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「タックマンモデル」はチームの話ではない?!変化し続けるチームを成長させる「Dynamic Reteaming」という考え方

Scrum Inc. Japanで人事兼アジャイルコーチとして活動しています、庭屋です。
人事兼アジャイルコーチとして活動する中で、アジャイルのコミュニティ等で広まっている仕事の進め方を人事の領域に活用するともっと良い組織が増えるのではないか?と日々思うことがあり発信をしています。
今回はRSGT2024というイベントに参加した際に聞いた講演から、組織開発やチーム支援に有用そうなテーマを取り上げました。
最後に自身の今の活動のモチベーションを表現しておりますのでお読みいただければ嬉しいです。

本記事のまとめ

1:組織開発の変遷を示した「タックマンモデル」はグループセラピーのまとめから導き出されたものであり、「共通の目標に向かう人の集団」である「チーム」の話ではない
2:「チーム」の変遷をモデル化した概念として「Dynamic Reteaming」というものがある
3:チーム、組織開発に関わる考え方で、ソフトウェア開発が起因なものが多い。エンジニアリングに遠いと感じている人事の方も、ソフトウェアエンジニアの組織論を学んでみると面白い気づきがあるはず

「タックマンモデル」はチームの話ではない?!

組織開発を行っている人のほとんどが知っているであろう「タックマンモデル」

チームの状況を5段階に分解した「タックマンモデル」
引用元:https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0053-teambilding.html

タックモンモデルの出典となる論文「Developmental sequence in small groups.」はこんなポイントがありました
>患者とセラピストからなるグループセラピーを扱った論文を50本読んでまとめたもの
つまり、このタックマンモデルは共通の目標に向かうチームから生まれたものではありませんでした
また、「Tuckman Was Wrong! Doc Norton on Reteaming Models」には
「このように直線的に4つのフェーズを進むのはわずか2%に過ぎない」と記載されています。

実際自分の今まで所属してきたチームを考えてみます。
・一年に一度メンバーが少し入れ替わるようなチームにて(一名他部署に移動、新メンバー1名加入)
メンバーが入れ替わった際にチームビルディングをしてはいましたが、新しく入ってきたメンバーほど元からいたメンバーにとって混乱期が訪れているのか?ある程度安定したチームがある中で混乱期を起こす必要があるのか?
・複数チームの融合である「部」単位での動きにて
部としてのミッションがある。大人数が混乱なく活動できる規範が既にある。混乱期に戻さないと機能開始しないのか?十分に機能する組織になりそう。
※とはいえ、これまで多くのチームが納得感を持って参考にしてきたモデルであり、「チームには全く使えない」ものではないと考えます。

「チーム」の変遷をモデル化した「Dynamic Reteaming」

ではチームはどのように変化していくのか。それに関してDynamic Reteamingという概念を提唱しているのがHeidi Helfandさんというアジャイルコーチの方です。
(Dynamic Reteamingの概念はタックマンモデルを否定しているものではありません)
英語のレポートを読むスキルがないので、内容についてはサイボウズの大友さんのまとめをお借りします。

※超シンプルまとめを書きますが、内容の多くが欠落してしまうため気になる方は大友さんのまとめや原著をご確認ください。

Dynamic Reteaming簡単まとめ

チームは常に変化する。そのためチームの成長を直線的なものではなく「エコサイクル」として表現したもの。
・各4つとフェーズの説明と二つの罠がある

Dynamic Reteamingのエコサイクルの図
引用元:https://www.docswell.com/s/toshiotm/53VEPK-2022-08-27-134747

4つのフェーズ
1.誕生
2.思春期
3.成熟
4.創造的破壊
これらは定義された状態ではなく、「今自分/自分のチームはどこにいるのか?」「なぜそう感じるのか?」を共有することで得られる気づきが重要
2つの罠
1.貧困の罠
チームメンバーの相性が悪い、プロダクトがうまく軌道に乗らない、などでうまく成長できていない状態
2.硬直の罠
チームが大きくなりすぎて意思決定の難易度が高い、会議時間が長く停滞しているように感じている、などの状態

このエコサイクルが個人、チーム、組織それぞれに起きている、というもの。

Dynamic Reteamingのパナーキーの図
引用元:https://www.docswell.com/s/toshiotm/53VEPK-2022-08-27-134747

そして罠に陥っている状況に対して、能動的にチームを変化させる「リチーミング」に5つのパターンがある
リチーミングの5つのパターン
1.ひとりずつ(One-by-One)
2.成長と分割(Grow-and-Split)
3.隔離(Isolation)
4.マージ(Merging)
5.切り替え(Switching)
本記事ではチームの成長パターンについて新たな気づきを持ってもらうことが目的のため、5つのパターンについての解説は省略します。

筆者自身の思い

今回はRSGT2024でHeidiさんのKeynoteを聞いて、「是非人事、組織開発に携わる人が知るべきだ」と思い記事を書きました。
今人事兼アジャイルコーチをする中で、組織論や組織に対する考え方で「ソフトウェアエンジニアリング」が起点になっているものが多くあると感じています。
Software Changes The World」という言葉がある通り、ソフトウェアの進化によって、世界は指数関数的に変化、変革していると言われています。
そしてソフトウェアの進化に応じて「組織の在り方」も変わってきていると感じています。
ソフトウェアエンジニアリングの中心にある「アジャイル」という考え方から始まる組織に関する話題を、エンジニアリングから遠いと感じられている人事の方に伝えることなら今の人事兼アジャイルコーチとして活動している自分でも出来ることと考え活動しています。
エンジニア組織で考えられていること、アジャイルとは何か?について知りたいと感じている方がいらっしゃれば、自分の知っていることであれば橋渡しをしながらお話しいたしますのでご連絡ください。

※本記事の内容については、大友さんの日本語訳記事の多くを引用いたしました。シンプルにわかりやすくまとめていただきありがとうございます。

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