HamCup 姫 vs 姫 4
大工 VS 姫!? ~HamCup をめぐる珍騒動~
第4章:HamCupバースタッフ対決!みんなで創る、全ての人が輝く物語
決戦の前日、maoの自宅。
mao(55歳)は緊張した面持ちで、リビングに集まった妻のゆうたろうと娘のこのみんを見つめていた。
「あの...明日の対決、どうしても勝ちたいんだけど、ドレスを着てハイヒールで歩くのに自信がなくて...」
ゆうたろうとこのみんは顔を見合わせ、にっこりと笑う。
ゆうたろう「任せて!まずは髪型とメイクから始めましょう」
このみん「うん!お父さんを素敵に変身させちゃうよ!」
mao「え?ちょ、ちょっと待って...」
しかし、maoの言葉も聞かずに、ゆうたろうとこのみんは準備を始めた。
このみんがヘアスプレーを手に取る。「じゃあ、まずは髪型から!ゴージャスなアップスタイルにしちゃおう!」
mao「ゴージャス?ちょっと派手すぎないか...うわっ!」
突然、冷たいスプレーがmaoの頭に吹きかけられる。
ゆうたろう「じっとしていてね。ここを少し上げて...こうして...」
maoは目を丸くして言う。「う、うわ...髪が妙な方向に立ってる...」
このみん「次はメイクよ!まずはファンデーションから」
mao「ファンデーション?それって...うわっ、冷たい!」
ゆうたろうがブラシでmaoの顔にファンデーションを塗り始める。
このみん「お父さん、目を閉じて。アイシャドウを塗るから」
mao「え?アイシャド...むぐっ」
言葉が終わらないうちに、このみんが目元にキラキラしたアイシャドウを塗り始める。
ゆうたろう「あら、素敵よ。じゃあ次は...そうね、つけまつげを付けましょう」
mao「つけまつげ!?ちょ、ちょっと待って...」
このみん「はい、目を閉じたまま。ぺたっと...できた!」
maoがおそるおそる目を開けると、視界が少し重い。
ゆうたろう「最後は口紅ね。真っ赤なのがいいわ」
mao「赤!?そんな...むむっ」
ゆうたろうが素早く口紅を塗る。
このみん「じゃーん!完成よ!鏡を見てみて!」
maoは恐る恐る鏡を見る。そこには、ゴージャスなアップヘアに、キラキラと輝く目元、長いつけまつげ、そして真っ赤な唇の「派手姫」が映っていた。
mao「うわぁ...こ、これが僕!?」顔を真っ赤に染めながら叫ぶ。
ゆうたろうとこのみんは満足げに笑う。
ゆうたろう「素敵よ、あなた。明日はきっと大丈夫」
このみん「お父さん、超かわいい!」
maoは鏡に映る自分の姿に驚きながらも、家族の笑顔を見て少しずつ緊張がほぐれていくのを感じていた。
ゆうたろう「さて、次はドレスよ」
mao「え?まだあるの?」
このみん「もちろん!お父さん、立って」
maoが立ち上がると、ゆうたろうが華やかなピンクのフリルドレスを持ってきた。
ゆうたろう「はい、腕を上げて。そう、そのまま...」
mao「うわっ、きつくない?」
このみん「大丈夫、お父さん。深呼吸して」
ゆうたろうとこのみんが慣れた手つきでドレスを着せていく。
mao「あれ?思ったより動きやすいかも...」
ゆうたろう「良かった。じゃあ最後は...」
このみん「ハイヒール!」
maoは目を丸くする。「えっ!?ハイヒール...頑張ってみるけど、うまく歩けるかな...」
ゆうたろう「大丈夫よ。ゆっくり練習しましょう」
maoは少し緊張した様子で、でも決意を込めてハイヒールを手に取る。「よし、挑戦してみよう」
maoは恐る恐るハイヒールを履く。
mao「うわっ!バランスが...」
このみんが両手を広げて支える。「ゆっくりね、お父さん。一歩ずつ」
maoはよろよろしながら、一歩を踏み出す。
ゆうたろう「そう、その調子。かかとから着地するのよ」
mao「こ、こう?なんだか難しいけど...」
このみん「そうそう!お父さん、上手になってきたよ!」
maoは少しずつ歩き方を覚えていく。最初は不安げだった表情が、徐々に自信に満ちていく。
ゆうたろう「素晴らしいわ。あなた、本当に素敵よ」
このみん「お父さん、完全に姫様だよ!」
