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俺らのニューヨーク
俺は漫才を筆頭に、『お笑い』を愛している。
高校生にして、お笑いが人生やと思ってる。
お笑い芸人になりたい訳じゃない。
でも、1番かっこいい職業やと思ってる。
そんな俺は、お笑いコンビ「ニューヨーク」がめちゃくちゃ好きや。
どれくらい好きかって言うと、毎日ニューヨークのYouTubeチャンネル見て、ニューヨークの出演するテレビは全部録画する。
そんくらい好きや。
今世間で人気なんは、“誰も傷つけないネタ”だとか“仲良し2人組”だとか“コンビ愛”だとか。とにかく平和なやつ。もちろん、それも好きや。千鳥さんなんかは、それの代表と言っても過言じゃない。見取り図さんはめちゃくちゃ仲良いのが溢れてるし、ぺこぱさんのネタは全てを肯定してくれる。平和な世界、めっちゃ良い。
それでも、俺はニューヨークが1番好きや。
“コンビ愛が流行ってんねやろ?”
みたいなノリでYouTubeの企画を作ってしまうところとか、「俺と嶋佐が漫才してるところ版画で掘ったら、お前ら(ファン)ヨダレ垂らして買うやろ。」って言ってまうところとか。
確実に、ズレてる。
やのに実は同期と後輩想いで、適度な距離感の嶋佐と屋敷やけど案外仲良かったりする。
そんなニューヨークの漫才によく言われるが、
“皮肉や偏見に満ちたネタ”。
その通りでしかない。
ニューヨークのYouTubeチャンネルで上がってる漫才・コントの多くは、M-1とかKOCでは使えへんようなネタばっかり。思わず
「くっっそおもろいのになんでこんなテレビで使えへんようなネタやねん!!」
って叫びたくなるくらい。単独ライブで披露されてるネタやから、しゃあないねんけど。
とにかく、世間に物申したネタ、ある意味一般人視点…?な内容のネタが多い。
ハマる人はとことんハマるし、嫌いな人はとことん嫌いになる。中間がない。
それがニューヨークやと思ってる。
例えば、コント「フラッシュモブ」。
街中でプロポーズするとき、サプライズで通りすがりの人たちがみんな踊り出すやつ。それを題材にしたネタ。
このネタは、屋敷が彼女とデートをしているところから始まる。すると突然フラッシュモブ役の嶋佐が軽快に踊り出し、屋敷は驚いたような素振りを見せる。その直後、彼女にあびせたセリフが「俺こんなんめっちゃ嫌いやわぁ…」だ。そこからは、フラッシュモブに対する文句が出るわ出るわ。こんなネタ、ニューヨーク以外に思いつくか?フラッシュモブなんか、幸せの象徴みたいなもんやん。しかも、彼女からのサプライズ。それを「嫌い」だの「恥ずかしい」だの。その横で嶋佐が飄々と踊る。面白くないわけがない。
そして、漫才「女」。
これは知っている人も多いかもしれん。これぞ『THE・ニューヨーク』って感じのネタ。偏見でしかないし、ジェンダー観について謳われる今の時代に確実に合ってない。それが良い。俺はジェンダー観についてうるさいけど、ニューヨークは別。ニューヨークにそんなん求めたらあかん。ニューヨークのネタを真剣に見たらあかん。真面目な人は、もはや見ないことをオススメする。そんくらいのネタ。
俺が個人的に1番好きなネタは、漫才「こじはる」とコント「女上司」。
紹介した4つのネタは全てニューヨークのYouTubeチャンネルで見れるので、ぜひ調べてみてほしい。
最近はテレビにもよく出るようになって、ファンも増えた。YouTubeのコメント欄は、昔は
「1動画につき1アンチコメント」
が鉄則やったのに、今や女の子からのコメントで溢れている。
テレビに出て、女性ファンも増えて、「顔ファン」なんかもできるようになって。
古参の男ファンからしたら、「ニューヨーク、お前ら売れたな」や。それこそ、
「遠くに行くのを見送る準備はできたで」
や。でもな、ちゃうねん。ニューヨークは、
“俺らのニューヨーク”
のままやねん。ずっと。
もう毎日テレビで見るようになった。めちゃくちゃ嬉しい。けど、
「ニューヨークの尖ってる部分も、他の芸人と同じように丸くなってまうんちゃうか」
って思ったことがある。あの、ニューヨークにしかできない
「1漫才1コントにつき必ず人1人を傷つける」
ようなネタがもう見れへんくなるんちゃうかって。屋敷の毒々しいツッコミ、嶋佐の面白い要素しかない変な動き、ほんまはお笑いにアツいこと…
その良さが全部テレビに出せんのか!?と。
舐めんなよ、でした。
ニューヨークなんかニューヨークなんやからニューヨークのままに決まってるやん。
…そやった。
ニューヨークはニューヨークやったわ。
M-12020決勝のネタを見て目が覚めた。
屋敷と嶋佐が丸くなるわけないねん。
ニューヨークのニューラジオで大声で「ゆき〇よとs〇xしてえ!!」って叫んでた奴が、売れたからって変わるわけないねん。
こんな嬉しいことがあるやろか。
“売れたら人は変わる”
4年前、某YouTuberが好きやった俺は、その一部始終を見た。彼らは、今や数百万を超える登録者数を誇っている。
「昔の、俺が好きやったこいつらのノリにはもう戻らへんねや。」
変わっていく企画、変わっていく生活、変わっていく値段にそう直感した。
当たり前や。売れて、自分が頑張った分だけお金貰えたら、誰だって憧れてた生活を実現したいと思うし、買いたかった服、車、家を手に入れたくなる。でも、彼ら自身が変わっていくのを見るのが、俺は寂しかった。
やからこそ、ニューヨークがニューヨークのままであることが、俺は心から嬉しい。
YouTubeの企画も、やっとテレビに出るようになって色んな層のファンを取り込もうって時に、古参ファンが喜ぶような“お笑いすぎる企画”を持ってきたりする奥田さんも大好きや。
ヒロシも、金井くんのことも、いつの間にかニューヨークを取り巻く周りの人たち、みんな好きになってる。
多くの人を敵に回してきて、今でもニューヨークのことは好きになれへんって言ってる人がいっぱいいる中、変わらず尖ったまま、今までの毒はそのままで、一皮むけたニューヨーク。
まさに「Newニューヨーク」。
初冠番組も、ほんまにおめでとう。
ニューヨークの、賞レースでの優勝を願って。
これからもついていきます。