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はじめて哲学対話に参加したときのこと①:ザワザワする気持ちについて考える

わたしが、ちゃんすという名前でnoteをはじめてちょうど一年、そして「ゆるっと哲学対話」をみんなといっしょにはじめて三ヶ月が経ちました。

とてもうれしいことに、とてもたくさんの人が哲学対話に興味を持ってくれて、わたしはこの三ヶ月でざっと50人を超えるひとたちと哲学対話の場を共にすることができました(ほんとうにありがとうございます)。

その一方で、この三ヶ月間、「興味はあるけれど勇気がでない」とか「哲学や哲学対話についてなにも知らないわたしが参加してもいいのかわからない」とか「うまく話せるかわからなくてこわい」という声が、ほんとうにたくさん、わたしの元に届きました。

哲学対話というよくわからないものに参加することは、しかも初めましての人たちといきなり話すということは、きっと、誰にとっても簡単なことではなくて、すごく勇気が必要なことだと思う。
わたしだって、最初はすごく緊張したし(いまでもしてるけど)、すごくこわかった(いまでもこわいけど)。

***

今回は、そんなふうに哲学対話のまえでおろおろしている人たち、あとちょっとの勇気が出ない人たちの助けになればと思い、「はじめて哲学対話に参加したとき」をめぐったとあるインタビューを公開します。

このシリーズを通して、なんとなく「哲学対話、やってみようかな」と思ってもらえたらうれしいです。

*この【はじめて哲学対話に参加したとき】シリーズは全部で3本立てとなっています。次回の更新は1月29日(水)を予定しています。



Q1. 普段はなにをしている人ですか?名前とともに、すこしだけ自己紹介をお願いします。

ちかです。
普段は大学で社会福祉を学んでいます‪🔆‬


Q2. 哲学対話を知ったきっかけはなんでしたか?
哲学対話に興味を持った理由や、そのときの印象があれば教えてください。

哲学対話は、ちゃんすさんのインスタを見て知りました。

私は一人でじっくり考えるのが好きだけど、それを人に話したり、人と一緒に考えてみたりしたことが無かったので、「哲学対話に参加してみたらどんな感じなんだろう」と興味を持つようになりました。そこから、ちゃんすさんのnoteを見たり自分で調べてみたりしました。

その時は、考えたことを参加者のみんなでどんどん話して面白そうだな〜という印象を持っていました。


Q3. はじめて哲学対話をしたのはいつですか?また、どうして哲学対話をしようと思ったのか、そのときどんなことを考えていたのかなどを教えてください。

はじめて哲学対話をしたのは去年の10月です。ちゃんすさんのゆるっと哲学対話に参加しました。

開催のお知らせを見てから申し込みをするまでにすごく悩んで、「哲学対話、気になる、、!」「でも私が参加してもいいのかな、、」という気持ちがずっとぐるぐるしていました。
はじめは申し込まずにいようと思っていたのですが、参加してみたいという気持ちが心の中にずっとあって、勇気を出して参加してみることに決めました。不安な気持ちも大きかったけど、楽しみな気持ちもありました。


「私が参加してもいいのかな」というのは、どんな気持ちだったのか、もうすこし教えてもらえますか?

ちゃんと哲学対話をしたことが無いし、知識もないし、参加者のみんなや対話のためになるようなことが言えないだろうな~、こんな私でも参加していいのかな、という気持ちです!


なるほど。

話を聞いていて、ちかさんは、受け身で参加する感覚ではなく、対話やコミュニティに貢献したいという気持ちがあるがゆえに、「私が参加してもいいのかな」と思ったんじゃないかな、と感じます。
それって哲学対話を大切にしてくれてるということだと思うし、リスペクトしてくれているということだとわたしは思うから、いま改めてうれしい気持ちになりました。

Q4. では、実際に参加してみてどうでしたか?
改めて、ちゃんすのゆるっと哲学対話の感想を教えてください!

初めて参加した時は、じっくり考えて言葉を選んでいるうちにどんどん話が進んでいってしまったり、手を挙げて自分の思いを発言することを怖いと思ってしまったりして対話中何も言えず、対話に取り残されている感覚で頭がいっぱいになって問いについて全然考えられませんでした。

いつか自分も少し勇気を出して、輪になって誰かと対話できたらなという思いから、2か月後に対面でのゆるっと哲学対話に参加しました。2回目もたくさん発言をした訳ではないけれど、みんなで一緒になって1つの問いを考えている感覚があって嬉しかったです。哲学対話は不思議で、疲れるけど、たのしい!参加した2回の哲学対話はどちらも私にとってすごく大事な時間でした。


たしかに、初回の哲学対話のあと、アンケートに「思ったように発言できなくて、心がずっとザワザワしていた」と書いてくださっていたのがわたしも印象深かったです。そのザワザワから、つぎの対話に参加してみようと思うまでに、ちかさんの中ではどんなことが起こっていたんでしょうか?

