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認知行動療法について part1

年も明けて春の気配を感じつつも寒さ本番となり、日中の風がとても冷たく感じるようになりました。
植物もじっと寒さに耐えながらも、これから待ち受けている春に向かって根にエネルギーを貯めています。
人も立ち止まって、自分と向き合っている時期は、植物と同様に目に見えない根幹の部分でエネルギーを蓄積しているのだと感じます。

カウンセリングでは、様々な悩みと向き合っている方々とお会いします。
皆さん、とても真摯に自身と向き合ってらっしゃるなと、こちらが力をもらうことが多いです。

さて、改めてカウンセリングとは何をするのだろう?とカウンセリングを受けたことがない方は思うことでしょう。
カウンセリングとは、困った状況について答えをもらえるのか?何か特殊な療法をされるのか?と想像したり、日常生活で馴染みがないだけに分からないことだらけでいったい何をするのだろうと大きな不安に近い思いがあったりするのが正直なところだと思います。
では、カウンセリングでは実際どういったやりとりをしているのか、今回は、認知行動療法を例にあげてみます。

ただ、全ての方に認知行動療法をおこなっているわけではなく、あくまでも両者の話し合いの中でクライエントの方がやってみたいという意思を確認しながらおこないます。
合う合わないがありますので、全ての方にという訳ではないことを先に述べておきます。

ぐるぐるとネガティブな思考が止まらない

休職中の方やストレスを感じる状況が続いており、心身のバランスを崩しお休みをされている方に出会います。
そこに至るまでの経過や状況は個別に異なりますが、共通して悩んでおられることの一つに、ふとした瞬間にネガティブな思いが作動し繰り返し考えしてしまい、ぐるぐるとした思考から中々抜けられなくなるといった悩みを多く聞きます。
頭の中でネガティブな思いがぐるぐると巡り、更なるネガティブな思いが生まれ、結果、自分を責めてしまう。
「出来事」ー例えば、他者から言われたことに対し、ネガティブな思いがふっと沸いてきたとします。
こうしたふと沸いてみた認知は(人によってはイメージの場合もある)、これを「自動思考」といいます。
この時、私たちの中では、何が起こっているのでしょうか。

日常生活の出来事から、自動思考が作動

例えば、分かりやすい例をあげてみます。
休職中に家族から「いつ復帰するの?復職出来そうか?」と言われたとします。
その時、ぱっと頭の中で出来事に対して「認知」(考え・イメージ)がわいてきます。
人によっては「ただでさえ自分も復職出来るか焦っているのに、何で心無いことを言うのだろう?」という認知(考え)が立ちのぼってくるかもしれません。
次に「家族から理解されていない、私は孤独だ」という思いが立ち上がってきて、「いつも家庭内は辛い」と次々にとめどなくネガティブな思いをぐるぐるとめぐってくるかもしれません。

身体反応と気分・感情、行動も連動

ネガティブな自動思考が作動すると、身体の反応はどうなるでしょうか。
ドキドキしたり、発汗したりするかもしれません。
更に、涙も出てくることもあるでしょう。
人によっては、胃が気持ち悪くなったり、お腹が痛くなったりする症状も出てくるかもしれません。

更に、気分・感情も連動しています。
悲しくなったり、気持ちの落ち込みも起こるかもしれませんし、人によってはイライラしたりもするでしょう。

行動面ではどのような反応が起こるでしょうか。
先にあげたような自動思考の影響により、行動面でも普段とは異なる行動をとってしまいがちになります。
例えば、家族に対し、怒鳴ってしまうかもしれません。
何も考えたくないので、咄嗟にドカ食いをして忘れようとするかもしれません。
辛さが勝り、布団をかぶって寝てしまうということも起こるかもしれないです。

このように、出来事、認知(自動思考)、身体反応、行動は密接に関係しあって存在しているのです。

認知と行動は変えられる

出来事は変えられないですが、冷静に考えると、出来事に対しての「認知」と「行動」は、対処することができます。
認知と行動の両者は、その人が客観的に物事を分析することで、一人一人がもっている工夫でもって、変化させることができます。
認知行動療法とは、自分自身の認知や行動を変える事が出来る自己トレーニング的技法なのです。
もちろん、カウンセラーとの共同作業で認知行動療法は進められます。
この療法を行うことで、次第にクライエントの方がお一人で出来るようになってきます。
その方が今後の生活において、ネガティブな思考が浮かんできた時は「あっ、自動思考が来たな!」巻き込まれないようにしようと思うだけで、出来事に対しての認知の外在化が出来て、ぐるぐるとしたネガティブな思考から距離をおけるようになります。
最終的にはセルフケアの一つとして身に着けて、その方がいつでもおこなうことが出来るのがいいですよね。

ただ、うつ状態が重い方や書く事がどうにも苦手で向いていないという方もいるので、無理にはおこないません。
クライエントにとって、カウンセリングが負担になってしまっては身も蓋もなくなってしまいます。

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