アーティスト松岡智子さんが「10年後も手放さないモノ」1%の大事なものを見つけるヒント
「自分にとっての1%の大事なことに集中して、残りの99%はすべて捨てる」
あさぎさんは、魅力覚醒講座でこのように話しています。
ですが、そもそも自分にとっての「1%の大事なこと」が何かわからない……なんて方も多いのではないでしょうか。
確かに、感情に蓋をして世間の常識通りに「ちゃんとしなきゃ」と思って生きてきたら、自分が心の底から望んでいることが何なのか、わからなくなってしまいますよね。
そこで今回は、アサギストの皆さんが「1%の大事なこと」を見つけるきっかけになればと思い、アーティストとして活躍する松岡智子さんに、「10年後も手放さないモノ」をインタビューしました。
松岡さんは、
・Zoom背景の抽象画を描く活動が注目を集め、めざましテレビに出演
・今年の10月には作品をルーヴル美術館に展示予定
など、自分の1%の魅力を尖らせて大活躍しているアサギストの一人。
10年という長い月日が経っても手元に残しておきたいモノを語る姿から
松岡さんの大切にしたい価値観や感性に触れていきます。
ぜひ「自分だったら何を選ぶだろう?」と考えて、
「1%の大事なこと」を探すヒントにしてみてくださいね!
※おうちメディアroomieさん(https://www.roomie.jp/)の企画
「10年後も手放したくないモノ」を真似たインタビューになります。
アーティスト 松岡智子さん
2019年にアーティスト活動を開始。イベントでのライブペインティングを中心に活躍の場を広げる。
個人の思いやヒストリーをヒアリングし、Zoom背景の抽象画を描く活動が話題を呼び、TVや新聞など多数のメディアで紹介。1年間で200人近くの作品を手掛ける。
2021年10月には、パリのルーヴル美術館にて作品を展示予定。
10年後も手放さないモノ
◆BUMP OF CHICKENの『Aurora』(オーロラ)をモチーフに描いた絵
この絵は2年ほど前、私がアーティスト活動を始めた当初に描いた作品です。
BUMP OF CHICKENの『Aurora』(オーロラ)という曲にとても感動して、「この気持ちを形に残したい!」という衝動のまま描きました。
私は小さいころから画家を目指していた、というわけじゃなくて。
理系の大学院を卒業して、元々は一般企業で働いていたんですね。
だから、「アーティストになりたい!」という思いが芽生えたとき、この道に進んでいいのか少しためらいがあったんです。
芸術の道を志して大学や専門学校で学んでいるような、ひたむきに努力を続けてきた人がたくさんいる世界に飛び込むのは、やっぱり怖さもあって。
絵を生業にしていきたいという強い思いはありつつも、どこか心の中で「本当にやっていけるのかな」と、不安や引け目を感じていたんです。
そんな時に聴いたのが、BUMP OF CHICKENの『Aurora』(オーロラ)でした。
『クレヨンでこの世界に 今こそ さあどうぞ 魔法に変えられる』というサビのフレーズに、目の前がパッと明るく照らされたような感じがして。
今まで選択肢になかった新しい道でも、ピンときたらチャレンジしていいんだ!と背中を押された気がしました。
描いているときは、キャンバスに色をのせるたびに、自分の未来の可能性が広がっていくようなワクワクが止まらなくて。自由に絵の具と遊ぶ感覚で、夢中になって筆を走らせた思い出深い作品ですね。
◆絵は人と繋がる「コミュニケーションの手段」だった
アーティストになろうと決心したきっかけは、自分の人生を振り返ったとき、成功体験や印象に残っている出来事に「絵」が関わっていると気づいたことでした。
4年前、私は起業しよう!と意気込んで、勤めていた会社を辞めたんです。
VRの会社で働いていた経験を活かして、遺族や友人が亡くなった方と話せるVRのアプリを作りたいと考えていました。
私は大のおじいちゃん子だったんです。親には話せないことも祖父にはなんでも相談していました。でも小学生のころ、病気で亡くなってしまって。
「おじいちゃんともう一度話したい」という、幼い頃からずっと抱いていた願いを、VRの技術を使って実現させたい。そんな気持ちが原動力になりました。またこのアプリが完成すれば、私と同じように大切な方を亡くされた人の希望にもなると思ったんです。
ですが、亡くなった人をVRで再現するのってすごくセンシティブな面が多くて。自分のメンタルがだんだん参ってしまい、苦しさに耐え切れず途中で挫折してしまいました。
すごく頑張って取り組んでいたぶん、反動で燃え尽き具合がすごくて。
時間だけはあったので、毎日ご飯と寝るとき以外はゼルダの伝説をやりこみ、ゲーム廃人と化していました(笑)
そんなニート生活を2年続けていたら、養ってくれていた彼氏にとうとう愛想をつかされてしまって。
ようやく「自分のやりたいことを見つけないとまずい!」と、スイッチが入り、これまでの人生を振り返って、徹底的に感情を掘り下げた自分史を作ったんです。
そこで気づいたのが、私にとって絵を描くのは、大切なコミュニケーションのひとつだったということでした。
色々エピソードはあるんですが、特に印象深いのは中学生のときの総合学習ですね。絶滅した動物を調べて発表するワークをやった際に、3メートルの鳥の絵を描いたんです。
当時の私は自分の気持ちを伝えるのがすごく苦手で、そのくせ何かあるたびにすぐ泣くからクラスの皆に煙たがられていて(笑)
上手く周りに溶け込めない自分に劣等感を感じていました。
でもその絵を描いているときだけは、自分のコンプレックスや、目立つようなことをして皆に嫌われたくない、といった気持ちが不思議と消えて。
