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異常で気品あるトランス。クリムト
クリムト展がすごかった。
絵の感想を言葉にのせるのはちょっと苦手だが、このスパーク感と高揚を感じたまま書きなぐっておきたい。
とにかく《ユディト Ⅰ》が素晴らしい。
妖艶で官能的で艶っぽくて。
でもどこか挑発的。それがずっと気になっていたユディト。
絵画に添えられたキャプションで、”祖国の敵の司令官の首を切り落とした”ユディトの背景をはじめて知る。
表情に潜むナイフの理由。そういうことだったのか。
よく見ると、右下で切断頭を持っていてゾクッとする。異常で気品あるトランス。最高か…。
みれて本当によかった……!!
他にも、なんとも言えないオーラを放つ、息する作品がたくさん。
《ヘレーネ・ルイズ・クリムトの肖像》
クリムトの弟の子どもが6歳のときの姿を描いたものだそう。やわらかで凛としていて、すてき。
《女ともだちI(姉妹たち)》
浮世絵を思わせる絵画。レトロなんだけど現代的にも感じる。日本の美術品に影響を受けたとされる作品の数々も興味深かった。
《鬼火》
鬼火とは、夜の森や野原で見られる青や緑のことなのだそう。不気味に浮きあがる女性。吸い込まれそう…。
《女性の三時代》
幼少期、若年期、老齢期。女性の人生、生と死を表現したとされるこちらも圧巻。
最後に。
クリムトは生涯独身で子どもが少なくとも14人いたそうだ。
「私は自分に関心がない。他の人間、とりわけ女性に関心がある」
という言葉を残している彼。
作品をみれば、そらそうだろうよ、と納得。
ふわっとした肌、身体のカーブ、なめらかさ、体温…どの女性もそこそこの愛なんかじゃ絶対描けないよってものだからさらにすごい。
底知れぬエネルギーに触れてしまったなぁ。