16歳だった!ー初めての肝試しー③
同じ場所にいたのに居なかったとう説明がつかない謎な状況に全員のテンションが上がり始めた時、
「声うるさ!笑 てか皆んな早くない〜!?」
「結構向こうまで声聞こえてるぞ〜!」
ユウとおサルだ。
「ユウ!やばいことが起きたんだって〜!!あのね…」
ミカがユウに今D-24で起こったことを伝えようとするもユウは興奮気味で言葉を被せて話し始めた。
「てか皆来て!!!!来る途中で鞠をつく音が聞こえたの!!ね!」
「うん!ハッキリ聞こえた!絶対何かいる!!」
「ねー!本当なんだよ!!皆んなで見にいこう!!」
ユウとおサルは自分たちが歩いてきた真っ暗な道を指差した。
「え、マジ?」
D-24での怪奇現象により場はすでにあたたまっていたため、分かりやすくそして確認しやすい“鞠をつく音がする“という情報に皆んなが一気に食いついた。
単純。笑
そしてD-24での怪奇現象の真相解明も早々に諦めユウ達の言う“鞠をつく音“を確認しに行くことになった。
「あ、その前にトイレ行きたい!!」
「私も!」
女子2名がトイレに行きたいと言い出した。
前述の通りD-24にはトイレは無く、地図で確認してもこの辺りで一番近いトイレは私が途中で寄ったトイレだった。
「じゃあウチら途中で寄ったトイレここから近いから一回そこ行ってから鞠の場所行こう!」
「え!トイレ行ったんだ!怖くなかった?」
とユウ。
「電気も普通についてるし大丈夫だよ。」
私がそう言うとじゃあそこに行こうとなった。
センセイが先頭に立ち「こっちだよ」と私達2人が歩いて来た道を戻るように歩いていく。
その後ろを皆んなでぞろぞろ着いていく。
6人集まった事によりさっきまでの気味の悪さは一気に吹き飛びケータイが圏外な事もミカ達となかなか合流できなかった事も早くも笑い話として話していた。
私とセンセイが来た道をしばらく戻るとさっき寄った広場に着いた。
私がトイレに寄った時と何ら変わりない。
「ここだよ〜」と言うと女子2人はトイレに駆け込んで行った。
トイレの鏡でメイクの崩れでも整えようと私もトイレに入ると、ミカとユウが個室に入らずに突っ立っていた。
「ねぇ、奥の個室閉まってんだけど、、」
ミカが閉まった扉の方を向いたまま言った。
ミカの言う通り、奥の個室は行きに寄った時と変わらず閉まっていた。
「さっきもそこ閉まってたよ〜。多分掃除用具入れだと思うけど。」
と伝えた。
えーでも何か気持ち悪くな〜い?
と2人。
まぁ確かに普通掃除用具入れってもっと小さいもんな〜
これ普通にトイレの個室と同じ大きさだしな〜
私も何だかんだ結局男子便使ったしな〜
なんて思いながら改めてその閉まった扉を眺めていたら扉の取手が目に入った。
取っ手の部分に赤い丸が見えた。
え?
「待って、、、
これ内側から鍵閉まってない…?」
!!!?
「今誰か入ってる、、って事?!」
女子三人は震え上がった。
「おーーい、大丈夫ーー?」男子の誰かが女子便に向かって声をかけた。
「ヤバいよ!トイレが一個内側から鍵かかってる!!!」
ユウが叫んだ。
男子達はそれを聞いて女子便に確認しに来た。
「え、まじだ、、」
私は行きに寄った時も扉は閉まっていて、でも物音ひとつしないし別に人の気配もしないから掃除用具入れだと思ったーと言うことをもう一度みんなの前で言った。
でも鍵が内側からかかってるのを今見て掃除用具入れではなく普通の個室なのであろう。と言う事も。
「じゃあ今誰か入ってんのか、、?」
「でも全く気配しなくない?」
「故障してるから内側から鍵かけて使えないようにしてるとか?」
「普通張り紙でしょ。」
「もしかしたら普通に昼間来た人が具合悪くなって倒れちゃってるとか…」
丑三つ時の霊園内の女子便のトイレの個室がなぜ使用中になっているのか熱い議論が始まった。
(自分たちだっているくせに)
ユウとミカはその間に私がそうしたように男子便でトイレを済ませて戻ってきた。
話はまとまらないが、とりあえず何となくやまちゃんがその閉まっているドアをノックした。
....
