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新譜感想#21 10/tricot

久々に新譜感想を書きます。

好きなものを書くのには、時間とエネルギーが必要だと改めて痛感されました。

パパっと書いて妥協はできない。

ということで、バンドtricot(トリコ)の10周年イヤーの中、

先月10/21に発売されたメジャー2枚目アルバム「10」の感想を書いていきます。

○10か月ぶりの新作

前回アルバム「真っ黒」は1月ごろの発売であり、

約9か月という短期間でのアルバム新作リリース。

本当は来年の1月に出す予定だったんですけど、avexから“10月に出しましょう”と提案があって、“ぜひそうしましょう”となりました。

【tricot インタビュー】私たちにとって“10周年”はただの“今日”でしかない | OKMusic https://okmusic.jp/news/400940 最終閲覧日20/11/21

といった経緯があり、更にはコロナ禍の影響による、リモートを利用した今時の作品になっています。

各々が家で作ったフレーズを提出して、そこに歌を乗せてみたり、ギターをつけてみたり、どんどん重ねていって、ある程度重なった状態で、“あっ、これは良さそう。もうちょっとアレンジしてみよう”とリモートでミーティングしながら進めていったんです。

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○感想

先行デジタル配信3曲を最初に据える開幕の曲順。

オープニングに持ってこいの疾走感あふれ、ストレートな歌詞のM1"おまえ"

会社も学校もすべてばっくれても あたしはあたしを休めない
おまえ/tricot

M2は一転、ひと夏の夜をメロウに歌う"サマーナイトタウン"

メロディは相変わらず良いが、最近のtricotの歌詞はストーリー性を感じさせることが多い。それを感じさせてくれる一曲。

しっかり歌詞を見ながら聴くようにしています。

(前もストーリー性はあったと思うけど、最近なお歌詞が良いと感じる。)

おじさんなので、初期のアナメインやパニエさんのイメージがぬぐえていない。

※このライブ映像何回も見る。


またまた雰囲気が変わり、フロウを変えながら、歌っていくM3"WARP"。途中のラップは、前アルバムの混ぜるな危険の後半を感じさせる。それ以上のボリュームなので、満足感が高い。

このWARPより、フロウのクセが強い変拍子曲、M4"箱"ゆったりながら、Gtキダ・モティフォの重厚なギターに透き通ったVo中島イッキュウの声が乗っかる。ただ、後半のこれは強い。そんなゴミ箱の曲。

M5"炒飯"。炒飯の話と思ったら、深い世界に入り込んでいた、不思議な曲。炒飯から世界の未来を見つめる。米粒から地球を見据えている。

ただ、そこまで考えているかは分からない。ここも、不思議なのだが、歌詞の深さを感じる。

実質インストのM6"あげない"。声が邪魔にならず、一つの楽器のような感覚。

そして、ここまでの盛り上がりをM7"悪戯"で爆発させる。

個人的にあんまり好きじゃなかったが、聴いていくうちに一番好きになった。

M8"幽霊船"で少しずつ終演と向かい、ビシッとM9"Laststep"で締める...。

以前にリリースされたもののバンドバージョン。

ふわふわした感覚。物語のような歌。いい曲としか言いようがない。

これで気持ちが落ち着いて、「きっちり締まった...。」と思ったら、

思わぬ伏兵M10"體"

これで「からだ」と読む。今までバラエティ豊かな9曲を繋いでいったが、「今回のまとめ!」と示す、情報量が多すぎる曲。不穏さ、不安感が凄い。

この狙いについてもインタビューで答えていました。

普通やったら9曲目の「Laststep」で締め括ると思いながら、アルバムに対して締めたくなかったというか、逆に続いていくようにしたかったから…それに10周年感が出すぎたら恥ずかしいし、一番よく分からへん曲で、みなさんを不安にさせたまま終わろうって(笑)。“これで終わらへんで!”っていう気持ちになってもらうのが一番いいと考えたんです。

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ある意味では、次への意思表示を示した曲だが、

ぶら下がるその体の各パーツ
まるで自分のものじゃないみたいに
邪魔で思いでしょう
バラバラにしたい? バラバラにしたい
バラバラにしたい? バラバラにしたい

體/tricot

ラストをこれで締めるのは、tricotらしいと言えばらしいか。

tricot、メジャーで不安になっていましたが、前作のアルバム"真っ黒"でその不安は晴れ、今作"10"では次なる可能性、続けるという意思を示してくれたtricot。

来月には10才ライブも行う。楽しみです。


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Chan-C@HANAGUMI
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