究極の旅 UFOとヒシー
前回に続いて、ロバートモンローの「究極の旅」から紹介したいと思います。章の中の抜粋箇所は一部省略してあります。
「究極の旅」 ロバートモンロー著
<第四章 歓呼と別離>より抜粋
『 』内は抜粋箇所。
※< >の中はロバートのガイド的存在のインスペックの言葉
UFO
『続いて、すぐにまた新たな疑問が心に湧いてきた。私自身が「ここ」で肉体として送っている生にかかわる疑問だった。私はインスペックに、人類ではない非肉体的な知性体で、たやすく話ができる者に会わせてもらえないかと訊いてみた。いささか驚いたことに、友人は案内を申し出てくれて、私たちは闇を抜けて出発した。あっと思う間に、私たちは星をいっぱいに散りばめた宇宙空間に来ていた。すぐ下には我々の月と思われるものがあり、さほど離れていないところに、巨大な青と白のマーブル模様の球体、地球が浮かんでいた。
私はあたりを見まわした。非人類の超知性体はどこにいるんだ?質問を読みとったインスペックは、振り向いて上を見てごらんと言った。
私は唖然とした。ほんの五、六メートル上に、何キロもの長さに見える巨大な丸い円盤型の物体が浮かんでいるではないか。よくいう典型的な「空飛ぶ円盤」だが、その千倍も大きい。信じ難いほど大きい———しかし、そう思っているうちに、それはたちまち直径六十メートルほどに縮んだ。
底部にあるドアがスライドして開き、ひとりの・・・男・・・きわめて人間らしい外見の男が現れ、歩いて———そう、歩いて、私の浮いているところに近づいてきた。近くに来ると、その男が誰なのかわかった。小柄でまるまると太った落ちぶれ紳士という風情で、赤い団子鼻、口元には含み笑いを浮かべ、グレーのシルクハットをかぶっている。若い頃に好んで観た喜劇映画によく出ていたスター——W・C・フィールズに生き写しだった!
この複製、投影、ホログラム———何でもいいが———それは、やはりフィールズとそっくりのイントネーション、話し方で口をきいた。そして私を船内に招待してくれ、大きなドーム型の部屋らしきところに案内してくれた。壁には、私の知っているありとあらゆるコメディアンの写真が貼ってあった。知らないコメディアンのものは、さらにたくさんあった。何千というジョークの落書きや風刺マンガもあった。彼は、こういったものをみな「積み荷」と呼んだ。
私は心の中で質問を組み立てた。
「積み荷?積み荷っていうのは、どういうことなんだい。それに」と、私は続けた、「その扮装はやめてもいいよ。私は、あるがままの君を受けとめるから」
「本気で言ってくださるんですね・・・でも、あなたさえよけりゃ、このままでいますよ。人間らしい考え方をするのに都合がいいもんで。それとも、他の誰かの方がお好みですかな。グルーチョ・マルクスとか?」
「いや、いや。そのままでいいよ。教えてくれないか、いったい何をしているんだい、こんな地球くんだりで」
「そりゃあなた、私は輸出業者ですから」
「ふうん。地球の私たちに入り用なものっていうのは、何なんだい———この宇宙船は別にしても」
「言い方を間違えましたかな。地球から輸出しているんですよ、地球へじゃなくてね」
「いったい全体、地球にあるどんなものが、君たちにとって価値があるっていうんだい。君たちの方が、明らかにずっと技術が進んでいるじゃないか。思念でコミュニケーションできるし。私たちのところには、君たちが欲しがったり必要としたりするようなものは、何もないよ」
彼は鼻を掻いた。「ええ、旦那、そりゃあ手に入れるのは簡単じゃないんです。でも、ちゃんと手に入りますとも、旦那、ちゃんとね。私たちにはないものなんです、それがどんなに価値のあるものか想像もつかないでしょうな。それを持っていなけりゃね」
「何を持っていなければ、だい?」
「そいつを、長年集めているんですよ。一時は稀になってましたがね、このところ盛り返してきましたよ」
「わからないなあ」
「それを解するためには、文明について知らなくちゃならないってこともあるんでね。そこが、悩みのタネですよ」
「やっぱり、わからないよ・・・・」
「あなたがた人類が持ってるんですよ。あなたがたが物質界と呼んでらっしゃる場所で———他のどこでもですが―――人類以外のものにとって、たいそう貴重で価値のあるものなんです。すごく貴重で価値があるんですよ、旦那。私は、それを集めるスペシャリストなんです。おや、まだわからないんですね!それじゃ、説明しましょう」
「頼むよ」
「百万に一つというくらいの、貴重なものなんです。それをあなたがた人間が持ってるんですよ———ユーモアのセンス!ジョーク!楽しみ!重荷にあえぐ精神シムテムにとって、最高の強壮剤なんですよ。それを使えば、必ずといっていいほど、緊張やプレッシャーが自然と消えちまうんです」
「それじゃ・・・・君は、私たちのところをまわって、探しているっていうのかい、最新の・・・・?」