初めての哲学対話の後に、ちゃんすさんとお話させて頂いたとき*、哲学対話は、たくさん発言したり何かすごいことを言わなくてもいいんだと気づきました。

初回は哲学対話の在り方やルールをちゃんと知らずに・考えずに参加していたので、哲学対話についてじっくり考えて、もう少し知識も深めてからもう一度参加してみたいと思いました。初回の哲学対話の時や、その後にちゃんすさんとお話した時にうまく言語化できない感覚があって(哲学対話はとんでもなく楽しいものではないけど、これは自分にとって何か意味がある気がする、良いものな気がするという感覚です)、それを言語化できないままにしておくのはもったいない!ここで終わるのはもったいない!もっと向き合いたい!と思ったからかなあと思います。


わたしもはじめて哲学対話をしたとき、おなじようなザワザワと、なんかもうちょっとやってみよう、という気持ちをもったのを思い出しました。

*ちかさんとは、10月の哲学対話のあとに二人だけで「ザワザワにかんする会議」(わたしが勝手に呼んでるだけ笑)をして、あれからわたし自身も、みんなのザワザワについてもっと考えてみたい、と思うようになりました。

哲学対話がおわったあとに、すっきりさっぱりたのしかった!とは思えない、なんだかザワザワするあの気持ちは、けっこうみなさん感じているみたいです。わたしはそれがもはや当たり前のようになっているから落ち込んだりはしないけれど、はじめて参加したひとはすごくびっくりするだろうな、と思って。
そのときにさみしくないように、12月の哲学対話ではジンをつくるという試みもしてみました(『「いっしょに考える」がむずかしい』として、一部noteにアップロード済み)。


Q5. 次の質問です。
おもしろかった問いや、印象に残っている対話があれば、理由とともに教えてください。

「生きることは義務?」という問いで行った対話が印象に残っています。
ひとりでは絶対に思いつかないし、ひとりで考えていたら途中で投げ出してしまうような問いについて、みんなでぐるぐる考えることがとっても面白かったです。

自分とは違う考え方をわかりたいと思って一生懸命話を聞いたり、自分の中に無かった考え方にはっとさせられたりすることが多くて、対話の時間が終わりそうになると「みんなで聞いて話して考えるこの場が終わるのが寂しい!」「まだ終わりたくない!」という気持ちになりました。家に帰ってからも一人で考えたり、周りの人に話したり、大学の先生に話してみたりして今も「生きることは義務?」という問いについてゆっくり考えています。


たしかに、哲学対話ってその場で聞いたこと・話したことだけがすべてなんじゃなくて、その前後のつながっているところを含めてぜんぶを「哲学対話」っていうんだなあと最近よく思います。
ひとりで考えることと、みんなといっしょに考えることは、やっぱりけっこう違いますか?どうしてみんなといっしょに考えるんだろう。

ひとりで考えることととみんなで考えることは違うと思います。

ひとりで考えるのはよくやっていることだし勇気もいらないし、楽だけど、新しい発見があまり無くて、自分中心の考え方になるかなあ、と思います。

どうしてみんなで一緒に考えるのか、私は、自分の考え方が世間のどこに位置しているのか知りたかったり、自分の頭の中のことを言葉にして外に出した時に初めて、それが意味のあるものになる感覚があったり、じっくり考える仲間がいる(その場を一緒に共有している)ことが嬉しかったり、自分の頭の中に新しいタネをまく感覚が好きだったりするから誰かと一緒に考えたい時もあるのかなと思います。


Q6. 最後の質問です。
「なぜあなたは哲学対話しているのか」と聞かれたら、いまのちかさんなら、なんと答えますか?

どうして私は哲学対話に参加しているのか、自分でもまだよく分かっていなくて、私が哲学対話をしている目的はこれです!とハッキリ言うことは出来ないのですが、私は哲学対話をしている時間が好きです。参加するのに勇気がいるし、対話が始まる前も始まってからも緊張するし、対話中は頭がこんがらがってたくさん考え込んだり、発言するのが怖かったりしてすごく疲れるけど全然嫌な感じではなくて、またやりたいなと思います。

私は何かをじっくり考えることが好きだけど、それを周りの友達に笑われるのが怖いからいつも一人で考えています。一生懸命考えることを茶化されず、安心して他者と一緒に考えられる哲学対話のような場はあまり無くて、でも必要だと思います。

初めて会った人と問いを出し合いじっくり考える、対話が終わった後もその問いについてふと思い出して考える、対話をした日のメモを見返す、あの時一緒に対話した人元気かな、と思う。そんな時間が私はすきです。

***

ちかさんへのインタビューを通して、哲学対話というものが「わたし」の前後左右に広がっていくような感覚になりました。いままで考えてきたこととこれから考えること、みんなで考えたこととひとりで考えたこと、それらを結び直すような時間が哲学対話なのかなあと思いました。

とてもおもしろかったです。ありがとうございました。

インタビュアー:ちゃんす(授業終わりの講義室にて)

1月24日(金)のよるに、オンラインで哲学対話を行ないますのでご都合が合えばぜひご参加ください!当日ギリギリまで申し込み受付しています。


また、哲学対話に参加するのはまだちょっとこわいかもしれない・・・という人のために、チャットで哲学対話をする場所をつくりました!
わたし自身も試行錯誤しながらの運営なので、いっしょに場をつくってみたいという人がきてくれるとうれしいです。


各回の哲学対話の記録や、インタビュー中に登場した『「いっしょに考える」がむずかしい』が収録されています。もうちょっと哲学対話の様子が知りたいひとはぜひ。
なお、メンバーシップに読み放題プランもありますので、複数購入の方はメンバーシップもご検討ください(マガジンには無料記事もあります!)。


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