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16歳だった!ー初めての肝試しー②
「圏外なんだけど..」
「えっ」
センセイはすぐに自分のケータイを取り出した。そして同じく圏外なのを確認して
「..やばー」と呟いた。
彼も私と同じくバスでのあの言葉を思い出していたのだろう。
もしかしたらそれを言った本人だったかもしれない。
私は怖い気持ち7割、やっと肝試しっぽくなってきたぜ〜と言う気持ち3割。
割と余裕があった。
ペアの相手が気になる男子であれば「え〜怖い〜...」とか言ってその子のカーディガンの裾でも引っ張る所だが、ノリでもそんな気が起きない相手なので(おそらく向こうも..)そのまま歩き続けた。
ケータイの電波はないが別にだからと言って特に何もなくまもなく皆んなと合流する場所に到着した。
「うちら一番乗りだ!」
さっきトイレ休憩した場所より大きく開けており真ん中に大きい木が一本植っておりその前に大きな時計台が立っている。そしてその周りを囲んでぐるっとベンチになっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1719396090756-pZKH0hHSel.jpg?width=1200)
トイレはない。さっき行っておいて良かったと思った。
端の方に“D-24“と書かれた看板とその横に霊園内のマップの看板が立っていた。
それぞれの区画にアルファベットと番号で区分分けされておりD-24が私が今いる場所の番号だった。
あの2チームは絶対ワーキャー言いながら歩いてるはずなのに全然人の喋り声が聞こえて来ない。
「俺ら途中トイレ行ったりしてたのにあいつら遅くね?」
センセイが言い終わるのと同時に私のケータイが鳴った。
「ミカだ!」
電波は弱いがギリギリ入っていた。
電話に出ると
『あーーーーやっと通じたーー!ずっと電話してたんだけど通じなくって!2人で何してたんだよ!!笑』
電話が通じないイコール私とセンセイがイチャついてたんじゃないかと疑うミカ。
『何もあるわけないじゃん…!なんか途中からずっと圏外だったんだよ』
と言い訳すると
『え〜?圏外?ケータイずっと呼び出し音鳴ってけど。笑』
普通圏外になっているケータイにかけると
“お客様がおかけになった電話番号は現在電波の繋がらない場所にあるか電源が入っていないためかかりません。“
とアナウンスされる。
呼び出し音なんてなるはずないけど…
『てか、今どこにいるの??ミカ達着いてしばらく待ってるんだけど』
え。ミカとやまちゃんもう着いてるって?
『え、あの合流場所に??ウチら今さっき着いたとこだよ』
「ミカとやまちゃんが着いてるって言ってるんだけど。」
私はケータイから少し顔を離してセンセイに言った。
「は?いねーじゃん、隠れてるとか?」
ケータイの向こうではミカとやまちゃんのやりとりが聞こえる。
「ね〜!2人着いてるとか言ってんだけど!こわいんだけど!笑」
「え?場所間違えてるんじゃん??」
割と大きい声での会話がケータイから聞こえてくる以外、相変わらず周りからは人の話し声は全く聞こえない。
きっと間違って他の場所にいるのだろう。ミカ達のコースは真ん中だから真っ直ぐ進むだけでここに着くはずなんだけれど..
『え、場所間違ってない?大きな木があってその周りがベンチになってるとこだよ?』
ミカが私に言った。
『あるある。あと大きな時計もあるし、、』
『こっちにもある!』
『あ!園内地図ない?そこに今いる場所書いてあるよ!アルファベットと数字の!ミカ達かウチらどっちかが間違って別の広場にいるのかも』
どちらかが間違えてる以外ない。ミカ達がこの広場を真っ直ぐ突っ切って一つか二つ先の別の広場に行っちゃってるとか。
『あ、ある!待って〜、えーっと、、、、』
私達が間違えてる可能性だってゼロではない。
『D-24て書いてる!』
D-24?
同じ場所…
ここ??
ここに居るの??
