HamCup学園 第一章
【第1章】春風の出会い
春の訪れを告げる陽光が、まぶしいほどに降り注ぐ4月のある日。新入生たちの胸には、期待と不安が入り混じっていた。桜の花びらが舞う中、彼らは新しい高校生活の幕開けを迎えようとしていた。
「ほんてぃ、おはよう!」
「おう、むら!今日からよろしくな!」
校門をくぐると、ほんてぃとむらが出会った。二人は中学の時からの親友で、同じ高校に合格できたことを心から喜んでいた。
「ねぇ、クラス発表、ドキドキしない?」
「まぁ、どのクラスになっても、俺らしく頑張るだけだしな」
ほんてぃのいつもの調子に、むらも笑みを浮かべる。高校では、新しい友達もたくさんできるはずだ。
そんな二人の前を、ひとりの男子生徒が通り過ぎた。
「あ、らーめん太郎!」
聞き覚えのある名前に、ほんてぃとむらが振り向く。らーめん太郎は、中学時代に二人と同じサッカー部に所属していた。
「よう、久しぶり!」
気さくに手を上げるらーめん太郎。三人は中学の思い出話に花を咲かせた。
「おーい、じゃむ!こっちこっち!」
らーめん太郎が呼んだ先には、じゃむの姿があった。じゃむは中学時代、理科部に所属していた。無口だが頭脳明晰で、特にプログラミングの才能は抜きん出ていた。
「みんな、久しぶり」
じゃむの口調は相変わらずクールだったが、彼なりに仲間との再会を喜んでいるようだった。
体育館に集まった新入生たちは、期待に胸を膨らませていた。そこには、ほんてぃたちの姿もあった。
「出席番号1番、丸腸はな」
「はい!」
張り切った声が響く。丸腸は、中学時代から成績優秀で、生徒会長も務めていた。
「次、出席番号2番、星川ほのか」
「はーい!」
元気な声とともに、ほしこが手を上げる。彼女は中学時代、演劇部の主役を務めるなど、活発な性格だ。
次々と名前が呼ばれる中、ほんてぃは胸がドキドキしていた。
「出席番号15番、本田ソウイチロウ」
「はい!」
いよいよ自分の番だ。ほんてぃは大きな声で返事をした。
「出席番号16番、村上タケル」
「はい!」
むらの名前も呼ばれた。ほんてぃとむらは、喜びのハイタッチを交わした。
「出席番号17番、佐藤オズム」
「…はい」
オズは無口だが、運動神経抜群。中学時代はバスケ部のエースだった。
「出席番号18番、鈴木アコ」
「はい!」
あこは美術部出身。絵を描くのが得意で、優しい性格だ。
「出席番号19番、高橋せん」
「はい!」
せんは合唱部で活躍していた。きれいな歌声が自慢だ。
「出席番号20番、田中ぽんた」
「ういっす!」
ぽんたはムードメーカー的存在。笑顔を絶やさない、明るい性格の持ち主だ。
「出席番号21番、中島フクロウ」
「は、はい!」
フクロウは少し内気だが、頭の回転が速い。クイズ研究会での活躍が光っていた。
こうして、新クラスのメンバーが勢揃いした。ほんてぃは、この新しい仲間たちと過ごす高校生活に、大きな期待を抱いていた。
「みなさん、お待たせしました。担任の老松と申します」
そこへ、一人の男性教師が入ってきた。彼はoipy先生。情報技術の専門家で、NFTにも造詣が深いと噂されている。
「みなさんの高校生活が、実り多きものとなりますように。何かあれば、いつでも相談に乗りますからね」
oipy先生の優しい言葉に、生徒たちは安心した様子だった。
放課後、ほんてぃは突然言った。
「ねぇ、みんなで集まらない?」
予想外の提案に、クラスメイトたちは一瞬戸惑った。
「いいね、それ!せっかくだし、もっと仲良くなりたいもんね」
いつも通り、むらが一番乗りだ。ほかのメンバーも、次々と賛同の意を示す。
「じゃあ、校庭の片隅で!5時集合ね!」
丸腸のかけ声とともに、放課後の集まりが決定した。
時刻は5時。ほんてぃたち11人は、校庭の片隅に集まっていた。最初は気まずい空気が流れたが、ほんてぃの軽妙なトークですぐに打ち解けた。
「そういえば、ペットのハムスター飼ってるんだ〜」
ほしこの一言で、話題はペットに及んだ。
「私も、文鳥飼ってるよ」
あこも負けじと、自慢げに語る。
