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16歳だった!ー初めての肝試しー⑤
私達は目を見開いてお互いの顔を見合った。
聞いたよね??今の。
聞こえたよね?????!!
ぽんっ ぽんっ ぽんっ ぽんっ...
近くはない。
遠くで、でも確実に霊園内。
鞠をつく音。
連続して聞こえて、少し休んでまた始まる。
6人で話していたら話し声にかき消されてしまうくらいの音。
だけどこんなハッキリ聞こえるなんて。
「音が聞こえてくる方に行こう...!」
私達は音が聞こえる方へ進んだ。
メインの通りをそのまま進んでいくと、音はだんだん近くなってきた。
それにより、音がしっかり分かるようになってくる。
音的にボールはわりと重みのある硬いボールのようだ。
「なんか鞠っていうか、バスケットボールとかそんな感じだよね」
まぁ実際には鞠をつく音なんておそらくこの6人中6人とも聞いたことないだろうが。
けれど、ー初めての肝試しー③にも書いたように霊園の雰囲気にかかればボールと言う単語は“鞠“になる。笑
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霊園内から聞こえてくるのは異常。
最初遠くで
ぽんっ ぽんっ ぽんっ
と控えめに聞こえていたボールの音は今やわりと力強いドリブルの音に聞こえる。
ダンッ ダンッ ダンッ
一行は更に音の方へ向かっていく。
「音・・・こっちの方からするね」
遂にメイン通りから外れコンクリート舗装されていない道を歩いていく。
2人横並びで歩くのがギリギリでもちろん左右にずらっと墓石が並んでいる。
もちろん街灯は無い。
木々に囲まれておらず月明かりだけで周りが見渡せるメイン通りがどれほど甘い道だったか一瞬で思い知る。
細道に入ると一気に音が近くなりまた新たに気づいた。
「え、これって・・」
これは・・
ボールの音ではない。
これは・・
太鼓を叩く音だ・・
歌舞伎などで登場する感じの太鼓の音…
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いきなりめちゃくちゃ怖い…
タンッ タンッ タンッ タンッ・・・
たまに太鼓の音が止む。
気付かれたか・・!?と言う気持ちになり
全員の足が止まる。
が、また太鼓の音は鳴り始める。
どんどん音が近くなってくる。
これはもう目撃してしまうな。遂に。見てしまうんだ。
と、腹を括り始めた。
「もう、すぐそこだわ。」
やまちゃんが小さな声でみんなに言った。
大体こういう話って
音の鳴る方へ行っても行っても距離が縮まらない
とか
途中で音がいきなり聞こえなくなって、いくら探しても音の出どころは分かりませんでした
とか。
でももうこれは突き止めちゃうなぁ。
遂に見ちゃうなぁ…
タンッ タンッ タンッ タンッ...
太鼓はもう、すぐそこで叩かれている。
「この裏だ!」
霊園に鳴り響く太鼓の音に声をかき消されながらやまちゃんは大きな墓石を指差した。
目撃する腹は括れた。
私達は歩みを止めずそのまま墓石の裏に回った。
続く