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HamCup学園 oipy回顧録1

【第一部】

日差しが優しく差し込むある日、私は教員室の自分の席で一枚の写真を見つめていた。写真には、私と生徒たちが笑顔で写っている。あの日から、もう10年が経つのだ。

私はoipy、高校の物理科学を教える教師だ。教師になって20年。この仕事に就いた当初から、私は生徒たちの可能性を信じ、共に学んでいくことを大切にしてきた。

しかし、あの出会いがなければ、私は今の自分でいられなかったかもしれない。

時計の針を10年前に戻そう。私が担任を務めるクラスに、個性豊かな生徒たちがいた。

春風が心地よく感じられるある日の放課後。私は校舎の窓から、校庭の片隅に集まる生徒たちの姿を見つけた。

ほんてぃ、むら、らーめん太郎、じゃむ、オズ、ほしこ、せん、丸腸、フクロウ、あこ、ぽんた。個性豊かな11人だ。彼らは今日も、何やら楽しそうに話し込んでいる。

「ねえ、みんなで集まらない?」ほんてぃの提案に、他のメンバーも賛同の意を示す。

「じゃあ、校庭の片隅で!5時集合ね!」丸腸のかけ声で、放課後の集まりが決まったようだ。

私は微笑んだ。彼らのように、仲間と青春を謳歌できる時間は、かけがえのないものだ。

時刻は5時。私は職員室の窓から、校庭の片隅に集まった生徒たちを眺めていた。

「ハムスターがカップに入ってる姿って、すごくいいアイデアだと思わない?」ほんてぃの話し声が、風に乗って聞こえてくる。

「わぁ、想像しただけで癒される〜」あこが目を輝かせる。

「ハムスターがカップに入ってる姿を、グッズ化するとかどう?」ほしこの提案に、他の生徒たちも興味を示している様子だ。

「カップに丸まったハムスターの姿なんて、最高に癒される〜」フクロウも乗ってくる。

「NFT?」ぽんたが聞き返す。

「デジタルデータを独自のものとして扱う、ブロックチェーン技術を使ったものだよ」じゃむがわかりやすく説明する。

「デジタルアートか…面白そう!」ほんてぃの声が弾む。

生徒たちがNFTの話をしているのを聞いて、私は居ても立っても居られなかった。彼らが新しい技術に興味を持っていることが、とても嬉しかったのだ。

そう、実は私自身、以前からNFTについて勉強していたのだ。きっかけは数年前に参加したセミナー。講師の熱意あふれる説明に、新しい時代の予感を感じたのだった。

以来、私はNFTの教育的可能性について考えを巡らせていた。デジタルネイティブ世代の生徒たちに、新しい技術の扉を開いてあげたい。そんな思いが日増しに強くなっていたのだ。

私は立ち上がり思い切って、生徒たちに声をかけた。

「おや、NFTの話で盛り上がってるみたいだね」

「せ、先生!」予想外の声に、生徒たちが驚く。

「ごめんごめん、つい興味をひかれてしまってね。みんなのアイデア、とても面白そうだ」

「先生は、NFTについてご存知なんですか?」ほんてぃが目を丸くする。

「ああ、少しね。私も最近、NFTの可能性に興味を持っているんだ」

「先生、ぜひ僕たちのプロジェクトに参加してください!」むらが食い気味に言った。

「そうだよ先生。先生の知見があれば、僕たちのプロジェクトはもっと面白いものになるはずです」らーめん太郎も目を輝かせている。

「僕たちの技術力と、先生の教育者としての視点。きっとベストマッチだと思います」じゃむが力強く言った。

「みんなで最高のNFTを作り上げましょう!」オズの提案に、他のメンバーも賛同の意を示す。

「先生も一緒なら、もっと楽しくなりそう!」あこが無邪気に笑う。

「ほんとお願いします!僕らの夢を応援してください!」ぽんたも真剣な眼差しだ。

「先生、ご一緒してくれますよね?」ほしこが期待の眼差しを向ける。

「お願いします先生!私たちにぜひ力を貸してください!」フクロウが手を合わせた。

「ほんとお願いします!絶対成功させてみせます!」丸腸も熱っぽく語気を強める。

生徒たちの熱意に押され、私はプロジェクトに参加することを決意した。

「よし、先生も一緒にがんばるよ。みんなで最高のNFTアートを作り上げよう!」

「やったー!」生徒たちが歓声を上げる。

こうして、私とほんてぃ、むら、らーめん太郎、じゃむ、オズ、ほしこ、せん、丸腸、フクロウ、あこ、ぽんたの12人で、「HamCup」プロジェクトがスタートした。

放課後の教室が、プロジェクトのミーティング拠点となった。NFTの基礎知識から、プロジェクトの具体的な進め方まで。私は生徒たちと一緒に学び、アイデアを出し合った。

「NFTって、要するにデジタル世界での所有権を証明するものなんだね」むらが理解を深めていく。

「そうだね。ブロックチェーン技術を使うことで、デジタルアートの唯一性や希少性を保証できるんだ」私が補足説明を加える。

ハムスターの写真や動画を集め、デジタル加工を施していく。じゃむを中心に、NFT発行の技術的準備も進められる。ほんてぃはリーダーシップを発揮し、メンバーを的確に采配した。

