私のリミッターを外してくれた言葉
2019年秋のこと。
その日はフラのレッスンに行ったあと、同じレッスンに通う1人の友だちとゆっくり話す休日を過ごした。そのとき私は頭がパンパンで考えがとっちらかっていたけれど、おかげで話し終わる頃にはいろいろなことが整理されて、心が落ち着いていた。
風の気持ち良い場所で何時間も話して、とてもたくさんの気づきを得たけれど、そのうちの1つが「リミッターを外すこと」だった。
その時私は、文章を書く力を活かして仕事ができないかと漠然と考えていたけれど、今よりもっと躊躇していて何から始めればいいのか全く分からなかった。
実績も知識もなく、やっていけるのかわからない。仕事を辞めることでお金が無くなるのも怖く、既に活躍している人を見て私なんかがやる意味はないと劣等感にも苛まれ…。
いろいろな理由をつけて、私はやりたいと思ったことに踏み出すのをやめていた。
その他にも、今考えれば、とにかく今の状況が嫌だという不足の思いもあった。
ただ逃れたいだけなのか、
そんな私の話を聞いて友だちはふと、穏やかに言った。
「好きなことをすることで、何かに気づいちゃうのが怖いんだと思う。なんていうか、なんでもできちゃう自分に。」
私は一瞬訳がわからず、「へ?」と彼女の顔を見た。その時の私が考えていることとは、全く別の方向だったからだ。
彼女の言う「何か」とは、好きなことをすることで感じる自分の心の底からの幸せな気持ちであったり、力が湧いてきて今までできなかったことができるようになってしまったりすること。
今の自分からは想像もつかない自分になるのが怖くて立ち止まってしまうんじゃないか、と。
果たして、そうなんだろうか?
でもその新しい視点は、私にとって何かヒントになるような気がした。
仮に私が恐れているのがそういうことだとして、何でもできるようになってしまったら、今まで頼っていたいろいろなものがいらなくなってしまうな。。
そう考えて、気づいた。
私はもしかすると、無力であるフリをして人やモノを頼ることで、そこに関わる人たちとの関係を維持しようとしていたのかも知れない。
それがなくなったら、自分は一人ぼっちになってしまう。そうしたら生きていけない。無意識の中に、そんな思いがあったのかもしれない。
でも、そんなことしなくても、もっと自然に必要な人と繋がることはできるのだ。
☆
それから2年の月日が流れ、私はオンラインサロンに入って文章を書くようになり、サロン内外のたくさんの人たちに読んでもらえるようになった。
私の文章を好きだと言ってくれる人も現れ、文章を書くことで繋がってくれる人ができた。
そして、インタビュー記事を書く中で質問する力を褒めてもらうことが多くなり、それを活かしたセッションをするようにもなった。
踏み出したことで、想像以上に広がりがあった。
「リミッターを外したら、まりちゃんは変化が速いかもしれないね。」友だちはあの時そう言ってくれた。
今はあることがきっかけで、彼女との間には距離が生まれてしまった。でもそんなふうに温かい眼差しを向けて何時間も話してくれたことを、時間が経った今、改めて思う。
私のリミッターを外してくれたものの1つは、あの時私の脳内に埋め込まれた、彼女の温かく前向きな言葉だったのだと思う。
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