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平々凡々でよければ、どうぞよろしく


昔の恋人が結婚した。
この歳になると、そんな話も珍しくない。

私自身すでに経験している。


男性の元恋人が結婚した。
付き合ったと言っても大昔の話しだし、いまや他人なのだからさしてなんの感情もない。





女性の元恋人といえば


ひとりは結婚している。
子供が欲しいというのが別れの理由だった。
子供はまだいない。

ひとりは風の噂では結婚も秒読みらしい。
仲睦まじい姿がSNSで流れてくる。



昔の恋人たちに未練があるのかと言われると、そんなわけでもない。


いい思い出だったな、くらいの気持ちはある。


未練はないけれど、
後悔に似たようなものはある。


申し訳なさもある。


元カノたちは異性愛者だった。
所謂ノンケというマジョリティに属する人たちだ。


私と付き合ったことで、マイノリティ側に引きずり込んでしまったこと

本当なら悩まなくていいようなことで悩ませてしまったこと

そんななんとも言えない申し訳なさがたまに頭をよぎる。



頭の中では、一緒に過ごした数年を大切にしているし無駄な時間なんてなかったとは思っている。

自惚れとかではなくて、時間だとか巡りあわせのタイミングだとかはあると信じているから、私と付き合った時間があるから、今の相手と結婚だったりお付き合いだったりする人生になっているんだろうな、と思っている。


思ってはいるけれど、


同時に彼女たちの一番輝けたはずの20代、30代の時間を奪ってしまったような感覚も持ち合わせてしまっている。

私と付き合っていなければ、もっと早くにいい人に出会って結婚して、今頃は子供にも恵まれて。そんな普通の人生を歩めていたのかもしれないのに。

そんな罪悪感に似たような感覚を持ってしまう。



もし今、誰かとお付き合いをすることになったとして、そのお相手がレズビアンだろうとノンケだろうと、私がまたその人の時間を、人生を奪うことになってしまうんじゃないか。


そんな風に考えてしまうことがある。


そんなことはないとわかってはいるけれど。


わかってはいてもそう思ってしまうこともある。


自分の心のうちなんてそんなもんだ。
コントロールなんてできやしない。

そんな日もある。




たぶん私はあなたが思っている以上にしっかりとしているわけではないし、丁寧な暮らしをしているわけでもないし、わりとズボラで不器用だ。そんなに優しいだけの人でもないし、天真爛漫なわけでもない。
なんなら少し頑固なところもあるし、これといって秀でたものがあるわけでもない。


お付き合いできたとて、あなたが望むようなことはしてあげられないかもしれない。


ただただ平々凡々な日常になるだろう。



先のことなんてひとつもわからないけれど、私があなたにあげられるものはひたむきにまっすぐな愛情だけだろう。


それだけでも良ければあなたの時間をわけてください。


くだらないことも大笑いできる
そんな平々凡々な日常をはんぶんこしましょう




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