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Jリーグ秋春制を真剣に考える

 ACLが秋春制の採用を決定したので、これはもうJリーグも実現可能性について改めて真剣に議論する必要が出てきた。

 数年前、Jリーグは日本サッカー協会から検討を打診されて、真剣に議論をした。日本サッカー協会としては海外組代表選手のコンディションや招集のしやすさを理由に国内のシーズンを欧州と同じ秋春制にしたがっていた。

 Jリーグでは各クラブの社長で構成される実行委員会で議論した結果、現行の春秋制維持という結論を下した。

 理由はいくつかあるが、最大の要因は雪国クラブの大反対による。

 そらそうだ。冬場の雪国はスタジアム使えない、練習場使えない、寒くて集客減、アクセス制限で集客減、アウェイ連戦によるアンフェア、などなどデメリットが次々と想定される。

 日本全体のサッカーの発展を願う自分も断固反対である。

 けれどそうも言ってられない情勢になりつつある。秋春制の実現可能性について、再度真剣に考えるべきタイミングが訪れたのである。

 まずは物理的にリーグ運営が可能かどうか、という問題。仮に9月開幕5月閉幕というシチュエーションで検討してみる。

 これは何とか可能なのではないか。昨シーズンのJリーグは12月4日閉幕、今シーズンは2月17日に開幕している。
 秋春制を採用して、1月は1ヶ月間のウインターブレイクを入れる。これなら現行シーズンカレンダーとの歪みはそれほど大きくない。

 もちろん現行のシーズンでも雪国クラブはかなりの負担を強いられている。積雪でホーム開催ができずアウェイ連戦が続く。スタジアムが使えないだけでなく練習場も使えない。これだけでも圧倒的に不利である。

 しかし、絶対に無理かと言えばそうではない。冬場の期間だけ積雪のない地域を練習拠点とすることはできる。

 冬季にアウェイ連戦が続くことはデメリットかもしれないが、裏を返せば冬場以外の春や秋など優良気候の時にホーム連戦というメリットがある。

 春や秋にホームの試合が多いということは、選手のコンディション面だけでなく、集客の面でも大きな恩恵といえるのではないだろうか。

 東北北陸山陰等の雪国チームは、冬場のアウェイ連戦確定だとして、時々そこそこの雪が降るエリア問題というのがある。

 今季開幕戦の広島とか、エラい積雪で雪かき大変そうだった。建設中の新スタジアムは客席に屋根があるので、試合前とハーフタイムに雪かきすれば、何とか試合の開催はできるのではないか。

 記録的な大雪で試合開催できない日もあるだろうけど、その時は試合延期という手段を取ればいい。いまだってコロナで延期なんてしょっちゅうあるし、代替え日の設定は充分可能だろう。

 雪国に屋根付きスタジアム、屋根付き練習場が早期に建設されることを望むが、実現するまでは上記のような方策で凌ぐことが現実的であろう。

 続いて、冬場の集客問題。自分にも一番降りかかる問題。寒い中90分も試合見てられない。

 海外のサポーターとか氷点下でも普通に観戦してるけれど、あれは寒さに強い人種的な体質と、椅子下の暖房設備によるものと思われる。

 日本人は寒さに弱い。氷点下での試合観戦はコアサポでも辛い。となると、取るべき対応策は客席への暖房設備投資となる。

 しかし、そこにもお金がかかる。せめて客席にマットを用意したり、ブランケットの貸し出しをしたりする。

 また、氷点下のときや雪が降ったときは、Jリーグ側から入場料収入の補償金がクラブに入る制度設計があると良い。

 最後に新卒ルーキー問題。3月に卒業して4月の優勝争い真っ只中に新加入した場合、すんなりとチームに馴染めるのか、お客さん扱いになってしまわないか。

 また、シーズン中の新戦力加入は、リーグ戦の公正さを保てなくなる恐れもある。

 その解決策としては、選手登録をシーズン折り返しのタイミングにするとかかなあ。リーグ戦半分の17試合終わった段階で、皆同時期に新戦力を登録すればフェアなのではないか。

 時期的には1月のウインターブレイクの時になる。学生たちは3学期になるが、卒業年度3学期ならば単位もほぼ取り終え、比較的余裕もあり、チームに合流することは十分可能なのではなかろうか。

 1月開催の高校選手権や大学インカレはどうするんだという意見もあるだろうけど、時期をずらすか、プロ入りしない選手たちで行うか、のどちらかで対応できる。

 以上、ざっとスタジアム面、練習場面、集客面、ルーキー面で検討してみた結果、秋春制は可能というのが俺の結論である。

 冬は寒いからサッカー見に行かない派の自分ですし、雪国が負担を強いられるアンフェアな現状を理解しているつもりの自分なので、秋春制に賛成するのは不本意な部分もありますが、絶対に無理ってことでもないかなと思っています。

 これは雪国を切り捨てるということではありません。雪国を含め、サッカー環境全体の向上を図るチャンスととらえることもできると思います。

 なので、JFAとJリーグには、雪国への配慮を最大限にした上で、秋春制の議論を進めていってほしいと切に願います。