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かっこいいって言われてたけど、罠だった

「ちゃんみーって絶対自分のことかっこいいと思ってるよね〜」

「だよね〜笑」

「ウケるwwwww」


トイレの個室に入ってコトが済み
さて出ようかなと立ち上がった時、
こんな声が聞こえてきた。


学年が1つ下の
気が強め女子3人がちゃんみーのことを話してる。
(そのうち1人は部活の後輩)

わたし、陰でバカにされてるの!?
しかもそれに遭遇するって、
漫画のシチュエーションじゃん!

これまた漫画みたいに、
トイレのドアをバーンって開けて
会話をぶった斬って去るっていうのができたなら。


(今出て行ったらどうなるんだろう)って
脇汗かきながら、カギに手をかけながら
想像する。

でも、引っ込み思案な性格と、
その後の学校生活を平穏に過ごすためにも、
そんな思い切った行動を取る勇気は出なかった。



うぬぼれたことを言ってしまうのだけれど、
女の子らしさを諦めたわたしは
「かっこいい」と言われるようになっていた。

廊下を歩いたら視線を感じる。
女の子から、キャーキャー言われる。

それは黄色い声であって、
奇異な者を見ての叫びではなかったと思う。

(でも君たち「かっこいい〜」って言ってる
”自分”に酔ってない?って思わんこともなかった)

好意的な反応をされても
もちろん気の利いた返事はできない。
はにかむだけ。

そんな学校の女子たちの
(ハニカミ)王子と化していたわたしが
こんな形で嘲笑に遭遇するとは
夢にも思っていなかった。

このトイレを出たらいつも通り
後輩とも顔を合わせて部活をやって
明日もまた学校に行かなきゃいけないのかー。

きっついなー。

彼女たちがトイレから去るまで、
息を潜めて個室内で待つ。
頭の中では、平然を装う練習。

1日1日と記憶を薄めて、卒業した。

それにしてもさ、

人からかっこいいと言われて、
(自分てかっこいいのかなぁ)って考えてみたことが
一度も無いと言ったら嘘になるよ。

でもさ、
「あいつ自分のことかっこいいと思ってやがるw」
って笑われるほどうぬぼれてなかったよ。絶対。

言葉通り受け取ったら、損じゃん。
罠じゃん。

これがきっかけ、
というわけではないけれど
何か裏があるんじゃ・・・?って一瞬考える癖がある。

そんでもって、
深入りするのが怖い。

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ちゃんみー|切なさが9割
ここだけの話、私には夢があります。 それは、飛行機や新幹線の機内冊子にエッセイを書くこと。 ひとの移動に、寄り添いたい願望。 憧れるなあ。