【映画の感想#38】破門 ふたりのヤクビョーガミ
原作は黒川博行の直木賞受賞作品 「破門」で、映画プロデューサーに騙されたヤクザの建築コンサルタントの男が、逃げ出した映画プロデューサーを追いまわす話。主役は佐々木蔵之介と関ジャ二∞の横山裕。二人とも実力のある役者さんだし、他にも橋爪功や國村隼など実力派俳優がたくさん出ているのだけれども、残念ながら脚本が酷い。なんでこの映画の作りで良いと思ったのか本当に謎だ。
原作は読んだことないけど、まず話の内容が分からない。映画が始まってすぐ映画プロデューサーに騙されるんだけど、まさかこの話で最後まで引っ張るとは思わなかった。いつまで追っかけっこしてるんだろうなと思ったら終わってた。そしてこのメンツでギャグ要素があるのかと思いきや、全くふざけるシーンが無い。佐々木蔵之介も横山君も基本コメディー色があるタイプだから、何となく面白く見えるけど、実は何もふざけていない。これだけのキャストなんだから、もっとふざける感じにすればまだ救われたのに。
それでも役者さん達は本当に良かった。ファンに媚びるわけじゃないけど、横山君はタレントとしても役者さんとしても昔からすごい好きな人で「ザ・クイズショウ」というドラマで嵐の櫻井くん、松浦亜弥と一緒に出ていたのが印象的だった。すごく演技が上手でジャニーズのタレントだとは全く思わず、だいぶ経って関ジャ二∞のメンバーと知った時はびっくりした。ただこの映画の中で横山君もいい味出してたのに、何をしたいのか良く分からないキャラになってしまっていた。
原作に忠実に作りたかったのかもしれないけど、ハードボイルドな内容でコンプライアンス的に心配だから、何となく柔らかい雰囲気を持った役者陣を揃えて撮ったのだろうか。個人的には思い切ってコメディーにして欲しい内容だったけど、原作に忠実でないとそれはそれでクレームが出る時代だからなあ。映画を撮る方も大変だろうなって思う。