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編む

最近めっきり寒いので
思い立って、久々の編みもの。
人生初の縄編み挑戦中。
それっぽくはできてるけど、
ちゃんとあってるのかなあ…

3歳のとき1年間だけ暮らしたコペンハーゲン。
朧な記憶の中で、母はいつも編み物をしていて、
セーターとかベストとか編んでもらったのがすごく嬉しかった。
雲みたいにやわらかくふわふわのモヘアの毛糸。
胸に入れてもらったお花の刺繍。
きらきらと光る金糸の縁取り。
ただの一本の糸が
母の指先で魔法のように意味のあるものに変身していくさまを
うっとりと眺めていたのを憶えている。

私もやりたい!と言って、編み方を教えてもらって一緒に編んだっけ。
北欧の夜の、間接照明しかない、薄暗いけれどあたたかい光の中で。
帰国後も時々編んでいたけれど、
編む行為自体が目的で。
使えるものを作るようになったのは高校とか大学あたりになってから。
子どもができてからは、マフラーとか帽子とか、よく作ったなあ。

淡々と針を動かし毛糸を編みながら、
あのとき母は何を思いながら編んでいたんだろうかと
ふと考える。
夫のために自分の仕事を長期中断し、
知り合いもいない、言葉も通じない、寒く暗い土地で、3歳と1歳の子どもをかかえて。
もしかしたら、
不安とさみしさと心細さと戦っていたのかもしれない。

人生に正解はないけれど、
せめて自分の気持ちには
正直に生きていきたい。

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