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あの日、うちに来た男の子の記憶(気まずい)

私の家に同級生の男の子(Aくん)が来たことがある。
たった一度きり。

Aくんとは同じ幼稚園で、家も近所。
どうやら親同士はそこそこ親交があったみたい。

その日は彼のお母さんの都合で、
学校から帰った後にAくんはうちで過ごすことになっていた。

でも、彼と私は全然仲良くなかった。
ていうか、接点がなかった。
幼稚園の頃を含めても、
話したこともなければ、遊んだ記憶もない。

どうすんの?!知らないよ?!

学校を出て、家に向かうわたしのうしろを
付かず離れず10mを保ったままついてくるAくん。
すんごいモゾモゾする〜〜〜〜。
何これーーー!!
ヤメテーーー!!!

家に着いた。

数秒後に「お邪魔します」って声。
おかあさんが出迎える。

・・・気まずすぎるなー。

同じ空間で過ごすけれど、特に会話もなく
お互いそれぞれの世界に集中する。
誰もみてないテレビだけが、賑やか。


息が詰まるほど長い2時間が経ち、
お互い「またね」も何も言わず、
玄関先まで見送りに行くこともしなかった。

もちろん、その時のわたしは
異性としてAくんを好きだとか、
そんな感情があったわけじゃない。

ただ、存在に慣れなくて
バチバチに意識してしまった。
狭い家が、もっと狭く感じた。

後にも先にも「うちに来たことあったよね?」なんて
Aくんとあの時間について振り返ることは一度もなかった。
彼がその日のことを覚えているかもわからない。

彼がうちに来ることをおかあさんから聞いた時、
内心、仲良くなれるかなあって思った自分が恥ずかしいや。


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ちゃんみー|切なさが9割
ここだけの話、私には夢があります。 それは、飛行機や新幹線の機内冊子にエッセイを書くこと。 ひとの移動に、寄り添いたい願望。 憧れるなあ。