maoは照れくさそうに微笑む。「ありがとう。二人のおかげだよ」
ゆうたろうとこのみんは満足げに笑顔を交わす。
ゆうたろう「さあ、最後に酒の提供の練習をしましょう。私たちがお客さん役をするわ」
このみん「うん!本番さながらにやってみよう!」
maoは深呼吸をして、姿勢を正す。
ゆうたろう(客役で)「すみません、ウイスキーのロックをお願いします」
mao(艶のある声で)「かしこまりました。ウイスキーのロックですね」
maoは慎重にグラスを選び、氷を入れ、ゆっくりとウイスキーを注ぐ。その仕草には、大工としての細やかな技と、新たに身につけた優雅さが混ざり合っている。
mao「お待たせいたしました。ごゆっくりお楽しみください」
このみん「わぁ、お父さん、すごい!本当にバーテンダーみたい!」
ゆうたろう「素晴らしいわ。丁寧さと華やかさが絶妙よ」
maoは照れくさそうに笑う。「ありがとう。これで少しは自信がついたよ」
ゆうたろう「さあ、明日は思い切り自分を表現してきてね」
このみん「うん!お父さんなら絶対大丈夫!」
maoは深呼吸をして、鏡に映る自分の姿を見つめる。そこには、不安と期待が入り混じった、でも確かな自信を持ち始めた「姫」の姿があった。
「よし、明日は全力で頑張るぞ!」maoの声には、新たな決意が感じられた。
そして、決戦の日。
華やかな外観を持つHamCupバー。その扉が開かれると、まるで異世界に迷い込んだかのような雰囲気が広がっていた。
ほんてぃこママが優雅に店内を見渡す。「さあ、いよいよ最終決戦よ。maoさん、あんみつ姫、準備は...」
言葉が途切れる。そこに現れたmaoの姿に、会場が息を呑む。
長く艶やかな黒髪のウィッグは完璧に整えられ、ほのかな花の香りを漂わせている。顔には派手な「夜の蝶メイク」が施され、キラキラと輝くアイシャドウと長いつけまつげが印象的だ。唇は艶やかな赤で彩られ、大胆さと色気を醸し出している。
身にまとうのは、深い紫色のフリルドレス。キラキラと輝くスパンコールがあしらわれ、HamCupのロゴが刺繍されている。足元には、きらびやかなハイヒール。
その姿は、昼間の頑強な大工の親方の面影を微塵も感じさせない。それでいて、以前の姫の姿とも一線を画す、新たな魅力を放っている。
maoは少し恥ずかしそうな、でも決意に満ちた表情で頷く。「はい、万全の準備です」その低い声だけが、彼の正体を僅かに漏らしている。
一方、あんみつ姫の登場に、会場からどよめきが起こる。
あんみつ姫は、和風モダンなデザインのミニドレスを身にまとっていた。淡いピンクの生地に、桜の花びらが舞うような刺繍が施されている。髪は、伝統的な日本髪のアレンジで、現代風のツイストが加えられていた。その髪飾りには、小さなHamCupのモチーフが光っている。
彼女の動きは軽やかで、ハイヒールを履いているにもかかわらず、まるで宙に浮いているかのような優雅さがあった。
あんみつ姫は、maoの姿を見て目を丸くして叫ぶ。「すごい!maoさん、完全に進化してる!夜の蝶って感じ!私も負けてられないわ♪」
くべしが大声で宣言する。「よーし!HamCupバースタッフ対決、スタート!制限時間は営業時間の6時間!最高の"おもてなし"で勝負だ!」
maoは深呼吸をして、ハイヒールを鳴らしながらカウンターに向かう。その歩き方には、以前の経験と新たな特訓の成果が表れている。
最初の客が入ってくる。中年のサラリーマンだ。
maoは艶のある声で挨拶する。「いらっしゃいませ、お飲み物は何になさいますか?」
サラリーマンは驚きの表情を隠せない。「え、えーと...ウィスキーのロック、お願いします」
maoは慎重にグラスを選び、大きな手でそっとウイスキーを注ぐ。その仕草には、大工としての細やかな技と、HamCupの姫としての優雅さが混在している。
「どうぞ、お待たせいたしました」maoはグラスを差し出す。ドレスのフリルが揺れ、スパンコールが光る。
サラリーマンは一口飲んで目を見開く。「おお、これは...素晴らしい。でも、あの...失礼ですが...」
