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ハムカップ学園 B-side

その日、バリたちは、いつものように単車で街を疾走していた。風を切り裂くスピード感に酔いしれながら、彼らはコンビニに到着する。店の前で、バリはふと同じクラスのケイとミオに気づいた。

「よう、ケイ、ミオ。どこか行くのか?一緒に来いよ」バリが気さくに声をかける。
しかし、ケイとミオは首を横に振った。
「ごめん、バリ。今日は忙しいの。エックスで話題のHamCupファンアート大会の出品準備をしないと」

「HamCup?何だそれ?」バリが眉をひそめる。
「ああ、うちの学校の誰かが作ってるNFTだよ。今、すごい人気なんだ」ミオが説明する。

「NFT?何それ、食えんの?」みねまちが不思議そうに聞く。
「違うわ!デジタルの世界の...なんか、絵みたいなものよ」ケイが苦笑する。

バリたちは顔を見合わせた。聞いたこともない言葉に、皆が首をかしげる。
「ちょっと待てよ。俺たちにはさっぱりわからねえ。とにかく、もっと詳しく知りたいんだが」バリが言った。

「私たちもよく知らないんだけど、とにかく今すごい話題なの。ファンアートを描いている人も多いみたい。ごめんね、また後で!」そう言って、ケイとミオは去っていった。

「なんだよ、アレ。気になるじゃねえか」とらぃねこが呟く。
「よし、俺たちも調べてみるか。NFTとやらを」バリが宣言した。

こうして、バリたちはスマホを取り出し、NFTについて調べ始める。しかし、彼らの知識不足から、見当違いの答えに行き着いてしまうのだった。

「なあ、これって、『ねこふんじゃった』の略じゃねえの?」みずとが真顔で言う。
「はあ?なんで突然、ネコが出てくるんだよ」かじゅがツッコミを入れる。

「いや、だって、ほら。ネットで有名な、あのネコの動画とか...」みずとが言い訳する。
「んなわけあるかい!」みねまちがみずとの頭を小突く。

バリは溜息をついた。
「お前ら、真面目に調べろよ...って、俺もよくわかんねえけどな」

そんな中、みずとが真剣な表情で画面を見つめている。
「おい、みずと。何か見つけたのか?」バリが聞く。

「ああ、どうやらNFTっていうのは、デジタルデータを独自のものとして扱う技術らしい。ブロックチェーンとかいうのを使ってるんだと」

「ブロック...チェーン?」とらぃねこが首をかしげる。
「ああ、よくわかんねえけど、とにかくデジタルデータを管理する技術みたいだな」みずとが説明する。

「で、HamCupはそのNFTを使ったアートプロジェクトってわけか」かじゅが納得したように言う。
「そういうことらしいな。ハムスターの画像をNFTにして、売買したりするみたいだ」みずとが続ける。

「ハムスター?まさか、あのちっこい動物を...?」みねまちが驚く。
「そうそう。カップに入ったハムスターの画像が、すげえ人気らしいぜ」とらぃねこが画面を見せる。

そこには、小さなカップに丸まって眠るハムスターの姿があった。
「おい...これ、めちゃくちゃ可愛くねえか?」バリが思わず言葉を漏らす。

「ああ、確かに...」みねまちも釘付けになっている。
「ピンクのカップに白いハムスター...たまんねえな」かじゅがうっとりと呟く。

バリたちは、次々とHamCupのNFTアートを見ては、その魅力に引き込まれていく。
「なあ、相談だけど...俺たち、このHamCupってやつのファンアート作ってみるのはどうだ?」バリが提案する。

「は?冗談言ってんのか?」とらぃねこが驚く。
「いや、マジだよ。こんなに面白そうなもの、他にねえじゃん」バリの目は本気だ。

「でも、俺たち、アート知識ゼロだぜ?」みねまちが不安そうに言う。
「カップに入ったハムスター描けばいいんだろ?そんな難しくねえって」バリが笑う。

「よし、決まりだな。俺たちでHamCupのファンアート作っちまおうぜ!」
バリの勢いに押され、他のメンバーもついに乗り気になる。

「でもよ、ファンアート大会に出すには、もっとクオリティ上げないとなあ」みずとが現実的な意見を述べる。
「そうだな...ちゃんと勉強しないとな」バリがうなずく。

「よし、まずはみんなで練習だ!学校の溜まり場に集合!」
こうして、バリたちのHamCupファンアート制作への挑戦が始まった。

彼らは放課後、溜まり場になっている使われていない部室に集まっては、ハムスターの絵を描き続ける。最初は下手くそな絵ばかりだったが、徐々に上達していく。

「おい、みずと。お前、めちゃくちゃ上手くなってるじゃねえか」バリが感心する。
「ああ、この前の模試で全国10位に入ったからな。勉強時間削って自主練してるんだ」みずとが得意げに笑う。

