共依存2
高校生になるとますます家庭事情がおかしくなった
急に父の羽振りが良くなり、家にはブランド品がたくさん溢れ高級車まで御目見し、母は毎日買い物に出かけた
なのに娘の私にお金が来ることはなかった。
高校に入れば携帯代や定期代は自分で稼がなければならなかった。定期代がない月は自転車で8駅分走った。
なぜ定期代がないのか。小さい頃貯めていたお弁当代はどうしたのかというと、貯めていた貯金箱がある日カラになっていたのだ。
お金が沢山あるとお金がない事が不安になる。使わなければ自分の財布からお金は減らない。矛先は私に向いた。私のお金を使えば母の財布は膨らみがあるままだ。
いつのまにかお年玉やお小遣い全てがなくなっていた。
ある日、懸賞でテーマパークのチケットが2枚当たった時があった。母はその2枚を保管した。
さほどそれから時間が経たないうちに私は当時の彼に誕生日だからとテーマパークに連れて行ってもらった。
幾分か幸せな気持ちで家へ帰ると
おかえりという言葉ではなく
『ありがとうは?』と唐突に聞かれた。
なにが?
と答えると
『楽しかったでしょうね、タダで行ったんだから』と言う。
私は彼に連れて行ってもらうと伝えたはずだった。
『引き出しから消えてんのよ、嘘つきは出ていきな』
そういって帰ってきたままの格好で家の外に出された。
父が帰ってくる。『どうしたの?』
『ママが今日のチケット盗んだって勘違いしてる』
『盗ってないの?』
『連れてってもらったって言ったじゃん。。』
すると父はいつも
『いいから謝っときなよ。
ママがそう思ってたらもうそうでしょ?』
独裁者かなんかなのか?白は黒で黒は白なのか?!
『なんでよ!私悪くないじゃん!!なんでよ!
パパがちゃんと説明してよ!!』
そういうと
『火に油をそそぐだけ。いい加減分かりなさい』
と私を諭すのだった。
結局その後チケットは大掃除の時に出てきたが母は買って戻したんでしょう?と最後まで私のせいにしていた。
妹が中学でいじめられた時も、
父が奥多摩に失踪した時も、
母はヒステリックを起こした。
私は母がヒステリックを起こすぶん冷静でいられた。
修学旅行先で2時間電話につかまった。
『妹がいじめられていたのよ?貴方がいまごろ楽しんでるなんてありえない!!早く帰ってきなさい。修学旅行よりも家族が大事でしょ!』
いじめなんて中学生ならよくある。私だってある。話さなかったから知らないだけだよ。
『あなたと妹はちがう!帰ってこないなら
家族の縁を切りなさい!』
そういって発狂していた。
文化祭の時には『パパがいなくなった!警察にいく!
早く帰ってきて!』
パパが死ぬわけないじゃん。そんな勇気ないよ。
『遺書があったのよ!早く帰ってきなさい!』
こうやって私の学校の行事はことごとく帰されたが
おおごとになった出来事はなにひとつなかった。
父は別の危険な仕事をしていたから羽振りがよくなっただけだった。これをきっかけに収入は戻った。
うちの家族はなぜ母のヒステリックを理解しないのだろう。言ったらこうなるのに。
家族の前でしれっと生きていけばこんなふうにならないのに。
そんな中で学生時代を過ごしていた。
家族に愛されてないんじゃないか。
と思うようになっていた