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入学式で友達になった女の子

こばやしあすみちゃん。

雛が初めて親鳥を見たかのように
名前をいまだにフルネームで覚えてる。
(ここでは仮名にしてます)

入学式の入場列に並んでる時うしろから
あすみちゃんが話しかけてくれた。


「名前を教えてね」

今思えば独特の質問というか呼びかけなんだけど、
確かにこうやって言われたの。

なんて積極的で明るくてかわいい子だろう。
私に彼女は眩しかった。

そんでもって、今日、初めて同級生と話したかも。

ほら、入学式の開始を待つにぎやかな教室では
1人静かに周りの人の上履き袋の柄を
眺めるに徹してたからさ。


「友達できるかな、じゃない、作ろうと動くものなんだ!」
と気づきを得た私は、あすみちゃんの行動や発言が
結構、いやかなり、心に残った。

だから1年生の作文のお題に
『心に残ったこと』というのがあったので
迷いなくあすみちゃんのことを書いた。


彼女とはその後の学校生活で仲良く過ごし、
今でも連絡を取り合う仲なんだ
めでたしめでたし



、、、と言いたいところだけど
現実は青春漫画のようにはいかない。

そんなに、深い仲にはならなかった。

やっぱり、眩しすぎる彼女と根本的に合わなかったのかもしれない。
ていうか、彼女は男子女子関係なく、みんなと仲良かった。
今でいうコミュ力が高い子。

特別2人で遊んだような記憶はなくて
複数人で遊んだ時に、居たかな?くらいの距離感。

とはいえ、仲が深まらなかったのには
もうひとつ大きな理由がある。

彼女はすぐに転校してしまったの。

初めてできた友達への思い入れは
一方的にはあれど
手紙を送り合うほどの親密さはなかったので、
そのまんま。
送る会では、ちょっぴり泣いたけどね。


あすみちゃんの転校から少し時が経ち、
書いたことも忘れていた私の作文は、
なんかの賞に入賞した。

隣町の公民館で発表会があって、
そこで作文を音読した。
はじめて賞状をもらった(稼いだ)。
冊子に自分の文章が載ってるの、嬉しかったな。

はい、ここで作文が表彰されたことを書いて
自己顕示欲を満たそうという算段です

・・・というのは冗談。
記憶の一つとして、ここでくらい書かせてね。
誰にも話したことないんだからさー!

実は、人生の節々であすみちゃんを思い出してる。
自分から声をかける勇気はないな、やっぱすごいよなって、
入学式のたびに。

店員さんに声かけるのすら躊躇するレベルのわたしだもん。
全く身についてない、あすみイズム。

わたしは一体、
彼女から何を学んで作文に書いたんだ。

いまもまだ、彼女に憧れてる。


▼ ちゃんみーは賞状を稼ぐことでアイデンティティを保ってた話。


▼  あすみちゃんに話しかけられる前の、
教室で入学式の時間を待っている時の話

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ちゃんみー|切なさが9割
ここだけの話、私には夢があります。 それは、飛行機や新幹線の機内冊子にエッセイを書くこと。 ひとの移動に、寄り添いたい願望。 憧れるなあ。