「全国10位って、お前、頭良すぎだろ!」みねまちがツッコミを入れる。
「そういや、お前、不良のくせに成績優秀なんだよな」かじゅが思い出したように言う。

こうして、不良たちは次第にHamCupの魅力に取り憑かれていった。アートを通して、彼らは新たな自分たちの一面を発見していく。

そんなある日、バリたちがハムスターアートの練習に励んでいると、不審な影が忍び寄る。

「おい、誰かいるぞ」バリがそっと言う。

ドアを開けると、そこには全身黒ずくめの男たちが立っていた。彼らは怪しげな雰囲気を漂わせている。

「お前ら、何者だ?」バリが警戒しながら聞く。

「HamCupを潰しにきたのさ」黒ずくめの男の一人が不敵な笑みを浮かべる。
「HamCupだと?何のことだ?」とらぃねこが怪訝な表情で聞き返す。

「お前らがハムスターアートを作ってるって話だ。それが気に入らないんだよ」もう一人の男が威圧的に言う。
「ああ?俺たちのアートがどうかしたのか?」みねまちが怒りを露わにする。

「ハムスターアートなんて、くだらないんだよ。そんなもの、世の中に必要ない」最後の男が冷ややかに言い放つ。
「な、なんだと!?」バリたちが反発する。

「とにかく、お前らのHamCupファンアートは今日で終わりだ。覚悟しな」黒ずくめの男たちが宣告する。

そう言うと、彼らはバリたちに襲いかかってきた。

「うおっ!」バリが咄嗟に身をかわす。
「この野郎!」みずとが応戦する。

練習場は、一瞬にして戦場と化した。バリたちは必死に黒ずくめの男たちと戦う。

「くそっ、強い...!」とらぃねこが苦戦する。
「だが、俺たちは負けるわけにはいかない!HamCupファンアートを守るために!」バリが叫ぶ。

バリの言葉に奮起したメンバーたち。彼らは団結し、黒ずくめの男たちに立ち向かう。

「うおおおお!!」みんなで力を合わせ、反撃に出る。

激しい戦いの末、ついにバリたちは黒ずくめの男たちを撃退することに成功した。

「やったぜ...!」バリが勝利の雄叫びを上げる。
「みんな、ケガはないか?」みずとが仲間たちを気遣う。

「大丈夫だ。それより、やつらの正体が気になるな」かじゅが眉をひそめる。
「そうだな。マスクを取ってみよう」とらぃねこが提案する。

バリたちは、気絶した黒ずくめの男たちに近づき、そのマスクを剥ぎ取った。

「な、なんだってー!?」バリたちは絶句する。

そこには、バリと同じクラスのわた、たけ、スカボウの顔があった。

「お前ら...なんでこんなことを...?」バリが信じられない様子で問いただす。

わたは、冷たい目でバリを見据える。

「ハムスターを愛するなんて、無意味なことだ。俺はもう、二度とハムスターなんて愛せない...」わたの言葉には、深い悲しみが潜んでいた。

「どういうことだ...?」バリが困惑する。

「昔、俺はハムスターを飼っていた。でも、ハムスターが死んだとき、あまりの悲しさに心が壊れそうになった...」わたは過去を語り始める。
「だから、ハムスターを可愛がる奴らが憎くてたまらなかった。お前らみたいに、無邪気にハムスター愛を語る奴らが...」