どう見たってここには私とセンセイしかいない。
D-24は広くて同じような場所がD-24内にあるのかも、と園内地図を改めて見たがすぐ隣はD-25だしやはりD-24はパッと見て全てが視界に収まる程度の広さしかなかった。
しかし何度ミカとその場所にある特徴的な物や近くにあるお墓の名前を確認し合っても私がいる場所とミカがいる場所は同じだと確信していくだけだった。
『え〜やばすぎ!ウチら全員変なトコに連れて来られたんじゃない?!笑』
ミカは今起こっている変な状況に興奮してキャッキャした声で言った。
『あ、ユウたち は ごうりゅ た?』
ミカの声が途切れ途切れになって聞こえなくなってきた。
『あ、ユウ?まだ合流してない!なんか電波悪いかも、聞こえないよー』
『ーーーーーー......』
ミカからの返答はなく、外で電話をかけてる時特有の音がちぎれちぎれに聞こえそのまま電波は圏外になり電話は切れてしまった。
「また圏外になっちゃった。。」
「あいつらどこいんだよーでも声全ッ然聞こえないから近くにすら来てないと思うけどな〜」
ミカとのやりとりを聞いていたセンセイは園内地図を見ながら言った。
「ウチらが場所間違ってるって事はないかな〜。だってミカ達のルートは真っ直ぐ進むだけだったじゃん」
「俺らは間違ってないよ、入り口で地図の写メ撮ってたまに確認しながら来てたし、ここにある地図見てもこの場所で合ってるよ。」
センセイは食い気味で答えた。
そして地図上の霊園入り口に、伸ばしたケータイのアンテナ(光るやつ)をパシパシ当てながら
「ここからスタートして、ここでトイレ行ってここを曲がって今ここだよ?合ってるっしょ」
と、私たちの歩いてきたルートの答え合わせをした。
![](https://assets.st-note.com/img/1719396280179-nzM4TzLcaD.jpg?width=1200)
確かに私達は間違っていなさそうだった。
「この地図で見る限り、あの2人は相当早く着くはずだけど、、」
「あーーーーーーーいたーーーーーー!!!!」
ミカの大きな声が聞こえた。
私達が歩いてきた道とは反対側の道からミカとやまちゃんが歩いてきた。
「ミーーーカーーーーーー!!」
「ずっと電話してるのに〜!」
ミカが右手に持ってるケータイをこちらに向けて駆け寄って来た。
ミカのケータイは私の番号にかけていて呼び出し中の画面だった。
え?と思い自分のケータイを見たがやはり圏外。
「待って、着信きてないよ。圏外だし」
私はケータイの画面を見せる。
ミカは「えっ」っと呟き、2人で私の番号だけど私の携帯じゃない所に呼び出ししてるミカのケータイの画面を覗き込んだ。
すると、すぐにミカの携帯も圏外になって呼び出し音は切れてしまった。
「何これ、きも」
「どこにかかってたんだろ..」
ケータイを握りながら2人で顔を見合わせた。
「てか、2人ともどこいたの〜!?」
気味悪さを振り払うように大きな声でミカとやまちゃんに言った。
やっぱり2人が間違った場所にいたんだと思い呆れると同時に合流できてホッとした気持ちでもあった。
「え!だからミカ達ずっとここにいたんだってー、さっき電話切れてから仕方ないから近くを探しに行って今戻って来たんだよ〜、ね、やまちゃん!」
「いや、マジマジ!ほんっとに!結構前からここいたよな!」
前髪をかき上げながら答えるやまちゃん。
嘘をついてる感じでもない。
「ウチらもさっきからここにいるけど..」
「え、今来たんじゃなくて?」
「うん。」
「電話してる時も?」
「うん。ここで電話してたよ。動いてないよ。」
「え…???」
私達は同じ時間に場所に場所にいたはずなのにお互いが見えなかったってこと?
そんなサイレントヒルのラストみたいな事あんの?
![](https://assets.st-note.com/img/1719396982244-xrIVZbcOAi.jpg)
キャラのビジュは圧倒的No.1のサイレントヒル!
「何それ、もしかして怖い話じゃね?」
やまちゃんは少しニヤニヤしながら言った。
「、、だとしたらマジヤバくない!?怖すぎんだけど!!!笑」
「てか2人が現れたのもいきなりだから!普通遠くから徐々に声が聞こえたりするのに急にそこに現れたみたいな登場だったぞ」
「いや、ホント普通にさっきここで待ってたんだって!そのベンチ座ってたんだよ!」
「これ電話しながら確認し合った◯◯さんのお墓!ミカはここで電話しててやまちゃんはその時そこ座ってて〜…」
お互いがお互いの事を若干疑いながらも何だかもう訳がわからなくて皆んな盛り上がり始めた。
時刻は丑三つ時に入ろうとしていた。
続く