「動物って、癒されるよね」
せんの言葉に、みんなが頷く。
「ねえ、うちのハムスターさ、最近カップに入るのがブームなの」とほしこ。
「カップ?」ぽんたが眉をひそめる。
「お気に入りのティーカップに入るんだよね。丸まってすやすや寝ちゃうの。めっちゃ可愛いんだよ」
「わぁ、想像しただけで癒される〜」とあこ。
「写真とか撮ってるの?」せんが興味津々だ。
「もちろん!今度見せるね」
みんなの会話を聞きながら、ほんてぃが何かを考え込んでいる。
「みんな、ちょっと聞いてくれ。ハムスターがカップに入ってる姿って、すごくいいアイデアだと思わない?」
「どういうこと?」むらが首を傾げる。
「だってさ、誰もが思わず癒されるじゃん。そういうのを、なんかに活かせないかなって」
「確かに!」あこが飛びつく。「ハムスターがカップに入ってる姿を、グッズ化するとかどう?」
「グッズか…」せんが考え込む。「もっとインパクトのあるものがいいんだけどな」
「そうだ、ハムスターがカップに入ってる姿のNFTはどうだろう?」
今度はほしこが提案した。
「わぁ、それいいね!」あこの目が輝く。
「想像しただけで、めっちゃ可愛い!」
「ほんとだ!」せんも乗ってくる。
「カップに丸まったハムスターの姿なんて、最高に癒される〜」
「NFT?」ぽんたが聞き返す。
「デジタルデータを独自のものとして扱う、ブロックチェーン技術を使ったものだよ」とじゃむ。
「最近、アートの世界で話題になってるんだ」
「デジタルアートか…面白そう!」ほんてぃの目が輝く。
「カップに入ったハムスターのデジタルアートなら、世界中の人を癒せるかも」
「いいじゃん、その案!」むらが賛同する。
「ハムスターの可愛さを、デジタルの世界に閉じ込めるんだね」
「うん、賛成!」丸腸もうなずく。
「私たち、ハムスター愛に溢れてるもんね」
「技術的なことは、僕に任せてよ」とじゃむ。「NFTの発行なら、できる範囲でサポートするよ」
「フクロウちゃんは、どう思う?」ほしこが尋ねる。
「私も、とっても素敵なアイデアだと思う!」とフクロウ。
「みんなの想像力と技術力を合わせれば、きっと素晴らしいNFTが生まれるはず」
「おやおや、NFTの話で盛り上がってるみたいだね」
不意に、oipy先生の声が響いた。
「せ、先生!」
みんなが驚く中、先生は優しく微笑む。
「ごめんごめん、つい興味をひかれてしまってね。みんなのアイデア、とても面白そうだ」
「先生は、NFTについてご存知なんですか?」ほんてぃが尋ねる。
「ああ、少しね。私も最近、NFTの可能性に興味を持っているんだ」
先生は生徒たちの輪に加わりながら、話を続ける。
「カップに入ったハムスターのNFTか…斬新だし、愛らしいアイデアだと思うよ」
「でしょう?」ほしこの目が輝く。「先生も賛同してくれるなんて、嬉しいです!」
「技術面では、わからないことも多いと思う。でも、私も全力でサポートするから、一緒に頑張ろう」
先生の言葉に、生徒たちは感謝と決意を込めて頷いた。
「よーし、先生も仲間に入ってくれたし、もう誰にも止められないね!」ほんてぃが歓声を上げる。
「そうだね。私たちなら、きっとやり遂げられる」オズの瞳にも、希望の光が宿る。
「HAMとCUPのプロジェクト…略してHAMCUP(ハムカップ)はどうかな?」
フクロウがネーミングを提案する。ハムスターの可愛らしさと、プロジェクトの大きな志を組み合わせた言葉だ。
「決まり!じゃあ、明日からHAMCUP始動ね!」
丸腸の元気な掛け声が、夕暮れの校庭に響き渡った。
こうして、彼らの高校生活は、ハムスターがカップに入ったNFT「HamCup」プロジェクトとともに幕を開けた。ハムスター魂を胸に、11人の仲間たちと、oipy先生の助言を受けながら、未知の世界に乗り出す。様々な障害が待ち受けているかもしれない。でも、彼らなら乗り越えられるはずだ。
新しい一歩を踏み出したHamCupメンバーたち。春風が優しく彼らの背中を押した。まだ見ぬ未来に向けて、希望に満ちた高校生活が、今始まろうとしていた。