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ダメ社員、輝く社員からお言葉をいただく。
筆者は今日も怒られた。
怒られるのはいつまでも慣れない。褒められた方がうれしいが、大人になると褒められることはほとんど無くなる。そのうち怒られることもなくなるらしい。そのうち性欲もなくなるし、食欲もなくなるらしい。そして睡眠欲もなくなり、やがて天に召される。筆者はその一歩を今日も順調に歩んでいた。
ところで、筆者の日記にも度々登場している伊達君。現在、筆者と同じ会社に入社し、近所に住んでいる。大学時代の友人であるが、職場の同僚でもあるという希有な存在である。親友と言うからには苦楽を共にし、夢を語り合い、いまでも酒を酌み交わす仲であるのが自然である。しかし、伊達君はダメ社員の筆者から見てもすばらしい人間である。筆者は伊達君があまりにすばらしいので自宅では妻と共に「ブタ」と呼んでいる。
そんな伊達君に筆者は柄にも無く人生相談をしたことがある。実は筆者、自分が無能であることを良しとしないタイプの無能である。なんとか人並みに仕事が出来るようになりたいし、評価されたい。それだけに筆者の現在のメンタルはボロボロである。40過ぎの女性のカカトを想像してもらえば、筆者のメンタルを想像することが出来ると思う。そんな傷心の筆者は、何をトチ狂ったか伊達君の家に出向き、相談したことがある。仕事が上手くいかないこと、職場で怒られたこと、将来が不安なこと……。腹の底から出てくる言葉を紡いでいる時には涙がポロポロこぼれてきた。そんなセンチメンタルな筆者に伊達君が贈った言葉を紹介したい。
「へぇ~。お前って本当に無能なんだな~」
ここで伊達君について少し説明したい。伊達君は入社以来、仕事という仕事をしてこなかった。上にヘコヘコして、下に辛く当たることで自分のポジションを確立してきた。同じ業界の人間と遊びほうけて、後輩をいじめていた。もう地方に出しておくというのも限界ということで、本社のちょっとアレな配属をされた人である。
話題を筆者の相談をしたときに戻したい。伊達君は筆者の無能っぷりを指摘した後で「俺はさ、今の部署でエースなんだ。○○さん(筆者と同じ部署の先輩)から『うちこない?』とも言われたしな。でも希望の部署じゃないからなぁ。ちょっとどうしようか迷っているんだよね」と言い放った。筆者はあまりの伊達君の確信に満ちた言葉を聞き、なぜか玄関に置きっ放しになっているカップラーメンの残り汁、そしてそこに浮いているタバコの吸い殻を見つめるほかなかった。
筆者がダメ社員であることに異論はない。仕事もできないし、いつも怒られてばかりだ。それ以上にダメ社員だった伊達君は、筆者が知らない間に与えられた場所でエースになっていた。しかも、部署を選ぶ立場になっていた。伊達君はこの前、仕事に寝坊して3時間ほど遅れていたが、それすらも許される立場になっているのだ。
そんな、輝ける我が社のエース、伊達君が恋人を募集している。伊達君は別れた女のことを悪く言う。あまりに悪くいうものだから、会社の同僚と付き合ったあげく、勝手な理由で別れ、悪口ばかり言って休職に追い込んだ。そんなクールさを持ち合わせる。挙げ句、彼女が復職して恋人を作った時に、「俺、今になって本当に好きって気付いたんだよなぁ。」といい放つ、寅さんのような情に深い男である。筆者の妻が自宅で食事を振る舞ったときにタダでメシを食らって「お前らみたいな出会い方はしたくないな」と正面切って言い放った胆力も持ち合わせる。男気と情の深さを持ち合わせた生粋の江戸っ子なのである。
伊達君の直近のデートは10歳上の女性であった。筆者と伊達君ともう一人の友人(※筆者の友人の中で最もまともな男)のグループラインで「今度デート行ってくる」と投稿したのである。筆者とマトモ友人が「付き合う気はあるの?」と聞いたら「年上すぎるからその気はない」と言った。「なら年上なんだから手出しちゃだめだよ。傷つけるから」というと「分かった」と言った。そのわずか半日後、伊達君は「寝ちゃった」と言ってきた。筆者はその日の夜から今に至るまで、毎朝毎晩、伊達君が不幸になるように祈っている。
ご存じ、そしてお察しの通り、筆者とマトモ友人は家庭を持っている。たしかに筆者はイカレ野郎であるが、家族を守るために一生懸命仕事をしている。マトモ友人はマトモなので普通に結婚して仕事をしている。筆者もまとも友人も伊達君も勤めている企業は一流なので収入は安定している。そのため、筆者とマトモ友人は周りと比べても早めに結婚と出産を経験した。伊達君は周囲の友人が結婚しているので、「自分も家庭を築きたい」と言い出したのだ。
伊達君の条件は①見た目がきれいであること②自分と同じくらいお金を稼いでいること③しっかりして身の回りの世話をしてくれる人④若いこと⑤恋愛結婚ができることである。自信がある方は筆者の掲載しているメールアドレスまでご応募いただきたい。なお、事故の責任は一切負わないのでご了承いただきたい。