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ミサンガに願いを込めて
2年前の夏、
ミサンガを1本編んで、
自分の足首にくくりつけた。
小さな願いを込めて。
その人は、とても綺麗で繊細な言葉と線を紡ぎ出す人だった。
会ったこともないのに、その柔らかくも危うくそれでいて暖かい言葉と線に心を奪われた。
彼は昔は音を紡ぎ出すこともしていたらしいと知り、
その時に彼に出会っていられなかったことが悔しくてたまらなかった。
彼の音を聴いてみたい。
彼がまた音を紡げる日が来るようにと祈りながら、
ミサンガをきつく縛った。
文字とほんの少しの画像だけのやりとり。
彼が希望を失っていくのが冷たい画面から伝わる。
それさえもいつしか途絶えて。
ようやくミサンガが切れそうになってきた。
もしこれが切れたとしても、
あの小さな願いがかなったかどうかを知る術は、
今の私にはひとつもない。
別におまじないなんか信じていないけれど、
それでも、
どうかどうか。
あの人が今もどこかで生きていて、
またきらきらした言葉や線や音を紡いでいますように。