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あの頃の衝動 映画『BLUE GIANT』の感想
大人に近づくにつれ、何かに全力になることはカッコ悪い、何かに本気になることはダサいと思ってしまうようになった。
周りで何かに燃えて熱中する人がいても、どこか鼻で笑ってしまう自分がいた。
『BLUE GIANT』を観終えたあと、その考え方こそがカッコ悪くてダサいことだと強く感じた。
全力であることは何よりもカッコよくて、何よりも美しい。
高校卒業後という思春期を過ぎた時期が実は一番多感で、この時期の経験が一番人生に影響を与えると思っている。
そんな時期に大は東京のジャズに圧倒され、バンドJASSを組む。
東京のジャズを目の当たりにした大の、身体の底から湧き上がるような衝動が羨ましかった。
あの衝動が人生には必要であり、その衝動を一生忘れてはならない。
そんな大の演奏から溢れ出るエネルギーは映像で見事に表現されていて、とても眩しかった。
突き上げるようなサックスの音色だけでも凄まじいのに、それを何百倍にも増幅させる煌びやかなアニメーションに涙腺がバカになってしまった。
何よりこのラジオが映画のアフタートークとして完璧で、何度も聴いてしまった。
原作を読んでいる立場から映画版でカットしていた展開を補完してくれたり、映画版での改編の是非について議論していたりしていて内容の理解がグッと深まってもう一回みたくなってしまうほどだった。
原作を全く読んでいない状態で映画を観た立場からすると映画の内容は何一つ文句のつけようがないものだと思ったが、オモコロウォッチで原作の内容を知ると確かに映画版は“物語すぎる”部分があったようにも思えてきた。
実話でも何でもないから物語であることは問題ではないが、ストーリーの中でエンタメに寄せすぎている部分が原作ファンからすると気になったのだろう。
ラジオでは劇中のセリフをミームのごとくイジっていて、映画を観た直後に聴くと分かりすぎてニヤニヤが止まらなかった。
本当に最高のアフタートークだ。
こうなってくると原作を読まなければとも思う。
新たなシリーズも最近始まったようだし、面白いことは間違いないから東京編からチビチビ読んでいきたい。
もっと早く観ればよかったと思ったし、何なら映画館で何も知らない状態で観たかった。
でも映画館で観たら周りに引かれるぐらい泣いてしまう自信があるから、アマプラでちょうど良かったのかもしれない。
20代後半に差し掛かっている今、大のように熱中できるものは特にない。
これから先何か痺れるような衝動を感じることがあるとも思えないし、それを行動に移す活力も足りていない。
それでもこの映画で間接的にその衝動を感じることができて嬉しかった。
穏やかな日々に飽きてしまった時にはまたこの映画を観るようにしたい。ジャズやるべ!!
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