maoは微笑む。「はい、私、実は大工なんです。でも、HamCupの魅力に惹かれて...」彼は照れくさそうに言葉を濁す。
一方、あんみつ姫のテーブルは既に盛り上がっている。
「ねえねえ、このカクテル、インスタ映えしそう~!」若い女性客が興奮気味に言う。
あんみつ姫は笑顔で答える。「でしょ~?特製の"春爛漫ドリンク"よ♪ 味はもちろん、見た目も楽しんでね!」
彼女は器用にシェイカーを操り、華やかなカクテルを次々と作り出していく。その動きは、まるでダンスのように優雅で、客たちは彼女の手さばきに見入っている。
あんみつ姫は、カクテルを作りながら、客たちと軽快なおしゃべりを交わしている。彼女の話題は多岐にわたり、最新のファッショントレンドから、地元の歴史、さらには科学の話題まで、どんな客とも楽しく会話を続けている。
「あんみつ姫、このカクテルの色、どうやって出してるの?」ある客が尋ねる。
あんみつ姫は目を輝かせながら答える。「実はね、これ、地元の果物を使ってるんだ。この色は、ブルーベリーとラズベリーを特殊な方法で混ぜて...」
彼女は化学反応の原理を交えながら、わかりやすく説明していく。客たちは、その知識の深さに驚きの表情を浮かべている。
時間が経つにつれ、店内の雰囲気が変わっていく。
maoのカウンターには、静かに語り合う客たちの輪ができていた。彼の真面目で丁寧な接客と、意外な正体のギャップが、客たちを魅了している。
「ねえ、このカウンター、とても美しい木目だね」ある客が言う。
maoは嬉しそうに答える。「ええ、実はこれ、私が作ったんです。木の個性を活かすのが大切でね...ちょうど、お客様一人一人の個性を大切にするのと同じなんですよ」
彼は木材の魅力とバーの雰囲気作りについて熱く語り始め、客たちは驚きと興味が入り混じった表情で聞き入っている。
一方、あんみつ姫のエリアでは、カクテルづくりのパフォーマンスが始まっていた。
「さあ、みなさん!特別な"マジックドリンク"をお見せしますね♪」あんみつ姫が声高らかに宣言する。
彼女は、様々な種類のリキュールを使って、まるでマジックショーのように色が変わっていくカクテルを作り始めた。客たちは歓声を上げ、スマートフォンを取り出して撮影を始める。
「わぁ!すごい!」「こんなの初めて見た!」興奮の声が上がる。
あんみつ姫は、カクテルを完成させると、にっこりと笑って言う。「これが私たちの魔法よ。みんなの笑顔を引き出す魔法ね♪」
その言葉に、客たちは温かな拍手を送った。
店の中央では、なないろが新しい発明品を披露していた。
「これが私の最新作!自動カクテルメーカーよ!」
しかし、機械が突然暴走し始める。カクテルが勢いよく吹き出し、客たちに降り注ぐ。
「きゃー!」「うわー!」悲鳴と笑い声が混ざり合う。
その瞬間、maoとあんみつ姫が同時に動く。
maoはドレス姿のまま素早く道具を取り出し、器用に機械を止める。「大丈夫です、皆さん。もう安全ですよ」その手際の良さは、まさに大工の技そのものだった。
あんみつ姫は手際よくタオルを配り始める。「ごめんなさい!でも、これって意外と楽しいかも?"サプライズシャワーパーティー"ってことで!」
彼女のユーモアに、客たちの表情が和らぐ。
あんみつ姫は急遽、「カクテルシャワーファッションショー」を提案。「みんな、カクテルで染まった服で即興ファッションショーしちゃおう!」
客たちは興奮して参加し、即席のランウェイが出来上がる。あんみつ姫自身もモデルとして参加し、客たちと一緒に楽しむ姿に、会場は大いに盛り上がった。
時間が過ぎ、営業終了の時間が近づく。
店内には、この一夜限りの特別な対決を最後まで見守ろうと残った熱心なお客さんたちの姿があった。彼らは、maoとあんみつ姫の奮闘を見守り、時に声援を送り、時に笑い、この特別な夜を心から楽しんでいた。
maoとあんみつ姫は、疲れた表情ながらも達成感に満ちた顔で向き合う。
くべしが大声で叫ぶ。「さあ、結果発表だ!勝者は...」
ほんてぃこママが静かに口を開く。「...あんみつ姫よ」