「ご名答!あなたがた人間は、私らの収集船をたまに見かけると、間違った考えを抱くみたいですがね。私らのことで、UFOのジョークなんてのまで作ってるんですからね!こっちは、見聞きしたいだけなんだ———ただそれだけですよ。おかしな悪ふざけなんてとんでもない———ただ学んでるだけでね。さてと、失礼させていただけますか、旦那。もう行かなくちゃ」
突然、私は宇宙船の外に出ており、船ははるか彼方へ、急速に小さくなっていくところだった。私はインスペックの友人のもとを目指した。友人は深い暗闇の中で私を待っていた。さて、これで少なくともひとつ、人類がユニークな特質を持っていることがわかった。
ヒシー
<うまくやれたね。だけど、まだ別のことが気にかかっているんだな。心の奥に隠れていた願いを、今、形にしようとしているだろう>
うん・・・会ってみたいものがあるんだ。わかると思うけれど。
<物質的な地球で、君と同じ時系列に存在する、最も成熟し進化した人間だね>
そうなんだ。可能かな。
<ああ。でも、期待通りの結果にはならないかもしれないよ>
試してみたいんだ、それでも。
<案内しよう>
私は闇の中を、小さくなっていく光の渦を追って進んだ。どれほど経ったのかはわからない。突然、私はとある部屋の中にいた。家具は、椅子と安楽椅子が何脚かとテーブルがひとつといった程度の、ごく普通の部屋だ。二つの大きな窓から陽光が射しこんでいる。外には背の高い木立があるようだ。地球のどこであってもおかしくない光景だ。
部屋の片側に机があって、ひとりの人が座っていた。男性か女性かわからない。顔も身体つきも、どちらともつかない。顔に皺はほとんど見あたらず、髪は明るい褐色で、耳のあたりまでの長さ。年齢は、私の見るかぎりでは、三十から五十の間。着ているものは簡素で、白いシャツに黒っぽいスラックスだった。
しかし私が圧倒されたのは、その人物の放射している何かだった。ありとあらゆる人間的な感情のこもった、明るい春の陽射しを浴びているかのような気がした。それは、ほとんど抗(あらが)い難い力で迫ってきたが———それでいて、なじみ深い感じもあった。まったくバランスがとれていた。一瞬、男性だと思っても、次の瞬間には女性だと思われる。真に均整のとれた存在———彼(ヒー)であり彼女(シー)である者。
「ヒシー」だ!
放射が途絶えた。ヒシー———何にせよ、呼び名は必要だ———は、顔を上げた。双眸(そうぼう)は底知れない深さをたたえており、何の表情も見出せなかった。完璧な抑制だが、なぜそのような自制が必要なのか、私には理解できなかった。
唇は動かなかったが、私には聞こえた。期待していたものだった。私にもわかる、暖かなクスクス笑いが聞こえたのだ。
「ヒシー? そんな呼び名ははじめてですよ」
「馬鹿にするつもりはなかったんです。どう呼んだらいいか、わからなくて」
「どんな名前でも構いませんよ。ところで、私が本当にお力になれると思いますか?」
「ずっと助けていただきたかったんですよ」
「どんなことで、ですか」
「二、三の質問に答えてもらいたくて・・・」
「私の答えがどんな役に立つというんです」
「いや・・・わかりません・・・」
「あなたは、他の人には自分で自分の答えを探せといってるじゃありませんか。どうしてご自分だけ、他人に答えをもらおうとするんですか」
これは、グサッときた。手の内を見透かされた感じだった。
「おっしゃる通りですよ。私が本当に興味があるのは、実はあなた自身の方なんです。質問に答えてもらうことではなくてね」
「私は統計上、たったひとりの存在です。百万にひとつという珍しいタイプなんです。私を見つけ出すなんて、あなたのお友達はたいしたものですね」
「あなたは西洋人のように思えるけれど、地球上の誰も、あなたの存在を本当には信じないでしょうね。でも・・・私たちは前に会ったことがある・・・一度だけ・・・そうじゃないですか」
「ほら。あなたは、ご自分で質問に答えていますよ」
「しかし・・・あなたは、肉体の生を一度しか生きていませんね。他の者のように転生していない。でも・・・どうしてこんなことがわかるんだろう」
「あなたは、私の心を読んでいるんですよ」
「ほんの一部、あなたの許すところだけ、ですね。一回の人生で、千八百年も生き続けるなんて!どうやって保つんですか・・・若さを」
「始終、仕事を変えているんです。そうすれば、誰でも若くいられますよ。こんな答えでいいですか」
「素晴らしい。こんなふうにお会いできて、じつに幸せですよ!今は何の仕事をしてらっしゃるんですか、そういう言い方でよければだけど」
「世話役(オーガナイザー)とか、助力者とかいうような者ですよ。どちらでも好きな方で呼んでください」
「あなたほどの能力があれば、今この瞬間にもできることが山ほどあるでしょうね」
「いつも忙しくしていますよ」
