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【映画の感想#44】糸
何となく私の苦手な"泣けます系"の映画の予感がしていたけど、主演が菅田将暉、小松菜奈であり、そして何よりも中島みゆきの曲をテーマにした作品であるので、結構前から楽しみにしていた。私が30年近い中島みゆきのファンなので、この曲をテーマにどのように映像化されるのか、とても興味あった。公開日が8/21の金曜日ということで仕事を早めに終えて見に行こうと思っていたんだけど、タイミング良く今日、先行公開されるという事で見に行ってきた。
ちょっと警戒していた"泣けます系"は、多少その気はあったものの、気になる程ものでもなくて良い話だった。平成元年に生まれの二人が出会いと別れを繰り返し、人生で様々な体験をしていく話で、なかなか壮大なストーリーになっている。とにかく思っていた以上に中島みゆきの色があって、中島みゆきが定期的に開催している舞台「夜会」のような感じだった。この映画の脚本に中島みゆきは関わっていないようだし、ファンとしては本当に良い作品に仕上げてくれたなと思う。
ロケ地が北海道、東京、沖縄、シンガポールと近年稀に見る多さで沢山の風景が見れて楽しいし、平成史を振り返りながら、世の中で起こった事件などを見られるのも良い。ケータイ電話からスマホに変わっていくところに、ついつい注目したりして。
演者さんも主演二人以外にも各世代の人気俳優勢ぞろいといった感じで、子役も含めてみんな良い演技を見せてくれる。みんな知ってる俳優さんなのに、映像の中の人物にしか見えなくなってくる。今回はみんなに泣きのシーンがあったけど、みんな綺麗な泣き方する。特に小松菜奈は何回か泣くシーンがあるんだけど、演じた年も状況も違う中で、その時にあった泣き方をするのは本当に見とれてしまった。
豪華な舞台、役者である一方で、大袈裟なストーリーは無いんだけども、人生って色々楽しいことも辛いこともあって、色々な人と出会って生きていくもので、それは普通の事のように感じるけど、なかなか素晴らしいものだよね、って感じさせてくれる作品だと思う。何となく心地良いのは、古き良き日本映画の原点なのかもしれない。そして中島みゆきの世界観を上手く作りあげてくれたと思う。人に薦めていいのか分からないけど、個人的にはとても面白かった。