会場がどよめく中、ほんてぃこママは続ける。
「しかし、maoにも特別賞を与えましょう。そして、なないろのマシーンには技術革新賞を」
maoとあんみつ姫は驚きの表情を浮かべる。
mao「あんみつ姫の勝ちか...でも、特別賞をもらえるなんて」
あんみつ姫「やった!でも、maoさんも素晴らしかったわ」
ほんてぃこママは三人に優しく微笑みかける。「あんみつ姫は、伝統と革新をバランス良く融合させていたわ。maoは、短期間での上達が素晴らしく、その努力は特筆に値するわ。そして、なないろのマシーンは、未来の可能性を感じさせてくれた」
彼女は会場全体を見渡す。「これこそが、私たちが目指す姿なの。伝統を守りつつ、新しいものを取り入れ、そして技術の発展も大切にする。この三つの要素が揃って初めて、私たちは進化し続けられるのよ」
maoは深く感動した様子で言う。「本当だ...多様な人々の想いが、HamCupを作っているんだね。大工の仕事と同じだ。一本一本の木材が違うように、一人一人が違って、でもみんなが大切。そんな想いで作り上げていくんだ」
あんみつ姫は元気よく叫ぶ。「よーし!もっともっと多様で、みんなが輝ける素敵な場所を作っていこう!」
全員で声を合わせる。「HamCupを愛する全ての人が主役!年齢も、性別も、何も関係ない!みんなで作る、みんなのバー!」
ほんてぃこママは再びカメラを向ける。「さあ、これが本当の姿よ。みんなが自分らしく輝き、それぞれの形でこの場所を愛する。そんな多様性に満ちた物語の始まりね」
夜空には、まるで祝福するかのように、満天の星が輝いていた。それぞれが違う輝きを放つ星々のように、この場所を愛する一人一人が、かけがえのない存在として光り輝いていた。
maoは静かにつぶやいた。「家族や仲間、そして大切な人たち、本当に多様な人々と共に歩む道。それこそが、本当の幸せなんだね」
あんみつ姫は頷いて答えた。「うん、みんなで作るこの場所。きっと誰もが自分らしく輝ける最高の場所になるよ!」
そのとき、くべしが笑いながら言った。「そうそう、みんなが輝ける場所だ。でもmaoさん、結果としては、あんみつ姫の二勝一分けだったな。本物の姫はどっちだ?」
maoは一瞬たじろいだが、すぐに笑顔を取り戻した。「本物の姫?それは...特定の誰かじゃないんだ。僕もあんみつ姫も姫として頑張っている。でも、この場所を愛する全ての人たちには、それぞれの関わり方があるんだ。姫になろうとする人もいれば、お客さんとして応援する人、スタッフとして支える人...みんながそれぞれの形でHamCupを大切にしている。それこそが、本当の姿なんじゃないかな。そして、その中で皆んなが主役なんだ」
あんみつ姫が明るく付け加えた。「そうそう!私もmaoさんも、姫として頑張ってるよね。でも、maoさんは大工さんでもあるし、みんなそれぞれの得意なことがあるんだよ。勝ち負けじゃなくて、そういう個性が輝けるのが、HamCupのいいところだと思うな♪」
maoは照れくさそうに笑った。「ああ、そうだな。負けは悔しいけど、姫としても大工としても、自分らしく貢献できるのがHamCupの魅力かもしれないな。これからも、両方の顔で盛り上げていくよ」
ほんてぃこママは満足げに微笑んだ。「その通りよ。私たちの大切な場所は多様性が魅力なの。姫として、お客さんとして、スタッフとして、それぞれの立場で、それぞれの形で愛してくれればいいのよ」
そして彼らは、新たな未来に向かって一歩を踏み出した。それは、この場所を愛する全ての人々と共に歩む、多様性に満ちた輝かしい道のりの始まりだった。
この物語は終わるが、新しい物語は、ここから始まる。そして、その物語の主人公は、あなたかもしれない。年齢も、性別も、何も関係ない。この場所を愛する心さえあれば、あなたもまた、かけがえのない主役なのだ。自分らしい形で、ここを愛し、支え、そして楽しむ。それこそが、真の姿なのだから。
(終)
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