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兄がもらったラブレター勝手に読んだら


4つ上のお兄ちゃんの机に、
ポンと封筒が置いてある。
その可愛らしいデザインにピンときた。
これはラブレターかもしれない・・・


お兄ちゃん、やるじゃん!
モテるんだ!
と少し兄を誇らしく思った。

そして、ラブレターというものを
現実世界で初めて見たから、
どんなものか気になった。

こっそり読んだ。(本当にゴメンナサイ…)


思いの丈が、つづられていた。
純粋でまっすぐな気持ちに、胸が苦しい。

ちょっと泣けた。

自分も誰かにラブレターを
渡すことを想像してみたけど、
その勇気は、絶対にないや。

渡したあと、どんな顔して
どんなふうに接したらいいかわからないもん。

だから、想いを伝えるのすごいと思った。

あと、あんな兄のことを
こんなふうに想う人がいるんだ
って、ちょっと不思議にも思った。

ただね、手紙に若干の違和感。

文字のサイズとか
文字の雰囲気がかわいらしいんだけど
ちょっと角張ってる感じがある。

イメージしてた女の子の文字とは違うような、、、
と思いながらも読み進める。

そして
文末に書いてある送り主の名前を見ると


男の子だった。


男女どちらにもある名前か、、、?
と考えることもできないような男子ネーム。


いろんな想像、妄想が溢れ出す。
手紙をもとの場所に、そっと戻した。

後日、兄がラブレターのことをどう思ってるのか
あまりにも気になったわたしは、
それとなく尋ねた。

「机にあるあの封筒、ラブレター?」

「うん」

「へー、誰から?」

「同じ学年の人。」

「へー、やったじゃん」

「男だよ。別になんもないよ」

こんな感じで会話は終わった。

兄は男の子から告白されたことを
普通に話してくれた。

淡々と話してたことが
なんかうれしかった。

そんでもってよく考えたら、

本当に何もないんだろうけど、
ラブレターをずっと机に置いてるの
なんかうれしかった。

その無頓着さが。

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ちゃんみー|切なさが9割
ここだけの話、私には夢があります。 それは、飛行機や新幹線の機内冊子にエッセイを書くこと。 ひとの移動に、寄り添いたい願望。 憧れるなあ。