バリたちは、わたの告白に言葉を失う。

「でも、わたちゃん...」たけが静かに口を開く。
「お前、本当はハムスターが大好きなんだろ?」

「な、何を言ってるんだ...!俺は...」わたが狼狽する。

「お前のことは、俺たちが一番わかってるんだ」スカボウも続ける。
「お前は、ハムスターへの愛を捨てきれずに、苦しんでいたんだろう...?」

そう言うと、たけとスカボウは、わたの黒ずくめのTシャツを破り捨てた。

「あ...!」わたが驚く。

破れたTシャツの下から現れたのは、『I ♡ HAM』と書かれた真っ白なTシャツだった。

「やっぱりな...お前、まだハムスターを愛してたんだ」たけが優しく微笑む。

わたは、涙を流して崩れ落ちる。

「俺は...俺は...!」わたが嗚咽を漏らす。
「ハムスターが大好きだ...!でも、もう二度と愛せないと思っていた...!」

バリたちは、わたに歩み寄る。

「わたちゃん...俺たちは、お前のハムスター愛を否定したりしない」バリが優しく語りかける。
「そう。ハムスターを愛する気持ちは、誰にも消せないものなんだ」とらぃねこも言葉を添える。

「みんなで、ハムスターへの愛を分かち合おう。そして、亡くなったハムスターたちの分まで、精一杯生きようぜ」みずとが提案する。

わたは、バリたちの言葉に救われたような表情を浮かべる。

「みんな...ありがとう...!俺、もう一度ハムスターを愛してみる...!」わたが宣言する。

その瞬間、バリたちとわたたちは、お互いに強く抱き合った。

「おい、みんな...なんか、涙が止まらねえ...」バリが泣きながら言う。
「ば、バカ...お前のせいで、俺まで...」みずとも涙を流す。

「ハムスター愛...最高だぜ...!」とらぃねこが感動の涙を浮かべる。
「う、うわあああん...!」かじゅが大泣きする。

「俺たち...ハムスター愛で、こんなに繋がれるなんて...!」わたが嗚咽交じりに言う。
「な、泣くな...俺まで...うっ...!」たけも涙を堪えられない。

「ハムスターの魔法だな...こりゃ...」スカボウが笑いながら泣いている。

しばらく涙と笑いに包まれた後、バリたちはわたたちに告げる。

「わた、たけ、スカボウ。俺たちと一緒にHamCupのファンアートを作らないか?」バリが提案する。

「ファンアート?」わたが驚く。
「そうだ。俺たちもHamCupに惹かれたファンなんだ。だから、ファンアートを通じて、HamCupへの愛を表現したいと思ってる」バリが説明する。

「いいね、その考え!」たけが賛同する。
「ああ、ファンアートなら、俺たちにもできそうだ」スカボウも乗り気だ。

「よし、決まりだな!みんなでHamCupファンアート制作に励もうぜ!」バリが笑顔で言う。
「おお...!一緒にハムスター愛を描けるなんて、最高だぜ!」わたたちが喜ぶ。

「これからは、ハムスター愛で結ばれた絆を大切にしようぜ」みずとが言う。
「ああ、そして、HamCupの魅力を、みんなで広めていこう!」とらぃねこが提案する。

こうして、バリたちとわたたちは、HamCupの熱心なファンとして、共にファンアートを制作することになった。かつての敵同士が、今はハムスター愛で結ばれた仲間となったのだ。

