【日刊ドローン情報 No.118】ドローンによる電力網スマート巡回点検がスタート―浙江省杭州市
中国では,既に電力設備のドローンによるスマート巡視がスタートしているようです。日本では,センシンロボティクスが鉄塔・送電線点検用ソリューションを開発し(No.67参照),2022年度中の点検業務での実装を目指していますし,東京電力HDとブルーイノベーションが送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影するシステムを開発し,導入しています。
送電線点検においては,ドローンが送電線に近づくと,電磁界の影響で安定した飛行ができません。また最も難しいのは,送電線は外気温や送電線を流れる電流の値によって電線が伸縮するため,あらかじめ設定したルート,高度で飛行させても電線が撮影できない場合があるということです。
東京電力HDとブルーイノベーションは,この課題を克服するために,電線の位置を検出するセンサーにより,機体の制御とカメラジンバルの制御を行うシステムを開発し,電線に沿って飛行することに成功しています。
送電線の巡視は,定期的に行うだけではなく,台風や地震の後など自然災害が発生した際や,重要なイベント,電力の予備率が低い場合などさまざまな状況で行う必要があります。このような場合,今はすべて人で対応していますが,ドローンにより完全自動化されれば省力化になりますし,手軽に巡視・点検を行えることから今よりも実施の頻度を上げることができ,より安定した電力を届けることができるようになるでしょう。