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無医村での暮らし

医者のいない村の事を、書いて字のごとく無医村と呼ぶ。

我が農村もこれにあたる。一見とても不便なように感じるが、車で15分ほどのところにある隣町に行けば病院はあるので、通常の通院であれば、たとえ車を持っていない人だったとしても、バスや電車を利用すればさほど不自由ではない。

だが緊急時となると事情が変わる。もし急に様態が悪くなって救急車を呼んだ場合、その救急車がこの村に到着するのに15分、折り返してむこうの病院に着くのに15分、つまり治療に入るのに最低でも30分は掛かるのだ。我が村は冬になれば雪が降るので、もし道路に雪が積もっていたら救急車はあまり速度を出せず、下手をすれば治療に入るのに一時間近く掛かってしまうかもしれない。

毒蛇に噛まれたり、すぐに止血が必要な怪我であれば、救急車を待つより家族や近所の人に病院まで運んでもらったほうがいいかもしれない。だが、もしそんな緊急時に運転できる家族が酒を飲んでいたり、深夜遅くて近所の人に頼むのは気が引ける場合は、やはり救急車を待たなくてはならないだろう。

自然のある所で子育てをしたいとか、静かな田舎で余生を過ごしたいと思ってらっしゃる移住希望者の方は、そこに医者がいるかどうか、もしくは最も近い救急病院がどこにあるのかは調べておいた方がいいように思う。

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