「よし、みんな!これからも、ハムスター愛を胸に、ファンアート頑張ろうぜ!」バリが高らかに宣言する。
「おおっ!!」全員で大きな声を上げる。

バリたちは、新たなファン仲間を得て、HamCupへの愛をアートで表現していく。

そして迎えた、エックスで話題のHamCupファンアート大会当日。バリたちとわたたちは、一致団結して作り上げた最高の作品を出品した。

会場には、多くのHamCupファンが集まり、熱気に包まれていた。

「すげえ人だな...」バリが圧倒される。
「俺たちの作品、通用するかな...」みずとが不安げに呟く。

「大丈夫だ。俺たちの思いは、絵に込められてるはずだ」わたが力強く言う。
「ああ、審査員にも、俺たちのハムスター愛が伝わるはずだ」たけが同調する。

結果発表の時、バリたちは固唾を飲んで待つ。

「優勝は...ケイさん、ミオさんペアの『ハムスターの楽園』です!」

歓声が沸き起こる中、ケイとミオが喜びを爆発させる。

「準優勝は...バリさんチームの『HamCup、愛の結晶』です!」

バリたちも歓喜の声を上げる。

「やったぜ!俺たち、入賞しちまったな!」バリが仲間たちとハイタッチを交わす。
「ああ、悔しさもあるけど最高の結果だ!」とらぃねこが笑顔を浮かべる。

授賞式の後、バリたちはケイとミオに近づく。

「ケイ、ミオ、優勝おめでとう!」バリが祝福する。
「ありがとう、バリ!あなたたちの作品も素晴らしかったわ!」ケイが笑顔で応える。

「ええ、本当に感動的だった!ハムスター愛が伝わってきたわ」ミオも称賛する。

バリたちは、悔しさをにじませながらも、二人を称える。

「くそっ、俺たちも負けてられねえな!次は絶対に優勝してやる!」バリが闘志を燃やす。
「ああ、次はケイとミオを超えるぞ!」わたも意気込む。

そんな中、隣のクラスのほんてぃが近づいてくる。

「みんな、お疲れ様!素晴らしい作品だったね!」ほんてぃが声をかける。

「お、ほんてぃ!お前もファンアート大会に出てたのか?」バリが驚く。
「いや、実は...」ほんてぃが言いよどむ。

「実は何だ?」みずとが不思議そうに聞く。

「実は、僕らがこの大会を取り仕切ってるHamCupなんだ」ほんてぃが明かす。

「えええっ!?」バリたちが仰天する。
「な、なんで黙ってたんだよ!」とらぃねこが詰め寄る。

「だって、部活の連絡掲示板に書いてあったでしょ?」ほんてぃが苦笑する。

「あ...」バリたちは言葉を失う。
「見てねえ...」みずとがボソッと呟く。

その瞬間、みんなの笑いが爆発した。

「お前ら、まさかほんてぃがHamCupだとは思わなかっただろ?」バリが腹を抱えて笑う。
「うん、完全に予想外だったわ!」ケイも笑顔を浮かべる。


そのとき、ほんてぃがバリやケイたちに目を向ける。

「ねえ、みんな。実は、HamCupではメンバーを募集しているんだ。みんなも、正式にHamCupに加わってよ」ほんてぃが笑顔で言う。

「え...俺たちが、HamCupのメンバーに...?」バリが目を丸くする。
「そうだよ。みんなのHamCup愛は、本物だ。一緒にHamCupを盛り上げていきたいんだ」ほんてぃが真剣に語る。

「か、かっこいい...!」ケイが感動する。
「ああ、ぜひ入りたい!」ミオも目を輝かせる。

バリたちも、興奮を隠しきれない。

「俺たち、HamCupのメンバーになれるのか...?」とらぃねこが信じられない様子だ。
「ああ、こんな嬉しいことはない!」わたが喜びを爆発させる。

「よし、みんなで一緒にHamCupを作り上げていこう!」たけさんが宣言する。
「ああ、最高のHamCup愛を、世界中に届けようぜ!」スカボウも意気込む。

ほんてぃは、嬉しそうに頷く。

「じゃあ、みんな。これからは、HamCupの仲間として、よろしくね!」ほんてぃが手を差し出す。

「おう!」バリが力強く握手する。
「こちらこそ、よろしく!」ケイとミオも笑顔で応える。

こうして、バリやケイたちは、正式にHamCupのメンバーとなった。ファンアートのライバルたちが、今は同じ目標に向かって手を取り合う仲間となったのだ。

「よし、みんな!これからも、HamCup愛を胸に、頑張っていこうぜ!」バリが高らかに宣言する。
「おおっ!!」全員で大きな声を上げる。

彼らは、新たな仲間を得て、HamCupの可能性をさらに広げていく。

これは、HamCup愛が生み出した奇跡の物語。彼らの冒険は、より多くの人々のハートに火をつけて、続いていくのだった。

そして、HamCupはさらなる高みを目指して、新たな一歩を踏み出す。バリやケイ、わたたちの加入により、彼らの絆はより一層強くなっていた。

「HamCup愛は、世界を救う!」バリが力強く言う。
「そうだね。みんなの心に、ハムスターの魔法をかけよう!」ほんてぃが微笑む。

彼らの前には、無限の可能性が広がっていた。ハムスター愛を武器に、彼らは新たな伝説を作り上げていくのだった。

HamCup愛が、人と人とを結ぶ。そんな温かい物語が、ここにある。バリたちの活躍は、まだまだ始まったばかりなのだ。

おわり

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