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HamCup回帰団

【HamCup回帰団の誕生】

かつてHamCupの創設に関わった仲間たちは、プロジェクトの急成長と方向性の変化に戸惑っていた。なかでもオズ、らーめん太郎、ほしこの3人は、HamCupが本来の理念から外れつつあることに強い危機感を抱いていた。

「ほんてぃはもう、僕たちの話を聞いてくれないんだ」
ある日、オズが重い口調で言った。
「HamCupは、アートとしてのNFTの可能性を追求するはずだったのに…」

「今やただの巨大エンタメ企業だよな」
らーめん太郎も同意する。
「ゲームに、アニメに、テーマパークまで。どこにNFTの精神性が残ってるってんだ?」

「私、ほんてぃを信じていたのに…」
ほしこは悲しそうに目を伏せた。
「HamCupへの愛が、こんなことになるなんて思ってもみなかった…」

3人は長い沈黙の後、ある決断を下した。
「僕たちで、HamCupを正しい道に戻そう」
オズの瞳には、強い決意の炎が宿っていた。
「たとえほんてぃであっても、間違った方向に進むなら止めるしかない」

こうして、彼らは密かにハムカップ回帰団を結成した。当初の活動は、HamCupの行き過ぎた商業主義を批判するネットの書き込みや、NFTアートの素晴らしさを訴える草の根運動だった。

しかし、彼らの声はHamCupの圧倒的な影響力の前に、かき消されてしまう。次第に焦りを感じ始めた3人は、より過激な行動に出ることを決意した。

「このままじゃ、HamCupは完全に狂ってしまう」
らーめん太郎が拳を握りしめる。
「何かインパクトのあることをしないと…」

「そうだね」
オズも深く頷いた。
「ハムスターたちを、あのショーケースから解放しなくちゃ」

彼らが最初に標的としたのは、ハムランドの目玉展示だった。数十匹のハムスターが、巨大なショーケースの中でパフォーマンスを繰り広げるアトラクションだ。

「私、あの子たちを見てると胸が痛むの…」
ほしこは、悲痛な表情で言った。
「自由に生きるべきハムスターたちが、見世物になっているなんて…」

回帰団は、ハムスターたちを解放する作戦を立てた。夜陰に乗じて侵入し、ショーケースを破壊。ハムスターたちを連れ出すのだ。

作戦は成功したかに見えた。オズたちは数十匹のハムスターを連れて脱出し、森の中に逃げ込んだのだ。しかし、その直後、予期せぬ事態が起こった。

「ハムスターたちが、どんどん弱っていく…!」
ほしこの悲鳴が、森に木霊した。
「ど、どうして…?」

「あちゃー、やっちまったな」
らーめん太郎が頭を抱えた。
「あのハムスターたち、野生じゃ生きていけないんだ」

「僕たちは、彼らを救ったつもりが…」
オズの声が、絶望に震えていた。

結局、彼らはハムスターたちを再びハムランドに返さざるを得なかった。しかし、その出来事はHamCup社会に大きな衝撃を与えた。回帰団の存在が広く知られるようになったのだ。

「私たちは、ハムスターたちのためを思ってやったのに…」
ほしこは嗚咽を漏らした。
「でも、結果的に傷つけてしまった。私、もうわからなくなったよ…」

「僕たちのやり方は、間違っていたのかもしれない」
オズも、深い自責の念に苛まれていた。
「暴力では、何も解決できない。ただ、傷つけ合うだけだ…」

しかし、らーめん太郎だけは言った。
「いや、俺たちは正しいことをしたんだ。HamCupという巨大な悪に立ち向かったんだ」
彼の目は、まだ諦めを知らなかった。
「たとえ今は理解されなくても、いつかみんな気づくはずだ。HamCupは間違った方向に進んでいるって」

その後、回帰団の活動はますます過激化していった。らーめん太郎を中心とする急進派は、HamCupの施設への攻撃を繰り返した。一方、オズとほしこは次第に穏健派としての立場を取るようになる。

「もう、暴力はやめよう」
ある日、オズが言った。
「ほんてぃにもう一度、話をつけてみるんだ。私たちの思いを伝えるために」

「そうだね」
ほしこも同意する。
「対話こそが、私たちに残された道だと思う」

しかし、その提案はらーめん太郎の激しい反発を買った。
「何言ってんだよ、お前ら!今さら対話なんてできるわけないだろ!」
彼は、怒りに全身を震わせていた。
「ほんてぃは裏切り者だ。話し合いなんて無意味だ!」

