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坊や

公園をテクテクテク歩いていくと、ベンチが丁度いい座りやすい角度で僕を待っていた。

僕は足が幾分くたびれていたから「よかった。よかった。」と言ってそのベンチに腰掛けたのだった。

するとその5分後にどう言うことだろう。小さい子供がこちらにニコニコと笑みを浮かべて歩いてきたのだ。たった1人だ。近くにそれらしき母親のようなものならいるが気づいていないのか、それとも母親の子供ではないのか?知らんぷりである。気づくと僕に歩きながら手を振って僕の座っているベンチに置いてあったスマホに指をちょんと置いた。

僕は何かのメッセージなのか?と、この子から何かを感じ取ったのである。何故ならスマホを触ろうと手を触れたのではなく、そっと何かを伝えるような仕草だったのだ。子供とも思えない繊細な触れ方をしていたからだ。指先でちょんと僕のスマホを触れた後その後すぐに母親らしき人が気づいてこちらに必死の形相で走ってきて子供の体を鷲掴み「ダメよー!!!」と言ってその子の体を抱き寄せた。

その後の母親の言葉を僕は忘れられない。

「ありがとうございました」


「すいません」ではなく、「ありがとうございました」と言って去っていったのだった。

一緒に遊んでくれたと思ったのか?言葉のチョイスをただ間違えたのか?それはわからない。ただ、その言葉がとても不思議に感じた。

「ありがとうございました…。」


その言葉がとても頭の中に響いて離れなかった。そして日も暮れそうな時間になり近くの便所で用をたそうと男子トイレに入りさて立って用をたそうとした時、目の前によくあるチェーン店のコーヒーのカップがあった。そこには英語でこう書かれていたのを僕は見た。


「thank you!」

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