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【茶の話】農薬と肥料②

より生命力を持った活きた生葉って何だろう。そんなところから進んだこの記事ですが、前回、自然栽培ってどうなんだろう?というところで話が終わりました。今日はその続きです。僕としてはここを伝えたくて書き始めたのに、本題が②になってしまいました。。


有機栽培って一口に言っても色々ありそうだというのは前回書きました。「肥料は有機質か化学質か、有機質なら動物性か植物性か」「農薬は有機質のものか、科学質のものか」というところです。

肥料や農薬は有機質のものか?という言葉が示す通り、有機JAS認定を受けている農薬は沢山あります。なので厳密にいうと「オーガニック=無農薬」ではありません。有機質の農薬をかけていることも全然あると思います。有機質の農薬ってなによ?って感じですが。


※有機JASとは?

有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられています。


日本の有機認定のJASは欧州に比べると敷居が低いので、普通のJASだと欧州に輸出できません。ちゃんと輸出できる規格の認定基準があるのでそこをクリアしていないといけません。

「JASの資格を取っている=オーガニック」と日本ではなっています。なのでJASの資格を取っていないのに、有機栽培やオーガニックなど勝手にラベルにうたってはいけないなど制約があるみたいです。商標の関係なのかな?慣行栽培と言っているけど、有機栽培に限りなく近いという生産者もいると思います。低農薬栽培とかはそんな感じなのでしょうか?

という感じなので、大事なのはオーガニックという言葉ではなく、作り手がどのように、どんな精神で栽培しているか?が大切になってきます。


お茶で有機栽培というとクリーンなイメージが強いですが、動物性の堆肥をガンガンまいていればこってりした味わいになりますし、逆に植物性の堆肥、例えば草を発酵させたものや笹など水分の少ない植物をガンガン入れれば、さっぱりした感じになります。

この辺は自然栽培と慣行栽培みたいな感じですね。

ということは位置関係は、「自然栽培←(有機栽培の植物性肥料←→有機栽培の動物性肥料)→慣行栽培」ということでしょうか。

お茶で言うと「香り強い←(香り強い滋味弱←→滋味強い香り弱)→滋味強い」みたいになるのでしょうか。これははっきり言ってかなり乱暴に言ってしまっているので、鵜吞みにしないでほしいですが、少なからずそういった傾向と性質を持っていると思ってもらえたらと思います。

そう考えると、有機栽培は作物の状態をよりミクロにコントロールできるというメリットがありますね。有機栽培であることが大事ではなく、肥料の性質と量が根源的な要素ですね。


話は戻りますが、「より生命力を持った活きた生葉」を育てるうえでとりわけ重要だと思うのは、「茶の木を中心として生命が循環しているか」だと思います。


ささやかな地力があればミミズが表土を肥やします。そうすると元気な雑草が生えてきますよね。

元気な雑草が茂れば、たくさんの虫がやってきたり生まれたりします。バッタやクモ、テントウムシ、カマキリなどですね。それらは益虫として、茶の木の害虫である芋虫や、ダニ、アブラムシなどを食べます。

今度はバッタやクモ、テントウムシ、カマキリなどを食べに蜂やカエルやトカゲ、蛇などがやってきます。

そんなサイクルが自然と茶園を中心に形成されれば、その畑は地力溢れる元気な土地になります。巡り巡って大きな流れとして地力に帰ってくるんですね。

草を切れば地中の微生物やミミズが喜んで分解して、地力に帰ります。そしてイノシシがやってきます(イノシシは迷惑です)。

新芽を丸ごと収穫するなら質の良い有機肥料をほんの少し与えてあげれば、彼らが勝手に食べて循環して地力の環に入っていきます。

なので、美味しいお茶の根源は「茶の木を中心に環境が循環していること」なのかなと僕は思っています。

師匠のところで美味しい茶園はそれは沢山の生き物がいました。でも気持ちの良い、清々しい茶園。命が溢れていました。「自然の循環を尊重し、崩さないように人が管理する有機栽培」ですね。

なので肥料の性質と量が根源的な要素と僕は考えています。

農薬や肥料をたくさん入れてしまったらこの環境はなくなってしまいますよね。生き物を殺してしまうし、偏った栄養は環境を崩します。


ですが、農薬をまく気持ちは野菜農家さんの手伝いや自身が茶園を管理していてなるほどなーと思うようになりました。やりたくはないけど全然理解できる。

何もしないと本当に害虫がいっぱい出るんです。特に環境の循環ができるようになるまでは。せっかく丹精込めて育てたのに虫が食べつくしてしまったり、病気で枯れてしまったり、芋虫の幼虫が巻き付いていたり。

誰だって虫入りの茶は嫌だと思うだろうし。人の口に入るものなのだから、できるだけ綺麗でクリーンなものを届けたい。それは農家さんの気遣いでもあるよな~と思います。綺麗な食品を届けたいという思いは、倦厭されるべきことなのか?と思いました。収穫量が減れば収入が減るというところもりますし。

だからうちは低農薬栽培でやってるという茶農家さんもいらっしゃって、自分でも茶園を管理していてそうだよなあーとも思いました。一生懸命管理した畑が病気で腐り落ちたり、虫だらけになったらと思うと。

一概にはいえませんが、僕は嫌悪するべき対象では絶対にないと思います。


でも何も考えずどっばーと薬品を振りまく人ももちろんいます。それはもうアウトです。おいおい、確かに食べても大丈夫な基準で提供されているとは思いますけど、、って感じです。


経営や卸先の要望など、しがらみの多い中で生産し続けることなので難しい問題ですよね。

農薬を扱うことが悪と思わないでいただけると嬉しいなーと思います。

※今回の記事の内容は、「オーガニック」というラベルに対して、手放しで喜び、他を排除してしまうことはよくないと思う。という事を伝えたかったのでこのような記事になりました。

文中にある情報は、研究して得た情報でなく、実際に農家さんの仕事や手伝いをしていく中で、様々な状況や話を見聞きし、体験として知った内容を主に記述しておりますので、情報として正確でない記述も多々あると思います。

なので各個人の考えに基づきそれぞれ改めて調べ直す事をお勧めします。皆様の考えるきっかけになればと思います。

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