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風邪をひこうとした日の話

スイミングクラブに通ってる。

小学2年生くらいから行ってるけど、
本当はものすごく行きたくない。

同じスイミングの選手コースに通うお兄ちゃんと
比較されてるなーって感じることもあったし

学校外のエリアだったから全然友達もいないし
できないし、

ほぼ裸だから物理的に距離を詰められないし、
スイミングに来て、着替え→集合(コーチの話を聞く)→泳ぐ→着替えって流れだから
話をするチャンスがそもそも少ない。
心の距離もバリバリ遠い


水着は体毛が気になるし、

全身体毛は濃いし、
窓ガラスに映る自分が滑稽に思えるし、
早いとこ泳いで帰りたい


あー、本当に本当に本当に、行きたくない。



小学5年生の、ある寒い日のこと。

スイミングに行くのが本当に嫌になり
ひとつの作戦を思いつき、実行してみた。

自分を追い込む

口から出る息が白くなるような気温の中
半袖半ズボンでベランダに出る、という作戦だ。

鼻水ダラダラ垂らして、
奥歯ガタガタ言わせながら(意味違うけどw)
どうにかして、
この瞬間で風邪を捕まえようとしたの。

熱よ、来い!

45分間ほど半袖半ズボンで
薄暗い灰色の空をじっと見つめながら
自分の奥底に眠る熱を外に出そうと頑張った。

さながら、ドラゴンボールの悟空のようだった。


しばらくして、おかあさんの
「そろそろスイミング行くよー」という呼びかけ。

いまだ!

「ちょっと今日、具合悪い。熱あるかも」
と訴え、体温を測る。

体温計をちらちらと確認する。

・・・まずい、
この数字のあがりかたでは37度すら超えない・・・!

別屋に行き、
猛烈に脇の下の体温計をこする。

摩擦熱・・・!

頼む・・・!



ちゃんみーの努力も虚しく、
無慈悲にも36.8度のTHE平熱を叩き出す体温計。

ただ鼻水を垂らし
寒がるだけの時間を過ごした45分。

スイミング、行きました。

ちぇっ

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ちゃんみー|切なさが9割
ここだけの話、私には夢があります。 それは、飛行機や新幹線の機内冊子にエッセイを書くこと。 ひとの移動に、寄り添いたい願望。 憧れるなあ。