作を書いたのは、あさま山荘事件で陣頭指揮を取っていた故・佐々淳行さん。昔は危機管理の専門家としてテレビにもよく出てきて、とっても気さくな人だったんだけれど、この映画を見て結構立派な人だったんだなと知った。映画では役所広司が演じてるんだけど、雰囲気が似てて良かったと思う。
実際はどうか分からないけど、内容は良くも悪くも再現してるように見えた。会議中にみんなでタバコをふかし、警察はメンツばかりこだわるし、肩書き大好きだし、挙句の果てに戦争の武勇伝を語り出すし。そのくせイザとなったらビビるわ、勝手に行動するわとひどいありさま。当時の警察を皮肉っていて、なかなか攻めている感じだ。
しかも皮肉は警察だけじゃない。マスコミも「待ってるのに疲れたからさっさと突入しろ」なんて言い出すし、世間もテレビのワイドショーを見て知りもしないのに言いたい放題だとボヤいたり。半世紀前のとんでもない世界を見てイラッとするものの、今でも似たような事があるよなとため息をついてしまう所があったり。正直なところ前半はまだしも後半の酷い作りに映画としてどうかと思う部分はあるけど、組織や社会をコントロールする難しさを知るにはとても勉強になった。
雪の中戦う姿はなかなかリアリティあったし、昔の雰囲気を十分に味わえたので映像面はとても良かった。あとエンドロールで名前だけじゃなくて、顔写真出てくるの良かったな。最後に名前が出てきても顔と名前が一致しないことがよくあるので、脇役も含めてこうやってくれるとありがたい。