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続・出張月間「札幌」羊をめぐる冒険の終わり 4日目

普段より早く寝ているお陰で目覚めも早い。5時台には目が覚めていたのでベッドの上でゴロゴロしながら時間を潰す。気が済んだところでパッキングを始め、ロビーにコーヒーを貰いに行く。

午前中はチェックアウトまで部屋で仕事を片付ける。その後は仕事絡みでいくつか見ておきたいところがあったので小移動。

北海道の電車は5年前に宗谷本線に乗ったぶり。アナウンスや列車が違う所に、異郷の地にいることを思わせる。

最後は市内で行けなかった一幻のえびみそラーメンで〆。並んだけど思いの外スムーズで良かった。肝心の味も、香ばしくて好みのタイプ。


7月に入ってからの神戸→東京→北海道という移動が主人公と重なった故にとった今回のタイトル「羊をめぐる冒険」。もちろん出張なので羊をめぐることはしなかった。ジンギスカンは食べたけれど。

そしてこの出張の移動や中やホテルで上下巻を改めて読み直してみた。何度も読み返している本、故にいつ読んでも心に響く言葉がいくつもある。

もちろん新しく響く言葉もあるのだけれど、10代で感銘を受けた言葉というものは、幾つになっても当時の影響の受け方やその時の自分を思い出す。

「弱さというのは体の中で腐っていくものなんだ。まるで壊疽みたいにさ。俺は十代の半ばからずっとそれを感じ続けていたんだよ。だからいつも苛立っていた。自分の中で何かが確実に腐っていくというのが、またそれを本人が感じつづけるというのがどういうことか、君にわかるか?」

羊をめぐる冒険(下)
村上春樹

ここ最近読み返して何度も反芻している言葉。

出張は移動時間やホテルでの時間が長い。6月からずっと続いた出張でそのような時間を経る中で、自分の今・過去の人生を見つめながら、自分の弱さがだんだんと浮き彫りになってきた気がした。

その弱さは潜在的に昔から、10代から持っていたもので、ここ数年の人生の出来事や、社会人になったことを経てじわじわと浮き出てきた弱さだと感じている。


疑問は、人が変わると同時に弱さも消えるのか?のいうものだった。本の中ではこの様に書かれていた。

「弱さというのは遺伝病と同じなんだよ。どれだけ分かっていても、自分でなおすことはできないんだ。何かの拍子に消えてしまうものでもない。どんどん悪くなっていくだけさ」

羊をめぐる冒険(下)
村上春樹

今の自分が頼りにできる答えはこれだと強く感じる。弱さは消えない。逆に、弱さというのも自分を構成する一部なのだと思う。なぜなら、強さだけで出来上がっている人間はいないと思うから。多分、自分の中に存在する強さと弱さの両方がバランスをとっていて、それが人間を人間たらしめている気がする。だから、自分は自分の弱さが確実に自分の中にある事に安堵感を覚えている。自分には弱い人間としての要素を持っている。それでいいのだ。

とてつもなくネガティビティに溢れた結論だけれど、人生にそういう時期があってもいい気がする。強さと弱さのバランスの様に、人生にも陰陽があるとしたら今は確実に陰。それを自覚する事のできた、多分今後の人生にとって意義のある長い長い出張月間でした。

羊をめぐる冒険、これにて終了。


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