その日を境に、回帰団は分裂した。らーめん太郎率いる急進派は、テロ活動を続けた。そしてついに、あの凄惨な事件を引き起こしてしまう。

「リョウくんが、らーめん太郎に拉致された…!?」
その知らせを受けたほんてぃは、愕然とした。
「回帰団の犯行声明が届いています。身代金を要求してきました」

ほんてぃは直ちに、リョウくん救出のための対策チームを編成した。警察とも連携し、あらゆる手を尽くして捜索を開始したのだ。

「リョウ…無事でいてくれ…!」
ほんてぃは、必死に祈った。
「僕が、君を必ず救い出してみせる…!」

一方、アジトに監禁されたリョウくんは、絶望の淵にいた。
「どうして、こんなことするの…?」
リョウくんは、涙を流しながららーめん太郎に問いかける。
「ぼくは、ハムスターが大好きなだけなのに…」

「うるさい!お前はHamCupの申し子だ。ほんてぃを苦しめるための、最高の人質なんだよ!」
らーめん太郎は、狂気の笑みを浮かべていた。
「身代金が払われるまで、お前はここから出られないぞ!」

その頃、オズとほしこは重大な決意をしていた。
「このままじゃ、リョウくんが危ない」
オズの表情は、真剣そのものだった。
「僕たちが、何とかしなくちゃ」

「そうだね」
ほしこも頷く。
「らーめん太郎を説得するんだ。たとえ、命を賭けてでも…」

二人は、アジトに忍び込むことに成功した。そこには、疲れ果てた表情のリョウくんと、憔悴しきったらーめん太郎の姿があった。

「らーめん太郎、もうやめるんだ!」
オズが、必死で呼びかける。
「こんな犯罪行為では、何も変えられない!」

「黙れ、裏切り者!お前らには何もわかっちゃいない!」
らーめん太郎は、錯乱したように叫んだ。
「HamCupを、本来あるべき姿に戻すためなら、どんなことだってするんだ!」

そのとき、ほしこが静かに言った。
「らーめん太郎、あなたは間違ってる」
彼女の瞳には、強い意志が宿っていた。
「暴力は、HamCupを不幸にするだけ。私たちが目指すべきは、対話と理解なんだよ」

その言葉に、らーめん太郎は動揺を隠せなかった。
「で、でも…俺は…」
彼の握り締めた拳が、わずかに震えている。
「俺は、HamCupを守りたかっただけなのに…」

「わかってる、らーめん太郎」
オズが、優しく言った。
「君の思いは、僕たちにも伝わってるよ。だからこそ、もう武器は捨てよう」

長い沈黙の後、らーめん太郎は観念したように呟いた。
「ああ、もういい…何もかも、うんざりだ…」
そう言って、彼は力なくリョウくんを解放した。

事件は、ほんてぃ率いる救出チームの尽力もあり、無事に解決した。リョウくんは家族の下に戻り、らーめん太郎は警察に身柄を拘束された。

「オズ、ほしこ。君たちのおかげで、リョウを救えた」
ほんてぃは、深い感謝の意を込めて言った。
「本当に、ありがとう」

「いえ、私たちこそ謝らないと」
オズは、申し訳なさそうに言う。
「HamCupを批判するあまり、過激な行動を取ってしまった。本当に、すみませんでした」

「私も反省してます」
ほしこも、深々と頭を下げた。
「でも、私たちの思いは変わりません。HamCupを、アートの力で良い方向に導きたいんです」

ほんてぃは、二人の肩に手を置いた。
「オズ、ほしこ。君たちの思いは、よくわかった」
彼は、優しい笑顔を浮かべる。
「一緒に、HamCupを作り直そう。アートの素晴らしさを、もう一度世界に示すために」

こうして、オズとほしこはHamCupに合流することになった。リョウくん誘拐事件を教訓に、彼らは対話と理解の大切さを学んだのだ。

「よし、決まりだ!ハムカップの新たな未来を、みんなで作ろう!」
ある日、ほんてぃが力強く宣言した。
「オズ、ほしこ。君たちの思いを形にする番だ」

こうしてオズとほしこは、HamCupの中心メンバーとして活躍することになる。彼らの提案で、NFTアートの素晴らしさを伝えるイベントが次々と開催された。人々の意識は確実に変わりつつあった。