「どんな・・・?いや、自分で読みとれる・・・救急車を運転したり、深夜にバーテンダーをしたり、精神科のカウンセラーをしたり・・・今は、大学に歴史を教えに行くところですね。他にもまだあるな」
「人が好きなんですよ」
「待てよ・・・ハリス・ヒルでグライダーを飛ばしたことがあるんですね・・・思い出したぞ。あそこで会ったんだ!」
「ちょっと気晴らしをしていたんですよ」
「あなたは、どこで食べたり寝たりしているんです?」
「そういったことは、ずっと前にやめてしまいました」
「あなたの歴史の講義は素晴らしいだろうなあ」
「楽しませようとしたり、混乱させたりですよ、矛盾しているんです」
「次の仕事・・・次はどんな仕事をするんですか」
「世話役(オーガナイザー)をする仕事ですよ、当然ながら。『異変』を起こすんです、あなたがなさっているようにね。この本や、あなたが普及させている精神変革プログラムのように———人々の人生に異変をもたらすんですよ。さあ、そんな質問ばかりしていないで、そういう世話に必要なものや目指すべきことについて、私から読みとったらいかがです。あなたがロートと呼ぶものをさしあげられますよ。共産主義でも社会主義でもなく、資本主義でもない将来像についてね」
「そんなものは実現不可能だといわれていますよ」
「だからこそ、努力の甲斐があるんじゃないですか。世界中の人類が力を合わせなくてはなりません。様々な宗教や民族や政治信条や武力にはよらずとも、皆が必要性を認識さえすれば実現していくことです」
「必要性といっても、難しいですね。世界の形が変わらなきゃ駄目なんじゃないかな」
「だから時間がかかるのです。その時は来ますよ」
「しかし世界中どこでも、人間は、どんなことについても意見の一致を見たためしがないからなあ」
突然、以前感じたことのあるものに似たエネルギーの波が、私を襲った。それが薄れていったとき、私には、そのロートが納まるべきところに納まり、時がくればひもとくことができるのだとわかった。ヒシーにもうひとつ訊いておきたいことがあった。
「時間のあるときに、私たちのエネルギーを調整(オーガナイズ)してもらえませんか。必要なんです」
「あなたが本当に必要としていることではありませんね。でも、できるかぎりのことはしましょう」
「肉体の姿で?」
「もちろん。でも、私だとはわからないでしょう」
「見抜くように努力しますよ」
「でしょうね。アシャニーン。いつでも、力になります。でも私がその気にならなければ、あなたは二度と私を見つけることはできないでしょう。さあ、もう大学に行かなくてはならない時間です」
「本当にどうもありがとう。またすぐ会えますか?」
「いや。当分の間はね」
世話役(オーガナイザー)のヒシーは向きを変え、後も見ずに出て行った。仕方なく、私はインスペックの友人を探したが、放射は見あたらず、位置を定めることができなかった。肉体へ戻るべき時が来たことを知り、無事に帰還を果たした。戻ってきた私は、身体を起こして両腕を伸ばし———と、そこで突然、手がかりをもらったことに気づいた。ヒシーは、私を「アシャニーン」と呼んだのだ(訳注・前作『魂の体外旅行』で、インスペックたちがモンローにこの名を与えている)。それともあれは、単なるおふざけで、私をうまく惑わすための言葉だったのか?
今や私は、訪ねて来る見知らぬ人たちに、いちいち注意を払うようになった。このことで賭けでもしておけばよかった!』
感想
・UFO
上記の「UFO」の内容ですが、納得してしまいました。どうりで一部のUFO達は陽気な民族であるメキシコなどの国に集まる訳ですね。陽気な気持ちや、ジョーク、笑い、冗談について学んでいるのですね。確かにこういった資質は私たち人類には当たり前でも、宇宙人によっては未知のエネルギーなのかもしれませんね。
「重荷にあえぐ精神シムテムにとって、最高の強壮剤なんですよ。それを使えば、必ずといっていいほど、緊張やプレッシャーが自然と消えちまうんです」と宇宙人は語っています。宇宙人にも緊張やプレッシャーがあるのですね。あまり想像したことがありませんでした(笑)。
ユーモアや笑いは現在のような長期的な困難を乗り越える時には非常に役立つエネルギーだと、あらためて思わせてくれました。そういえば、プレアデス人もバシャールも何かの本の中でユーモアが大事だと言っていた気がします。人によって笑うツボは違いますが地球人だけでなく宇宙人にも笑いが通じると良いですよね。
・ヒシー
私たちと同じ世界に、このような人がいるのですね。確かに何かしらの変化を起こすために活動している存在はいる気がしますが、まるで映画の中の話のようですね。
以上、今回はここまででした。今後の「究極の旅」の内容については紹介するかまだ分かりません。私自身が「究極の旅」を読み進めるのはかなり先になりそうな予感がしておりますので。それではまたの機会に。
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