【日刊ドローン情報 No.154】Vol.59 世界のドローン機体メーカーの状況と野波先生[春原久徳のドローントレンドウォッチング]
日本におけるドローン研究の第一人者である,千葉大学名誉教授の野波健蔵先生の講演内容について紹介されています。世界のドローン産業の動向に関する分析も面白いですが,もっとも興味深いのは講演後の質疑応答の内容です。
特に「日本のドローン開発が遅れている要因」として,先生が挙げていたのが,人材の問題ということ。海外では,優秀なエンジニアが高給で雇われ,2~3年開発を行い,また転職するということが繰り返されているようです。また,日本ではドローンへの投資額が少なく,それが人材の確保にも影響を与えているようです。
講演の中での分析にあるように,機体のシェアや性能について遅れをとっている日本ですが,今後巻き返しを図れるとすれば,用途ごとに機体に求める要件が異なる産業向けでしょう。特に,大きな市場となることが予想される配送用や点検用の機体の製造であったり,それらのペイロード(カメラ等の積荷)や周辺サービスで,いかに良いものを開発できるかが今後日本のドローン産業の成長にかかわってきます。
難しい課題ですが,今後必要となるであろう技術を見据え,大学を含めていかに戦略的に人材を輩出することができるかが,今後の日本のドローン産業発展のカギとなるでしょう。