「デザインは私に任せて!ハムちゃんの魅力を最大限引き出すよ!」あこが元気よく手を上げる。

「SNSでの発信は僕に任せてください。プロモーション頑張ります!」ぽんたも張り切っている。

プロジェクトが軌道に乗り始めた頃、私は校長のケイティ先生に相談することにした。

「校長先生。実は生徒たちと一緒に、NFTアートのプロジェクトを進めているんです」

ケイティ先生は一瞬驚いた様子だったが、すぐに笑顔を見せた。

「oipy先生らしい取り組みですね。生徒たちの可能性を引き出す、素晴らしいプロジェクトだと思います」

「ありがとうございます。生徒たちのチャレンジを、ぜひ応援していきたいんです」

「もちろんです。私からも、全面的にバックアップしましょう。生徒たちの頑張りに期待していますよ」

ケイティ先生の理解に、私は心から感謝した。

一方、職員室では違った反応があった。

「高校生がNFTだって?冗談じゃない!」体育科のはんじょも先生が、大きな声で言った。

はんじょも先生は、伝統を重んじる頑固者だ。新しいことへの拒絶反応が強い。

「仮想通貨みたいなもので、リスクも大きいんじゃないのか?高校生が手を出していいものなのか?」

「いや、そういうことではなくて…」私が説明しようとすると、はんじょも先生は聞く耳を持たない。

「校長先生に相談だ!こんなプロジェクトは許可できない!」そう言い残して、はんじょも先生は職員室を出て行った。

私は頭を抱えた。NFTへの無理解、新しいことへの拒絶反応。これが、現在の教育現場の課題なのかもしれない。

それでも、私は諦めるつもりはなかった。生徒たちの可能性を信じ、サポートし続ける。それが教師の使命なのだから。

夕暮れ時の教室。私は生徒たちを集めて、こう語りかけた。

「みんな、さまざまな反応があるだろうけど、がんばってきたことを誇りに思って欲しい。君たちなら、必ず素晴らしいNFTアートを創り上げられる」

「でも先生、はんじょも先生が反対していますよね?」ほしこが不安そうに言う。

「その通り。でも、はんじょも先生の考えを変えるチャンスでもあるんだ。私たちの熱意と作品で、きっと理解してもらえるはずだよ」

「僕たちの想いを、NFTに込めて伝えていきましょう」ほんてぃが力強く言った。

「そうだね。仲間と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。君たちの青春は、まだまだこれからだ」

私の言葉に、生徒たちの表情が明るくなった。

「私たちの『HamCup』で、世界中の人を笑顔にしましょう!」丸腸が高らかに宣言する。

「必ず成功させてみせます。先生、ありがとうございます」むらの瞳が輝いている。

「みんなで最高の作品を作ろう。先生、これからもよろしくお願いします」らーめん太郎が握手を求めてきた。

「技術的なことは、僕に任せてください。先生のアドバイスを糧に、がんばります」じゃむが頼もしく言った。

「一緒にがんばりましょう。私たちなら、できる!」オズの笑顔が眩しい。

「苦しい時も、楽しい時も、みんなで分かち合いましょう」せんが優しく微笑んだ。

「デザインで、ハムちゃんの魅力を世界に発信します!」あこが元気よく宣言した。

「SNSで『HamCup』の魅力を伝えていきます。みんなの力を借りて、頑張ります」ぽんたの言葉に力がこもっている。

放課後の教室に、仲間の絆と夢への想いが満ちていた。私は生徒たちと共に歩む未来が、きっと素晴らしいものになると確信していた。

春の日差しが、教室の窓から差し込む。新しい一歩を踏み出した生徒たちの決意が、光に照らされて輝いているようだった。

これから彼らが成長していく姿を間近で見られること。それが、私にとっての教師冥利なのかもしれない。

新しい時代を切り拓く若者たちと共に。私の教師人生の新たな一ページが、今まさに幕を開けようとしていた。

しかし、この挑戦は簡単なものではないだろう。保護者の理解を得ることも、学校全体の支持を得ることも、容易ではないはずだ。

NFTやWeb3技術は、まだ社会に十分に浸透していない。多くの人々にとって、それは未知の領域であり、不安や懸念を抱く対象でもある。

保護者会での説明、他の教師たちへの理解促進、そして何より、生徒たちの安全を確保しながらプロジェクトを進めていくこと。

これらの課題に、私たちはどう立ち向かっていけばいいのだろうか。

そんな思いを胸に、私は窓の外を見つめた。夕暮れの空に、明日への希望が広がっていた。

【第一部 終わり】

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