ただただ目の前の巨大な作品を完成させることに、夢中になれたんです。
そうしたら、最初は一人で描いていたのに、いつの間にかクラスの子たちが色塗りを手伝ってくれて。
自分が夢中で絵を描く姿が、自然と皆を巻き込むほどの強いパワーになった。
「言葉じゃなくても誰かと繋がれる瞬間が確かにあった」と感じ、胸がいっぱいになりました。
また、完成した絵を見て皆が口々に感想をくれたのも、絵を通して自分の思いを表現できた気がして、すごく嬉しくて。
こんな風に心が震える瞬間を、たくさん積み重ねていきたい。
「絵を描いて生きていく」という選択肢が自分の中に生まれたきっかけでしたね。
アーティストとして絵を描き始めてから、悩んだり苦しかったりした出来事は数えきれないほどあって、常に試行錯誤の繰り返しでした。
それでも途中で投げ出さなかったのは、「他者と繋がれる強い喜びを味わいたい」という思いが根底にあったからだと感じています。
◆豚の毛を使った油絵用の大きな筆
コロナが流行する前は、イベントでのライブペイントを中心に活動していました。
ありがたいことにオファーをいただく機会はたくさんあったのですが、だんだんキャンバスにどんな絵を描けばいいのかわからなくなってしまって。
自分の思うままに表現しているはずなのに、どこか窮屈で型にはまった作品になってしまい悩んでしました。
そんなとき友人に「世界の全てがあなたのキャンバスなんだから、もっともっと自由に描いていいんじゃない?」と言われたんです。
その言葉に不思議なくらい、ふっと力が抜けて。
無意識のうちに「ちゃんと描かなきゃ」と力んでいた自分に気づいたんです。
その思考の枷が外れたとき、自分の中に「小さな枠にとらわれず、思い切り色をぶちまけたい」という強い衝動がふつふつと湧いてきて。
すぐホームセンターに買い出しに行って、巨大なキャンバスを自作しました。
家だと大きくて入りきらないので、近所の公園で描くことにしたんですが、日中だと他の人の迷惑になるので朝早くに決行することに。
当日は朝4時に起きて、友達に手伝ってもらいながら、キャンバスを公園まで運んで。1時間ぐらいで一気に描きました。
その時に使ったのが、この油絵用の大きなサイズの筆です。
大きな絵を描くときって、ワクワクと同時にすごく不安があって。
こんなにでっかいスペースが全部埋まるかな?最後まで描ききれるのかな?って怖くなるんです。
この筆は、そんな私と一緒に寄り添って、絵を完成まで導いてくれた相棒のような存在ですね。
描いているときは自分を解放して、縦横無尽に絵の具をぶちまけられて最高に気持ちよかったです。
手伝ってくれた友人たちも、完成した作品をみて「絵から飛び出て来そうなエネルギーを感じる!」と言ってくれて、嬉しかったですね。
ちなみにその時描いた絵は、家に持って帰ってしばらく保存していたんですが、カビが生えちゃったので処分してしまいました(笑)
描いているときって興奮状態で、絵の具だけじゃなくて、その辺の土をベシャーっとキャンバスに叩きつけることもあって。
雑菌が入るので、長期保存にあんまり向かないんですよね。
ただ、その瞬間瞬間で感じた思いは絵を描くことで昇華されているから、形としてずっと残しておきたい!という強い執着はなくて。
感情のまま自由に表現する充実感が味わえたので、絵を処分するときも、悲しみより感謝の気持ちが大きかったです。
◆自分でペイントした「YUHAKU」の長財布
六本木でふらっと買い物をしていたときに見つけた「YUHAKU」の長財布。店頭でみた瞬間、「なんてキレイな青なんだ!」と一目ぼれしました。
ただ20万くらいしたので、ポンとすぐには買えず(笑)
いったん家に帰ってブランドのサイトを検索してみたところ、YUHAKUの製品は、職人さんが皮を手染めして作っていると知って。
絵を描くように何色も色を重ねることで、味わい深いグラデーションが出来ているとわかり、一つ一つの作品に込めた思いの深さを感じました。
かなり悩みましたが、ずっと気になって頭から離れなかったので、意を決して購入しました。
購入してしばらくは普通に使用していたのですが、ある時「この深い青に白を塗りたい!」という衝動がふっと湧いてきて。
頭の中に浮かんだイメージそのままに、財布にペイントを施しました。
写真を撮って、YUHAKUのSNSアカウントに熱いメッセージとともに送ったら、返信がきて!
「元々の青を殺さず、さらに引き立てるような作品にしてくれて嬉しい」とブランドの社長さんがすごく喜んでくれて、ご厚意で製品を実際に作っているアトリエに招待していただけたんです。
職人さんと直接話ができる貴重な経験ができてめちゃくちゃ興奮したし、YUHAKUというブランドがもっと好きになりましたね。
◆アーティスト 松岡智子さんの10年後
世界各国を旅しながら、絵を通して色んな人とコラボしてみたいです。
あとは、踊りにも興味がありますね。ライブペイントは身体を使って舞うことに近いから、そこから派生してダンスもいいかなって思っています。
最近は古典芸能の能を鑑賞するのにはまっていて。
観るたびに、人ができる身体表現の奥深さに感動しています。
色々な芸術に触れることで、自分の表現の幅も広げていきたいですね。
でも何より一番大切にしたいのは、自分の心の声をちゃんと聞くことかな。
ムリをしたり、人の目を気にしてやったりしたことって、結局はうまくいかないから。
感情を丁寧に見つめて、その時々で最高にワクワクする道を選んでいきたいです。
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