返事はない。
お化けならいいが、本当に人間だったらどうしよう…
しかもこんなに気配もなくて(お化けならもっと気配出して来そうなもんだし)、何かまずいことになっていたらどうしよう…
私達は全員いつの間にか恐怖心とともに心配な気持ちにもなっていた。
「大丈夫ですか…?」
やまちゃんはもう一度ノックした。
....
変わらず返事はなく、やまちゃんは閉まってるドアに耳を当てた。
....
その後何度かノックをするが何も反応は無かった。
「やっぱ故障とかじゃん?」
「でももし誰か倒れてたらヤバいじゃん」
後ろで皆んなが話す中やまちゃんはしゃがんで下のわずかな隙間から中を覗いた。
「うわあぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!」
やまちゃんの大きな声で皆びっくりして走り出しそうになった。
やまちゃんは尻もちをついたまま言った。
「あ、足が…見えたぞ…」
「え!!!?」
「ヤバいじゃん、人が入ってるって事だよね、大丈夫なのかな!?」
深夜にこんな人気が無いところで…って1番まずいパターンが頭をよぎって、皆ドギマギし始める。
足が見えると言われても、ホントかかなり怪しい・・怖がらせようとしてるだけなのでは・・といまだに冷めた思考の私。
「女の子達は下がってて! あ、あの〜大丈夫ですかーーー??」
やまちゃんは私達女子三人に気を配りまたドアをノックし始めた。
しかしいくらノックしても返事はない。気配もない。
「どうしよう…」
「ほっとくわけにはいかないよね…警察に電話しようか…」
「そしたらウチらも補導されるけどね…」
私達は話し合った結果、補導を覚悟で警察に電話しようという事になった。
が、警察を呼ぶからには見間違いや勘違いでは困るので、本当に中に人間がいるのか確かめる必要があった。
体が小さく身軽なおサルが個室の上から覗く事になった。
「女の子達下がっててね。」
と、またも女子を気遣うやまちゃん。
見た目ただのヤンキーなのにジェントルマンな声かけ。こんな状況の中ミカの目がハートになっていた。
おサルは不安そうな顔つきで個室の前に設置されている洗面台に足をかけ、個室の上の縁に手を掛け恐る恐るトイレの個室を覗いた。
・ ・ ・ ・
「えっっ!?!!?
ウワッっっっ!!!!!!!!!」
おサルは個室を一瞬覗きこんで洗面台から飛び降りて後退りした。
「ひ、人が・・・!!!た、立ってる!!!!」
「そこに立ってて・・俯いてるっっ!」
え?マジで??本当にいんの、、、?
個室の中の全貌を一瞬見たおサル。その言葉と驚き方に一気に信憑性が増す。
「え!?!!?」
「本当に人なの?!」
「立ってるってどーゆう事!?」
「い、生きてるの・・??」
本当にその扉のすぐ向こうに人がいるとして、その人が息を潜めているなんて思えない。だってこんなに近くにいるのに物音ひとつ立たず全く気配を感じないのだから。
夜の公園のトイレで・・とかもたまに聞くし、もしかしたら・・
「分かんないけど、立ってたんだよ!座ってなかった!下を向いてた!!」
おサルの言葉を聞いてまたやまちゃんが「大丈夫ですかー??!」と声をかけ始めた。
しかしそれに返事はなく、結局おサルがもう一度ちゃんとしっかり上から覗いて声をかけよう、となった。
それから通報しよう、と。
私達はわりと全員が最悪の事態を予想して心の準備をしていた。
と、言うのも共通の知り合いが肝試しで入った廃ホテルの浴室で見つけてしまった事があったから。
やまちゃんは中の人に声をかけ続け
おサルはまた洗面台に足をかけて中を覗き込んだ。
続く