一方、らーめん太郎は刑務所の中で、自らの行いを深く反省していた。
「俺は、本当にバカだった…」
彼は、涙を流しながらつぶやく。
「暴力では、何も解決できない。HamCupを、傷つけてしまっただけだ…」

やがて彼は、模範囚として刑期を終え、社会に復帰することになる。その際、迎えに来たのはほかでもない、オズとほしこだった。

「よく来てくれた…」
らーめん太郎は、感極まった様子で言う。
「俺は、お前らに謝らないといけない。本当に、すまなかった…」

「もういいんだ、らーめん太郎」
オズが、彼の肩に手を置く。
「過去のことは、水に流そう。大切なのは、これからどう生きるかだ」

「そうだね」
ほしこも、優しく微笑んだ。
「今日は、特別な日なんだ。ほんてぃの握手会があるの」

「握手会…?」
らーめん太郎は、戸惑いを隠せない。
「でも、俺なんかが行って大丈夫なのか…?」

「大丈夫」
オズが、力強く言った。
「君の新しい一歩を、ほんてぃに見てもらおう。そして、HamCupとの和解の意思を示すんだ」

こうして、三人は握手会会場へと向かった。会場には、長蛇の列ができていた。らーめん太郎は、列の最後尾に静かに並んだ。彼の心臓は、早鐘のように打ち続けている。

「ほんてぃ…俺は、お前にどんな顔をして会えばいいんだ?」
らーめん太郎は、震える声で呟いた。

「高校の頃は、いつも一緒に馬鹿やってたのに…俺は、最低の裏切り者だ」
列が進むにつれ、らーめん太郎の緊張は高まっていった。そして、いよいよほんてぃの前に辿り着いたとき、彼は固まってしまった。

「らーめん太郎…?」

ほんてぃは、驚きの表情を浮かべている。しかし、すぐにその表情は、懐かしさに変わった。
「よく来てくれたな、親友」

「ほんてぃ、俺は…」
らーめん太郎は、声を振り絞るようにして言葉を紡ぐ。
「俺は、本当に酷いことをした。リョウくんを誘拐し、お前を苦しめた。高校の頃の俺たちからは、想像もつかないことで…本当に、ごめん…」

らーめん太郎の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「俺は、HamCupを愛するあまり、完全に道を踏み外してしまった。でも、今はわかったんだ。暴力では、何も解決できないってことを…」

ほんてぃは、じっとらーめん太郎を見つめていた。彼の瞳には、理解と共感の光が宿っている。

「ほんてぃ、俺は二度とあんなことはしない。お前と、高校の頃みたいに、HamCup愛を正しい形で示していきたい」
らーめん太郎は、深々と頭を下げた。
「だから、どうか…俺を信じてほしい。俺にもう一度チャンスをくれないか…?」

沈黙が、二人の間に流れた。やがてほんてぃは、ゆっくりと口を開いた。

「らーめん太郎…お前の気持ち、よくわかった」

彼は、穏やかな口調で語り始める。
「実は....、俺も反省してるんだ。お前の想いに気づかず、HamCupをただの商業主義に走らせてしまった。高校の頃の俺たちなら、きっとそんなことしなかっただろうな」

らーめん太郎は、驚きで目を見開いた。ほんてぃが、自分と同じように反省しているなんて。

「お前の行動は過激だったけど、その根底にあるHamCup愛は、本物だと思う」
ほんてぃは、真摯な眼差しでらーめん太郎を見つめる。
「だからこそ、俺はお前を許す。そして、もう一度一緒にHamCup愛を追求したい」

「ほんてぃ…」
らーめん太郎は、涙が止まらなかった。

「ありがとう…本当に、ありがとう…!」

「おかえり、らーめん太郎」
ほんてぃは、優しく微笑んだ。
「久しぶりだな、親友。一緒に、HamCupを盛り上げていこう。高校の頃みたいにさ」

こうして、らーめん太郎とほんてぃは握手を交わした。
あの日の過ちを乗り越え、新たな一歩を踏み出すために。そして、高校時代の友情を取り戻すために。

「よし、オズ、ほしこ!」
らーめん太郎は、二人に向かって叫んだ。
「俺たち、ハムカップ回帰団の面々が、HamCupを盛り上げる番だ!高校の頃の情熱を取り戻すぞ!」
「おう!」
オズとほしこの力強い返事が、会場に響き渡った。

こうして、彼らの新たな冒険が始まった。過去を乗り越え、高校時代の友情とHamCup愛を胸に、未来へと歩んでいくのだ。

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