「一度嫌われたらそこまでだ」

「一度嫌われたらそこまでだ」と自分自身に言い聞かせることは、人をとても生きやすくしてくれるように思う。

わたしがここで言う生きやすいとは、自分のこころの赴く方向に自然と動いていけるということ。幸せの尺度を、他人の中にではなく自分の中に置くことができるようになるということを言う。


「一度嫌われたらそこまでだ」と自分自身に言い聞かせることは、この「生きやすさ」に直結すると思う。

嫌われないように、とする気持ちは、自分の行動を相手の反応に委ねることになるし、そうなればそうなるほど自分の行動は抑圧されていくものだ。

そうしていくうちに段々自分のやりたいことが分からなくなるし、自分の言いたいことも言えなくなる。相手の反応が妙に気になり、相手の顔色ひとつでハンドルを振り切るような生き方になってしまう。

昔は「嫌われるなんて何か理由があるに違いない」と思っていた。

色んな人に妬まれたり嫌われたり、人並みに誰かとぶつかったり、不快な思いもさせてきた。根も葉もない噂によっていじめられた時も「きっとそんな噂をみんなが信じてしまう自分の行動があったのだろう」と、どんな場合も「すべての原因は全部自分」と思って生きてきた。

中学高校の時は随分気にしたものだけど、そもそも人を嫌いになることがオリンピック開催程度のスパンでしか訪れない性格からか、年齢を重ねてからはそういう煩わしい感情とはだいぶ無縁になった。

でも、事実友達の中には「わたしの悪口を言ってる人がいる」と人の気持ちに敏感な人もいるし、「わたしがこんな風だから」と自分をせめる人もいる。
そういう人たちにこんな言葉を贈りたい。


「きっと、あなたのせいなんかじゃないよ」と。


もちろん自分が相手を傷つけていないか、自分の行動が悪かったのではないかと振り返る時間はとても大切だと思うし、たしかに物事の原因はだいたい自分にあるので、そう思うことは決して悪いことだとは言わないけれど。

だって、いくら嫌われないようにしたって嫌われる時は嫌われる。

笑っていても嫌がられるし、黙っていても嫌がられるし、取り入ろうとしても嫌がられる。
優しくしては気持ち悪がられ、反抗すれば生意気だといわれ、同意してみてもつまらないやつだと言われる。ちょっと頑張ってみて、それでもダメだったらもう諦めてもいいんじゃないの？って。

誰にでも好かれ、誰にでも愛されるなんて幸せなことだが、残念ながら中々そんな人はいない。嫌われない程度の影の薄い感じの人なら世の中に沢山いるだろうけど、それがイコール好かれているとは到底言えない。

たとえば大人気の芸能人やインスタグラマーなどには強烈なファンがいる一方で、強烈なアンチがいるのもどうしても否めないし、その文句の多くは「なんかきらい」という意味の分からないものや、生理的なものだったりするのだから、もう自分ではどうすることもできない。

強烈なファンがいる人は、一方で強烈に嫌われるものだとわたしは思うし、その濃淡が濃くなれば濃くなるほど、強く愛されている証なのかもしれないと思う。

そんなことを言っても誰もが、「嫌われても全然平気」と言えるほど強いわけではないし、わたし自身もできる限り嫌われたくはないので、自分自身の行動には気をつけて生きていたいと思うけれど、

でも。

ちょっと自分を振り返るくらいの時間はもちろん大事だけど、あまり自分を責めるのはよくないよね、とやっぱり思う。それにある程度好きに振舞っても、大丈夫なんじゃないの、と多くの人に伝えたい。

いまのままで十分わたしは好きよ。

よく「あなたはそう言ってくれるけど、他の人はどう思ってるかなんて分かんないじゃん」 と言われる。

本当にそうなのかな？まだ見ぬ誰かについて心配するより、今のまま好きに生きてくれるほうが、きっと多くの「あなたのことが好きだよ」と言ってくれる人を集めることになると思うけど、と最近のわたしは答えている。


自分の思うままに生きれば、ある程度好かれたりある程度嫌われたりする。だったら「一度嫌われたらそこまでだ」と自分に言い聞かせながら、自分の思うように生きてほしい。これを読んだあなたも、わたしも。